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【SXSW2018】SXSWが開催されるオースティンってどんな街?

MUSIC ART TRAVEL 2018.03.28 Written By 安尾 日向

西エリア――Whole Foods Market、Waterloo Records、ホープ・アウトドア・ギャラリー

Whole Foods Market
Banana

西エリア一つ目は、Whole Foods Market(ホール・フーズ・マーケット)。

 

ハワイ店が有名なホール・フーズだが、実はここオースティンが本店なのだ。

 

広すぎてどこになにがあるかわからない店内には、安いものではなくいいものが並べられている印象。オーガニックという文字がよく目につく。お値段も少しお高い。でもカラフルで魅力的なものばかりでついつい手が伸びてしまう。

 

地ビールが有名なようで、品揃えが豊富だった。ただ残念なことにアメリカでの飲酒は21歳からなので自分では買えなかった……。おみやげを買うにはもってこいの場所だ。

Waterloo Records
ステッカー

その斜め向かいにあるWaterloo Records(ウォータールー・レコーズ)もオススメ。CDやレコード、ビデオに加え、バンドTシャツやお土産品も扱われており、見ていて飽きない。購買意欲が掻き立てられてしまう。

 

アメリカはCDが安い。新品でも10ドルを切るものもよくある。アルバムなら1枚3000円と規格化されている日本とは大違いで、それぞれがそれぞれの値段設定をしている。そういう自由さは豊かさに繋がるだろう。

 

ここではThe DrumsのLP(18ドル)と試聴機で聴いたテキサスのバンド、Dry Sky & KyoteのCD(9ドル)、そしてトートバッグ(9ドル)を購入。おまけでもらったステッカーもかわいい。

 

SXSWの非公式のライブイベントも行われており、ラインナップもかなり豪華なので要チェック。これについては次の記事をご参照いただきたい。

 

【SXSW2018】未成年でもSXSWは満喫できるのか!?

Waterloo Recordsの前の道をそのまままっすぐ北上すると、グラフィティ・アートの聖地であるホープ・アウトドア・ギャラリーがある。

 

ダウンタウンから10分も歩けば、SXSWの匂いは薄くなり、人通りの多くない穏やかな西部の土地が広がる。それほど距離は離れていないものの、街が見せる表情がかなり異なるのがおもしろい。

豪邸が立ち並ぶ地域を抜け、ふと左を向くとそれはあった。これがホープ・アウトドア・ギャラリーだ。

目が処理しきれないほどの色、色、色。漂うスプレーインクの匂い。スピーカーから流れる重いビート。日本ではおよそ見ることのできない異様で強烈なカルチャーの姿にただただ圧倒される。

 

ここでは日々、上から上から新しいグラフィティが描き足されていて、刻一刻とその姿を変えていく。それどころか、観光客が自ら描き足すことだってできるのだ。自分の名前やイラストなどがリアルタイムで描き加えられていく光景に目を瞠る。

 

こんな場所が平然とあることもそうだが、それが高級住宅地(と思しき場所)のすぐそばにあるのも不思議で興味深い。

 

段々になっている壁を横の傾斜から登ると、オースティンの街が見渡せる。ここもグラフィティと街並みのアンバランスさが一望できておもしろい。

南エリア――コロラド川、レディ・バード湖周辺

レディ・バード湖

ダウンタウン中心にあるコンベンションセンターから10分ほど南へ歩くと、雄大なコロラド川、レディ・バード湖が顔を見せる。河川敷はきれいな遊歩道になっていて、平日だというのにジョギングをしている人がとても多い。

 

少し話がそれるが、アメリカはご存知の通り左ハンドル・右車線である。これはどうやら歩行者にも当てはまるようで、ジョガーも遊歩道の右側を走るのである。対して右ハンドル・左車線の国、ジャパンで生まれ育った僕には、やはり左側通行が身に染み込んでいるようで、気づいたら左側を歩いていてジョガーに避けさせてしまうことが何度もあった。価値観や世界観というものは、そういうところから知らないうちに浸透しているものなのだな、と思う。

コロラド川

川にかかる橋を渡ると、川面に反射する光が自分からまっすぐと太陽までつながっているように見える。3月といえども、アメリカ南西部に位置するテキサス州は暖かい。というかぴーかんだと暑い。橋を渡っていても眩しくて眩しくて。なるほど、たしかにサングラスが必要だ。

川の向こう側には大きな公園があり、そこでもSXSW公式のイベントが多数行われる。カートゥーンネットワークのアニメ上映イベントや、SXSW最大の野外ステージで行われるライブイベントがそうだ。このあたりはこちらの記事にまとめてあるのでそちらをご覧いただきたい。

川の南側からダウンタウンを見ると、大きなビルが立ち並んでいることがよくわかる。そしてそれは現在進行形で増殖しているところだということもわかる。アメリカでは工事中にまわりを布で囲ったりしないようで、骨格が露わになった廃墟のような工事中のビルがたくさん見られる。実際は新しいどころかまだできてもいないのに廃墟だなんて変な話だが、実際にそう見えるのだ。印象深い風景の一つだった。

まとめ——オースティンの見所はSXSWだけなのか?

結論から言おう。そんなことは決してない。それはここまでの紹介でわかっていただけたのではないだろうか。

 

オースティンは音楽の街で、ITビジネスの街で、学生の街である。わかりやすい観光地ではないかもしれないが、そんなに遠くない範囲でさまざまな表情を見せてくれるユニークな街だ。連日のライブ三昧に疲れた時にゆったりと羽を伸ばせる場所もたくさんある。ド派手な観光地じゃないからこその心地よさもある。

 

とは言ってもやはりSXSWを隅に追いやることなんてできない。ぜひあの日本では見ることのできない大興奮の祭典を味わってみてほしい。そしてその時には、少しスケジュールにゆとりを持たせて、この記事で紹介した場所にも行ってみてほしい。すごくいい街だ。

 

「それはわかったが、なんで東エリアがないんだ?」とお思いの方もおられるであろう。決して時間が足りなくて行けなかったのではない。次に行く時のお楽しみにとっておいたのだ。来年への布石を打つために。決してライブで体力を使い果たして行けなかったわけでは……。

テキサス州のシンボル、ローン・スター。街の至る所で見られる。

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