REPORT

you, anyレコ発企画 -すべての夜に-@京都GROWLY 2014.10.21

MUSIC 2014.10.30 Written By 高石 瑞希

出会ったそばから宝物にしてほしい。日本の北端、南端、そして真ん中から集まった3人が京都で結成、しかして血を分けたかのように共振しあうバンドyou,any(ゆえに)。彼らの音楽はエモーショナルであっても、決して押し付けがましくはない。タイトで硬質なリズムには、誰もが口ずさみたくなるようなメロディーを。剛柔よろしきを得たポストロックの新星は、2013年6月のライブ活動開始から着実にファンを増やし続けている。

 

この日、1stミニアルバム『あなたの夜に』リリースを記念して開催されたイベントを盛り上げるべく集められたのはホーリーあー、加速するラブズ、ベランダ、俺の回転花火、アカネイロヒキと、関西でも指折りの個性派たち。そんなラインナップにもただならぬ気合いを感じ、思わずニヤリとしてしまう。”カナリア”、手描きアニメーションのMVがYouTubeでも公開中の”夜と霧”などアルバム収録曲を次々と披露。”誰もいない朝”に続くMCでGt./Vo.みつきゃすたーが「しんどいし座ってもいいですよ」と笑いを誘う場面も。もちろんこれは彼らなりの宣戦布告、わずかな間をも惜しむようにライブは続けられてゆく。

 

ソロでの弾き語りライブも精力的に行うみつきゃすたー。冗談抜きに、これほどまでに歌が好きな人間に出会ったことがない。アコースティックセットの静かな空気の中にあっても、アンサンブルの中にあっても存在感バツグンの歌声が魅力的なのは言うもさらなり、メロディーに乗せられた豊かな表情が、とりわけひとつひとつの詞の終わりに詰まっている。これは本当に体感してもらうしかないのだけれど、声が通りすぎるまさにその瞬間、いつも呼吸するように歌っている彼女にしか絶対につくりだせない心地良さが降りてくる。「すごい、胃が痛かったんです」とラスト一曲のところで主催バンドとしての張り詰めた気持ちを明かしながらも、ひとたび演奏が始まればそんなことはどこへやら、歌うこと、弾くことの喜びがこちらにも痛いほど伝わってくる。「七夕の曲」だという新曲のやさしい後味を残してこの日の主役たちはステージを後にした。

レコ発企画を盛況のうちに成功させたyou,any、ヤマハが主催する日本最大級の音楽コンテストMusic Revolutionの西日本地区ファイナルへの出場が決定している。大会は11月3日、心斎橋BIGCATにて。入場無料、オーディエンス投票ありということだから、ぜひとも大きなステージが彼らの音で満たされる瞬間を生で体験してほしい。アーティスト公式HP:http://you-any.jimdo.com/

WRITER

RECENT POST

REPORT
Baa Baa Blacksheeps @ 京都GROWLY ライブレポート

LATEST POSTS

REPORT
ゆうやけしはす&すうらばあず、古山菜の花が化け、みのミュージックがつなぐ。『音楽深化論』に登場した二組、初共演の夜

ゆうやけしはす&すうらばあずが共演にシンガーソングライターの古山菜の花、DJにみの(みのミュージック…

COLUMN
模写を通じて味わう現代の歌詞-第1回 mei ehara“悲しい運転手”

音楽をより深く楽しむために、歌詞を模写している人がいます(私です)。「歌詞は曲を通して聴くもの」であ…

REPORT
「はじめまして」の先で音楽が僕らを繋ぐ。ポーランド×日本ミュージック・フェスティバル『Miło mi』ライブレポート

2025年10月4日(土)、5日(日)に、南海なんば駅前にある〈なんば広場〉にて開催された『Miło…

INTERVIEW
黒沼英之がEP『Lonely together』で描いた、寂しさの本質。旧友・小橋陽介のアトリエにて

10年間の音楽活動休止を経て、復帰後初のEP『Lonely together』を11月26日(水)に…

REVIEW
曖昧さを受け入れながら考え続けることのすゝめ – 櫻木勇人『余白』

曖昧さを受け入れながら考え続けることのすゝめ 曖…