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kiss the gambler、私はなぜ韓国のことが知りたいの? – 第1回 韓国の言葉で「好き」の気持ちを返したい

シンガーソングライター、かなふぁんによるプロジェクトkiss the gamblerの短期連載が始まります!(全4回を予定)Instagramでは韓国語とフランス語を練習する姿を日々積極的に投稿し、最新ミニアルバムの収録曲を、フランス語・韓国語・中国語・英語で歌った『Relax! International』も今年発表。年々語学学習に積極的になっているかなふぁんに、今年は3回目のライブツアーを終えたばかりである韓国での経験や想いについて綴ってもらいます。かなふぁん、あなたはなぜ韓国のことが知りたいの?(リード文:峯大貴)

MUSIC 2025.12.25 Written By かなふぁん (kiss the gambler)

kiss the gambler

 

シンガーソングライター・かなふぁんによるプロジェクト。子どものような純真さと大人の深みを併せ持つ歌声、そして耳に残るポップセンスが魅力のソロアーティスト。2018年より活動を開始し、じわじわと音楽ファンの間で注目を集めている。

 

これまでに3枚のフルアルバムをリリース。テレビ東京の赤ちゃん向け番組『シナぷしゅ』への楽曲提供「あかるいあかちゃん」や、『FUJI ROCK FESTIVAL ’24』への出演をはじめ、最新ミニアルバム『Relax!』の発表、韓国語やフランス語など多言語で歌い直した『Relax! International』のリリース、全国ツアー開催など、精力的に活動を展開中。

 

またアサヒビールや東山動植物園をはじめとするテレビCMでの歌唱も担当するなど、幅広く活動の場を広げている。2025年は、毎年開催している弾き語りワンマン全国ツアーに加えて、台湾、韓国、フランスでも公演を行った。

 

年明けの2026年1月17日には、吉祥寺のStar Pine’s Cafeにて、ギターに石井マサユキ、ベースに厚海義朗、ドラムに楠蓮を迎えた豪華バンド編成でのワンマンライブ「吉祥寺のkiss the gambler」が開催される。2025年12月の武蔵野公会堂初ホール公演のライブ映像を納めたDVDが、会場で発売される予定。

第1回 韓国の言葉で「好き」の気持ちを返したい

2023年の9月、渋谷の〈LOFT HEAVEN〉というライブハウスでいつものようにライブをしていたら、4人組の女の子たちが私のところに来てくれて、キラキラした笑顔で花束とお手紙をくれた。彼女たちは日本語の勉強をするために韓国から滞在中で、今日は授業の後、門限までの限られた時間でkiss the gamblerのライブを観に来ることができたと話してくれて、私はとても嬉しい気持ちになった。その中のイェウンさんという方が特に熱狂的なファンだそうで、韓国にkiss the gamblerをそんなに好きで聴いてくれている人がいるのだということにとても感動した。

そういえば、2022年の11月に高円寺の〈U-hA〉というお店でライブをした時にも、JUNOさんという方が「韓国から観に来た」と話しかけてくれた。

 

後にInstagramでJUNOさんを見つけると、韓国で人気のイラストレーターだということがわかった。そんな方がわざわざ日本に来てくれて、しかも日本語を勉強して話しかけてくれたことが、なんてありがたいことなんだろうと思った一方で、自分が英語以外の言語をこれまで自発的に勉強してみようとしたことがなかったことを反省した。世界共通語の英語以外の言語を学ぶ理由は、何か文化的なものなどに対する「好き」という気持ちがあるからだろうなと思って、私も韓国からのお客さんたちに「好き」の気持ちを返すために、韓国語を勉強してみようと思い始めたのだった。そしてたまたまだけど、2023年の11月に韓国での初ライブが決定していた。アメリカからアジアツアーを開催するShindigsというアーティストの韓国公演に、私も呼ばれて出演することになっていたのだ。Shindigsはもともと韓国に住んでいたことがあり、当時、ソウルでも音楽活動も行っていたらしい。そして大好きな日本でもライブがしたいということだったので、東京、名古屋、京都の公演は私がオーガナイザーとなって開催することになった。また、このジャパンツアーのフライヤーはJUNOさんに依頼して作ってもらった。私はこのポスターが本当にお気に入りで、今でも家の壁に飾っている。

冒頭に記したイェウンさんら4人組の女の子たちは、実はboîteというバンドをやっている。YouTubeにも素敵な動画を上げていたので、Shindigsと相談して、boîteも韓国のツアーに参加してもらうことになった。会場は弘大(ホンデ)にある〈Strange fruit〉というライブハウスで、オーナーのジホンさんもまた日本語を話せる人だった。来てくれていた20名ほどのお客さんたちは、みんなニコニコして体を揺らしながら私のライブを聴いてくれた。MCにも声を出して反応してくれたし、演奏後はとてもわくわくした雰囲気で物販スペースに来てくれて話しかけてくれた。CDやLPもよく売れた!(嬉しさも相まって気持ちが膨らみ狂ってしまい、その後ソウルでかわいいワッペンを120万ウォン分(=10万円)も爆買いしてしまった失敗談については、『kiss the gamblerの韓国旅行記』というZINEを読んでもらいたい)

boîteの4人とかなふぁん(2023)
Shindigsのライブ風景(2023)
Shindigsの2人、boîteの4人、かなふぁん、JUNOさんの集合写真(2023)

このライブをきっかけに、共演したboîteの4人との距離がさらに縮まり、ライブ後にソウルで一緒にタッカルビやトッポキ、キンパを食べたり、かわいい雑貨屋さんへ行ったり、散歩したり、プリクラを撮って遊んで、友達になることができた。

食事中にイェウンさんが、kiss the gamblerの曲の歌詞を手書きでがんばって書いて勉強しているノートを見せてくれたことが嬉しかった。どうやって彼女がkiss the gamblerを知ったのかを聞くと、実は、イェウンさんが大ファンだという韓国の人気イラストレーター、イムジナさんがブログで以前kiss the gamblerの“台風のあとで”という曲を紹介していて知ったという。JUNOさんしかり韓国のイラストレーターの方々が日本のインディーズ音楽に詳しくて、kiss the gamblerのことまで知っているということが私にとってはとても驚きだった。こうして国を超えて文化交流が広がっていく流れに私も積極的に参加したくなり、来年もまた韓国でライブをして、MCで少し韓国語を喋れるぐらいにはなりたいと心の中で密かに思ったのだった。

それから数ヶ月して、2024年の春、私は新しい家に引っ越しをした。初めて実家を出て、元の家に住み始めたときはただの会社員だった自分が、4年経って“新しい部屋”に移るとき。それはシンガーソングライターとして生活をするようになった自分が、また一歩新しい道へと歩み出すときだった。次の家では、日常に新しいことを取り入れたい。「語学学習を始めてみよう」と決意した。

 

ちなみにこの連載のアイキャッチを作ってくださったのはイラストレーターのJUNOさん。彼は2022年の高円寺でのライブに来てくださってから、その後の2023年、2024年、2025年のソウル公演に毎回来てくださっている。これからもこの素晴らしい出会いに感謝して、積極的に韓国での活動を続けて行きたいという思いで今回イラストをお願いした。韓国語も少しずつ話せるようになったらいいな。それでは続きは次の連載で!

アイキャッチデザイン:JUNO

第2回 急に始めた語学学習、二度目の韓国

最新リリース情報

「chill the gambler」名義で、ピアノ即興曲を毎週1曲配信中!
全曲のアートワークを漫画家の香山哲さんが描いてくださっています!

 

Bandcamp(試聴可能):https://kissthegambler.bandcamp.com/

Online Shop:https://kissthegmblr.thebase.in/

 

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