【シネマジプシー】アメリカ、ディープサウスぶらり旅2日目

【シネマジプシー】アメリカ、ディープサウスぶらり旅2日目

【シネマジプシー】アメリカ、ディープサウスぶらり旅2日目

見てきた映画は数知れず。本人すらも分からない。(1万本を越えてから数えるのをやめたから)人呼んでシネマジプシー・川端安里人。彼から「旧友に「映画を撮ろう」と誘われて、ロケハンでにアメリカへ行ってきた」と、アンテナ編集部に連絡と原稿が届いた。目に映るのものがこれまで見てきた映画とリンクする彼が、南米で見てきたものはどんなものだったのでしょうか。

 

全9日分の記録をお楽しみください。

【シネマジプシー特別編】アメリカ、ディープサウスぶらり旅1日目の記事はこちらから

ニューオーリンズでO君と合流

ニューオリンズに向かう飛行機の中でニューオリンズ出身だよというナンパ男が女の子を口説いていて、別に盗み聞きをするつもりはないけど目の前だから嫌でも聞こえてくる。「旧市街自体は安全だけどそこの外れはスラムだから気をつけろ」とのこと。思わぬところから街の情報が手に入った。ルイ・アームストロング国際空港に着いたのは早朝6時ごろ、この空港でO君と合流する計画だ。

 

ところが着いて間もないうちにO君から連絡が。どうやら飛行機の遅延が発生しているらしく、着くのは昼前になるらしい。準備、フライト、トランジットで疲弊している中、重いキャリーケースを引きずって一人ニューオリンズを彷徨う元気はなかった。仕方ないので空港で待つことにして、この街が舞台の映画を思い返すことにした。

ニューオリンズ。古い町並みが残り、夜な夜なジャズなどのライブが行われ、ルイ・アームストロングをはじめとした偉大なジャズマンゆかりの音楽の街だ。

 

映画の視点で見ると、怪しげな男から依頼を受けた探偵が捜査を進めるうちに悪魔的な事象に巻き込まれていく名作『エンゼル・ハート』、この街に残る古い町並みをフル活用したオールスター吸血鬼映画『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』など、この街を舞台にしたオカルト映画は多かったりする。ブードゥー教で知られるハイチ系移民とフランス移民の建築物などの歴史的背景からなのだろう。

また2005年にニューオリンズを襲ったハリケーンカトリーナの大きな被害も、その後の映画に影響を与えている。例えば2005年にこの街で撮られた自分の大好きな映画『デジャヴュ』では、映画のあらゆるシーンにその爪痕が見える。ニコラス・ケイジがニューオリンズの堕落した刑事を演じるヘルツォーク監督の傑作『バッド・ルーテナント』では、主人公がカトリーナで障害を負ったのが物語の始まりになっている。もちろんこの街が舞台の映画と言えば映画史、演劇史に残る名作『欲望という名の電車』も忘れてはいけない。街の歴史と、映画が密接な関係にあることは、ニューオリンズにいるとまざまざと感じることができる。

 

そうこうしている間にO君が到着した。再会するのはいつぶりだろうか。ひとまずレンタカーを2人で借りに行き、フレンチクォーターと呼ばれる旧市街にあるゲストハウスへ向かう。O君はカマロだかなんだか知らないけれど、格好良くて早い車に乗りたがった。しかし今回の旅のプランは多くの日本人が旅行で向かうところではないし、何が起こるか予想がつかない。万が一車のせいで無駄に人目について旅を止めたくなかったので、格好良くて早い車は断固拒否して普通の乗用車をレンタルした。フロントガラスには微妙にヒビが入っている。

旧市街はいわゆる観光名所だ。古い町並みで観光客であろう人たちで賑わっているが、自分たちが泊まるのはそこから1ブロックほど外れたところ。まさに飛行機のナンパ男が言っていた「気をつけたほうがいい旧市街の外れのスラム」が目と鼻の先だ。

 

『マダム・イザベラの家』という名のゲストハウスは建物こそ古いが綺麗に整備されていて、素敵な中庭がある。このゲストハウスにした理由はホームページに「ここで働いてる人たちは変わり者ばかり『アダムスファミリー』みたいでしょ?」という一文があったから。映画に例えられるだけで評価は+120点だ。

 

正直あまりゲストハウスは詳しくはないけれど、ここまでホストとゲストの違いがわからないところも珍しいのではないかと思う。ドレッドヘアの手入れをしながらタバコをふかすお兄ちゃんや、その横でスマホのゲームで盛り上がってる男の子、アメリカなのにそこらじゅう裸足でフラフラ歩いている女の子。みんな従業員らしい。少し信じがたいくらい、みんなラフに過ごしている。客としてきていたフランス人のゲイカップルは「湿地帯ツアーは行った方がいいよ」と教えてくれた。

ゲストハウスから車でしばらく走ると、アクションスター大集合祭り映画『エクスペンダブル』シリーズで主人公たちがたむろしているという設定のバーがある。完全に現地人向けの観光客なんか一人もいない場所なので、恐る恐る入ってみると映画の雰囲気そのままで、壁にはスタローンを始め様々なハリウッドスターの写真がずらりと並ぶ。

 

カウンターのおばちゃんに「映画が好きでここまでやってきた」と伝えて、コーヒーを頼むと「ここはバーだからコーヒーもソフトドリンクもないよっ」と一蹴される。あちゃちゃ、邪険に扱われるパターンかなと思いきや「わざわざ来たんだから、好きなだけ写真撮っていきな」と対応してくれた。おばちゃん優しい。こういう時チップ文化だと感謝の気持ちを行動で示しやすいので助かった。

 

写真は撮ってないけれど、夜のフレンチクォーターはストリートミュージシャンや音楽ライブですごく盛り上がっていた。街では騎馬警官が闊歩し、ブードゥーショップが怪しげに佇む。正直ニューオリンズだけで一週間過ごしたいと思えるほど、魅力的な街であった。

3日目の記事はこちらから

【シネマジプシー】アメリカ、ディープサウスぶらり旅3日目

WRITER

川端 安里人
川端 安里人

1988年京都生まれ
小学校の頃、家から歩いて1分の所にレンタルビデオ屋がオープンしたのがきっかけでどっぷり映画にはまり、以降青春時代の全てを映画鑑賞に捧げる。2010年京都造形芸術大学映像コース卒業。
在学中、今まで見た映画の数が一万本を超えたのを期に数えるのをやめる。以降良い映画と映画の知識を発散できる場所を求め映画ジプシーとなる。

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EDITOR

岡安 いつ美
岡安 いつ美

昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。

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