川端安里人アイスランド日記 1~3days

川端安里人アイスランド日記 1~3days

川端安里人アイスランド日記 1~3days

 

日本時間3月10早朝から自分はアイスランドに向け、日本を出発した。

そもそもほぼ毎日24時間映画のことしか考えてないような自分に、旅日記が書けるのかどうか正直心配なのだけれど、頼まれてしまった以上書くしかない。日記なんて基本三日坊主ですぐやめてしまう自分なので、今回は9日間 (トランジットやら時差を入れれば10日間) のこの旅を3回に分けて書くことにした。それならば続くはずだし、普通の人なら「わぁ綺麗!」とか「すごい風景!」で終わるところを、脳内で勝手に映画とくっつけてしまう自分なら他とは違う旅日記が書けるはずだと思う。

10時間ちょい飛行機に揺られまずはフィンランド、ヘルシンキに到着。ここではトランジットで23時間待つハメになるのでさすがに空港内で待つには長すぎるのでアキ・カウリスマキとシンフォニックメタルの街ヘルシンキ市内へと繰り出す。道中、「キャロル」のポスターを貼ったバスが街中を走り、「サウルの息子」のポスターが街中に大々的に貼ってあるのを観た。それだけで十二分にこの国の国民の映画文化レベルが高いのが伺える。

 

ヘルシンキ空港に着いたのが夕方16時なので、市内のホテルにまで移動して、チェックインして数時間ほど街をさまよい夕食を食べることにした。レストランではノリのいい黒人のお兄ちゃんが給仕をしており、壁にはなぜかチョークで書かれた「スタートレック」(JJエイブラムズの方)とダースベイダーとストームトルーパーの絵が飾られていた。

 

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北欧では屋内禁煙は結構徹底していて、タバコを吸うには寒い屋外に出るしかない。結構多くの人が外でタバコを吸っている。自分がタバコを外で吸っているとブライアン・クランストン似のおじさんから火を貸してくれと声をかけられた。嫌煙家からは煙たがられそうだけれども、タバコはやはり未だにコミュニケーションのツールとして非常に優秀だ。

残念ながらここまでの写真はない。なぜか自分は旅の初日は写真を撮る気にならないので仕方がない。ホテルのテレビをつけるとマイケル・マンの大傑作「ヒート」をやっていた。見たい気持ちを抑えてシネマジプシーの文章を書き上げて眠る。

 

HEAT

3月11日現地時間朝6時、ヘルシンキ市内をさまよう。朝市はなぜか開いておらず教会も開いておらず、あてもなくさまよう、そのグダグダ感がカウリスマキっぽい、もしくはジャームッシュの「ミステリートレイン」などを思い出させて嫌な気分にはならなかった。パン屋でサンドイッチとコーヒーで朝ごはんを過ごし、その後14時過ぎ初のアイスランド行き飛行機に乗るために空港に向かう。

 

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アイスランド航空機内では驚いた。自分はあまり飛行機に乗らないので、比較対象をあげれないのが残念だが、センスの塊と言ってもいい。具体的に言うと機内ディスプレイ (映画見たりフライトの現状を見たりできるあれ) が本当に素晴らしかった。「スターウォーズ フォースの覚醒」、「クリード チャンプを継ぐ男」といった最近の話題作もあることはあるんだけれど、それは下の方に追いやられていて、それ以上に「2001年宇宙の旅」や「レイジングブル」、「マッドマックス」(一作目) 、「大統領の陰謀」と言った渋い名作が目立つ位置に配置されていた。「いったい誰が機内でキューブリックを観たいと思うんだろう?」という疑問はさておき、音楽コーナーのセンスも素晴らしく、これを全部聞けば一気に今現在の音楽通になれると言っても過言ではないラインナップだった。

 

詳しくはこのURLに音楽の一覧が載っていたので良かったらチェックしてみてください。

http://www.icelandair.us/information/on-board/entertainment/music/

 

この日は夕方16時にアイスランド、ケラフヴィークエアポートホテルに泊まって情報収集をする予定だったので特に大したことはしていない。空港のコンビニでサンドイッチとコーヒーを夕食にした。ちなみにアイスランドは物価が高い。日本の1.5〜2倍近くする。質素な食事と思われるかもしれないけど、食費を抑えるためには仕方がないのだ。

 

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そう言えば、この旅は男二人旅なんだけれども、相棒はK君。なんと小学校からの親友で彼は結構旅慣れしている。写真が趣味で、今までいろんな国に旅行に行っては写真に収めてコンテストで賞を受賞している男。こいつと一緒の旅行なので本当に心強い。個人的には、手堅い仕事を辞めて写真家になればいいのにとずっと思っている。

 

ちなみに、この旅のきっかけは一枚の地図だった。映画のロケーションマップというもので、近年ハリウッド映画 (特にSFなどで) はCGに頼らない壮大な風景を求めてアイスランドでのロケが増えてきている。どうやら自分たちと入れ違いで「ワイルドスピード」の新作の撮影隊がやってくるらしい。K君とそんな話をして、アイスランドに住んでいる100人ほどの日本人のうちの一人が、自分の従姉妹だと話した時にはこの旅を決行することになっていた。

 

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一応そのロケーションマップをここに貼っておく

 

3月12日、朝一でレンタカーを借りアイスランドでの運転に慣れるためにも僕たちは車で2時間半ほどかかるゲイシルという名の間欠泉に向かった。道中、「ヘイトフル・エイト」か「遊星からの物体X」かと思う大雪に見舞われた。その時はそれがアイスランドの日常かと思ったが、どうやらブリザードが起こっているらしい。道中、何度も雪にはまり動けなくなった結果乗り捨てられた車を見かけた。果たして、無事に旅を終えれるかどうか……。

 

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ゲイシルの風景は言葉で説明するよりも見てもらった方が早いだろう。数分に一回吹き出す間欠泉にはそれまでのブリザードに見舞われた無人地帯が嘘のように人が集まっていた。

 

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本当ならば12日は首都レイキャビクに泊まるはずだったのだが、安宿がいっぱいだったため郊外のハムラボルグという街に泊まることになった。ヨーロッパではフロントカウンターがなくメールで入館、入室暗証番号が送られてくるというシステムの安宿が増えているのだが、ここでトラブルが発生した。暗証番号のメールが届かないのだ。

バック・トゥ・ザ・フューチャー

結局、ホテルの前を歩いていた「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のビフにそっくりなお兄さんが電話やらなんやらで助けてくれたので、無事宿に入ることができた。その頃にはもう夜になってきていたので、従姉妹に会うのは後日に先延ばし、宿の向かいにあるスーパーで食材を購入して料理をすることにした。

夜、テレビでは「バック・トゥ・ザ・フューチャー3」をやっていた。ありがとうビフ。

WRITER

川端 安里人
川端 安里人

1988年京都生まれ
小学校の頃、家から歩いて1分の所にレンタルビデオ屋がオープンしたのがきっかけでどっぷり映画にはまり、以降青春時代の全てを映画鑑賞に捧げる。2010年京都造形芸術大学映像コース卒業。
在学中、今まで見た映画の数が一万本を超えたのを期に数えるのをやめる。以降良い映画と映画の知識を発散できる場所を求め映画ジプシーとなる。

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