みなみ会館館長・吉田由利香と、シネマジプシー・川端安里人の2016年映画ベスト5
昨年の年末に行ったシネマジプシー特別編、『川端安里人の年間映画トップ10』。今年はみなみ会館館長・吉田さんをゲストに迎え、対談形式で2016年の映画ベスト5を振り返ります。果たして2人が選んだ、今年本当に面白かった映画とは!?
今年の映画、今年のうちに!
安里人:去年はアンテナで自分がトップ10を発表したんだけど、今年はちょっと趣向を変えて、2016年の映画ベスト5を京都みなみ会館館長の吉田さんとそれぞれ発表すると言う企画にしました。吉田さんはやっぱりみなみ会館で上映した映画が多くなる感じかな?
吉田:仕事柄たくさん映画は見るんやけど、みなみ会館で上映する作品だけでも膨大な量があるから、なかなか他の映画館に見に行くことができないんよね。新作旧作問わず、リバイバルとかで今年スクリーンで上映された作品であればなんでもいいのよね?
安里人:そう、今年の映画限定ってわけじゃなくて、今年リバイバルされた、映画祭で観た、劇場未公開で今年になってソフト化された映画から選出するというルールでお願いします。
吉田:やっぱり、映画に順位つけるのは難しいから、今年よかった5本と言うことで、何位っていうのは私は無しでいこうかなと思います。まず、川端くんの1本目はなんでしょう?
安里人:じゃあ早速1本目『キャロル』これは観てる?
吉田:『キャロル』!トッド・ヘインズ監督の新作やね。先日、『アイム・ノット・ゼア』は上映したんやけど、完全に見逃した一本やわ。めちゃ見たかった。ケイト・ブランシェットの素敵なビジュアルが印象的。
安里人:トッド・ヘインズ監督は他にも『エデンより彼方に』とか良い映画を撮っている監督さんだよね。正直な所LGBTものってどちらかと言うと苦手なジャンルなんだけど、これはすごく良かった。この映画は1950年代が舞台で、女性同士で恋に落ちた二人の話なんだけど、映画のルックとか雰囲気が完全に50年代ハリウッド黄金期のメロドラマを再現しているのね。でも、もちろん当時の規制が厳しい映画製作下では同性愛のメロドラマは作れない。当時の雰囲気やルックを再現しつつ、今でしかできないことをやってる。とにかく、完璧なメロドラマなんだよね。単純にこのクオリティを見せられたら趣味じゃなくても褒めるしかない感じ。
吉田:何のクオリティが高いから良かったの?ビジュアル?それにしてもメロドラマと川端くんってあまり似合わないよね。
安里人:似合わないね (笑)。撮影、編集、演技とにかく映画そのものがすごく高いクオリティ。ファーストカットが長回しなんだけど、普段人が目をつけないようなところから始まって、それが引いていくと再現された当時の町並みが映る。映画を象徴するような最初のシーンから「こりゃすごいわ」ってなったよ。
吉田:とにかく美しそうだよね。クリスマス・シーズンのニューヨークが舞台の設定だから今見るのにはすごく丁度いいかもしれない。じゃあ、私の1本目。これは、昨年の12月から公開が始まって、みなみ会館で初めて上映したのが、今年の2月なんやけど、濱口竜介監督の『ハッピーアワー』。
安里人:おぉ〜、『ハッピーアワー』!観ないといけないなと思いつつ結局見れなかった1本だ。
吉田:これは、トータルで317分。つまり5時間17分の映画なんやけど、見た人のほとんどが口にするのが、「長さを感じない」なのね。5時間17分もあるから一気に見せてもらうことができなくて、3部構成になってるんやけど、各部インターミッションに入る時は、全く何の前触れもなくブツって感じで映像が切れるの。見てるこっちは、「あ、休憩か……」ってなるんやけど、そんな休憩なんかどうでもいいから、「早く続き見せて!」って感じで、あっという間に終わってしまった。
安里人:そんなに凄いんだ!?『旅芸人の記録』とか『輝ける青春』とか、4時間を超える映画って不思議な魔力があるよね。インターミッション中は心を映画の中に置き去りにしてる感じ、すごくわかる。どっちにしても、見逃したのが悔しい一本なんだよね。いつか機会があったら見てみたい。
吉田:出演している人たちは、職業俳優の人たちではなくて、神戸でやっていた濱口監督のワークショップに参加していた一般の人たちなのね。だから、最初は演技が何だかぎこちなく感じて、最後まで見れるんだろうか……って心配になるんやけど、そんなの吹っ飛ぶくらいすぐに夢中になれた。主に登場するのは4人の女性たちなんやけど、自分がまるでその4人+1人 (自分) のように感じて、5時間17分がすぎた時には、まるで一緒に長いこと友達として過ごしてきて、彼女たちを見守っていたような感覚になった。ハッピーアワーっていうタイトルがまた、皮肉でさ。
なんか、思い出すと泣きたくなるような、センチメンタルな気持ちになる映画です (笑)
安里人:人気俳優をルーティーンで使ってる今の日本映画界へのアンチテーゼみたいな映画だな、って宣伝の段階から思ってたよ。濱口監督はこれからも要チェックやね。
吉田:じゃあ安里人くんの2本目行きましょうか!
安里人:2本目は『イット・フォローズ』。実は今年映画館で見た1本目。
吉田:1月に公開してたんやね。今度は打って変わって、ホラーなのね。
安里人:1月に観たのに、未だに頭の中でこの映画の曲がかかるくらい印象的な映画。ちなみに、ホラー映画好きは完全に趣味ね。でもホラー映画って今も昔も優秀な若手の登竜門で、この映画は本当に良かった。内容は“なにか”をうつされた主人公が延々と追いかけ回されるってだけのシンプルなもの。
吉田:シンプルなのね。なにうつされたんだろう…… (笑)
安里人:“なにか”の正体は映画内でも明かされないから、「観客一人一人が考えてね」って言うスタイルの映画だよ。設定はシンプルなんだけど、特徴的な音楽の使い方に凝ったカメラワーク。初期のカーペンターとかクローネンバーグを思わせるような演出。全部がツボにがっつりはまった感じ。
吉田:どこで見たの?
安里人:Tジョイ京都だったかな。でも人気だったのか立誠シネマでもやってたよ。とにかく音響と音楽が本当に良くて、映画館で見れてよかった。
吉田:青春モノの側面もあるみたいだね。若い女子とかでも見れる感じ?
安里人:そこまでエグいシーンないから見れると思うよ。この映画のシンプルで根源的な恐怖の見せ方はこれからのホラー映画に影響を与えると思う。
吉田:そんなにすごかったんや!もう、全然チェックできてなかったよ。ビールとポップコーンな感じで、DVD借りて見てみよう (笑)
安里人:吉田さんの2本目は?
吉田:どれにしようかな。ああ、本当にみなみで上映したやつばっかだ (笑)。インド映画『PK』!
安里人:おっ!『PK』!これ良かったよね。
吉田:これは『きっとうまくいく』っていう2013年に公開して、大ヒットした作品の監督と主演が、再びタッグを組んで作った映画。11月にみなみで上映して好評やったから、また年末〜年明けにかけてアンコール上映する作品なんやけど、内容は『地球に落ちて来た男』なんよね。地球に降りてきて、宇宙船を呼ぶリモコンを盗まれて帰れなくなってしまう宇宙人の話。
安里人:確かに『地球に落ちてきた男』。でも、『地球に落ちてきた男』との最大の違いはやっぱり宗教をネタにしてるところ。
吉田:そう。主人公の宇宙人PKが、地球語 (インド語) を習得して、地球人に恋をして、地球の神様っていう人物に「誰?何人いはんの?」って疑問を持って……っていう盛りだくさんな内容。
安里人:インド映画の割にそこまで歌と踊り推しじゃない印象を持ったよ。
吉田:インド映画って歌って踊ってなんぼなんやろけど、この監督はそれだけじゃなくって、とても深いテーマをきっちりエンターテイメントにしてくれる。
安里人:凄いベタなギャグとかもあるけど、この時代にあそこまで宗教を皮肉れるのはインドっていう特殊な文化圏だからこそできたんだろうなって思いました。意外なことにこの映画アメリカでも結構ヒットしたらしくて、国とか文化関係なく誰でも楽しめる映画なんじゃないかなって思う。
吉田:宗教のくだりは、これがインドで作られて、しかもヒットしているっていうことにびっくりだし、他の国でもかなり受け入れられているというのがすごい。自分は日本人だし、これといった信仰する宗教を持ってないから、一歩引いた目線で見れたけど、他の文化の中ではどんな受け止め方をしたのかなとかも気になるね。
とにかく楽しくて、面白くて、泣けて、そして普遍的な疑問を投げかけてくれて、見た後は誰かに進めたくなっちゃう本当に大満足な映画でした。はい、3本目!
安里人:3本目は『ザ・ウォーク』。これは完全メジャー系だね。
吉田:ジョセフ・ゴードン=レヴィット!見逃し系!ていうか、今年公開した映画、ほとんど見れてない!見たかった!これ見たかったんだよ〜!自分の感覚としてはあっという間に終わってた。館長失格!(笑)
安里人:ロバート・ゼメキスが監督したこの『ザ・ウォーク』とスピルバーグの『ブリッジ・オブ・スパイ』、そしてイーストウッドの『ハドソン川の奇跡』って今年公開された3本の映画が自分の中でセットになってる。どうしてセットかというと、3本とも巨匠監督が実話をベースに作ってて、熟練の技で魅せてくれる傑作。実話ベースってことは物語的には周知の事実だったり、調べたらどうなったかはすぐわかるんだよね。『ザ・ウォーク』なんかは『マン・オン・ワイヤー』ってタイトルでドキュメンタリーにもなってる。
吉田:『マン・オン・ワイヤー』はみなみ会館でも数年前に上映したね。事実は小説より奇なりと言いますが、どうフィクション化して、エンタメ化させるのか。
安里人:『マン・オン・ワイヤー』はみなみ会館で観ていたから、主人公の貿易センタービルを綱渡りするって無謀な挑戦がどうなったかは知っているわけ。それでもこの映画は緊張しっぱなしだったし、本当に匠の技に酔いしれたよ。ベテラン監督が全く気をてらわずに青春映画として綱渡り師の映画を作る。それだけでも十分に贅沢な映画だと思うんだけど、IMAX3Dっていう新しい効果を見事に使いこなしてるっていう技術面でも素晴らしかった。そして『ザ・ウォーク』は貿易センタービルっていう今はもうないアメリカの風景への葬いの儀式のようにも見えて、正直最後は泣いちゃった。 小説でもアートでも舞台でも出来ない、映画でしか体験出来ない何かを感じさせてくれる映画でした。
吉田:そうなのか……ビルとビルの間の大パノラマと、肝がヒュンってなりそうな感じ、劇場で味わいたかったな。
安里人:劇場で見れなかったのは残念だけど、本当にいい映画だから今からでも是非見てみてね。吉田さんの3本目いきますか。
吉田:こうしてまた見なければいけない映画リストが増えていくのであった…… (笑)。私の3本目は、『この世界の片隅に』です。こないだ、桂川イオンに見に行ってきました。見事なアニメーション作品でしたよ。
安里人:話題になってるよね。正直なところアニメーションは全然見ないんで、魅力を教えてください。
吉田:これ、日常系のアニメーションなんですよ。戦争している事が当たり前になっている時代の人たちの日々が描かれている。まだ見てない人も多いと思うから、多くは言わないけど、とにかく優しいのよ。じんわりと心にしみる。戦争ものってかなり心がえぐられる事があるし、辛くなってしまうことも多いんやけど、この作品はその時代を生きた普通の女性が主人公で、敵の姿も描かれないし戦闘シーンもない。悲惨な時代でも人々は笑うし、恋をするし、嫉妬もするし、できる範囲でオシャレもするっていう日常が描かれてる。この時代にこの人たちは生きていたんだなって。
辛いシーンもあるんやけど、見終わった後に心に残るのは、じんわりとした優しさなのよね。
安里人:観てないからなんとも言えないけど、アニメーションっていうデフォルメのスタイルが、意外と内容に合っていたのかもね。
吉田:原作の絵が今流行りのアニメ的な絵柄じゃなくて、ほのぼのとした絵柄なんだけど、それを忠実に再現しているのもよかった。そして、実は一番感動したのは、エンドロールの最後に流れる、この作品のクラウドファンディングに参加した人たちの名前の数なのよ。こんなにもたくさんの人が映画化しようと働きかけたんだなっていう。膨大な数の名前を眺めながら、一番泣いた。アニメだけど、これは是非見て欲しい。
安里人君の4本目どうぞ!
安里人:実写映画にはなかなかお金が集まらない日本映画の現状を考えると、自分はちょっと複雑な気持ちになるな。じゃあ、4本目『ボーダーライン』です。『この世界の片隅に』とは真逆の暴力まみれの映画 (笑)
吉田:全然かぶらないね〜!(笑)。どういう作品?
安里人:これはメキシコ麻薬戦争がらみの事件を捜査することになった、FBI女性捜査官がCIAにリクルートされて国境の向こう側で暴力に直面するって映画。監督のドゥニ・ヴィルヌーヴは『灼熱の魂』とかの監督なんだけど、『ブレードランナー2049』の監督にも抜擢されていて、個人的に今一番期待している監督さんです。
吉田:『ブレードランナー』の続編、来年公開なんやね。楽しみです。主役はみんな大好き、ライアン・ゴズリングですしね。あかん、話を『ボーダーライン』に戻さないと。どういう風によかったの?
安里人:この映画の魅力は徐々に主人公がエミリー・ブラント女性捜査官からベニチオ・デル・トロ演じる怪しげな男に移行する点で、社会派サスペンスとして始まった映画が終わる頃には強烈な西部劇とノワールの匂いに支配されて、元来の主人公である女性捜査官と一緒に観客は打ちひしがれるしかない。そんなダメージを食らう映画。今年は『スロウ・ウエスト』、『トマホーク』、『最後の追跡』と有名ではないけど独創的で西部劇の香りを放つ、もしくは新生西部劇みたいなのが良作ぞろいだったんだけど、『ボーダーライン』は群を抜いて痺れたね。ぜひダメージを受けてほしい。
吉田:ダメージ……手に汗を握って、ハラハラしてダメージ受ける感じ?
安里人:もちろん、手に汗握るシーンはあるよ。でもそれ以上にメキシコ麻薬戦争っていう現実の悪夢世界の中で急にデル・トロ演じる怪しげな男がアンチヒーローとして輝き出すのね、一般人である主人公も観客も西部劇っていう神話からやってきた英雄の前ではなす術を無くす。そんな複雑なダメージ。わかりやすくいうなら、無力感みたいなものなんだけど、それが映画的カタルシスと同時にやってくるからたまったもんじゃなかったよ。うまく伝わったかな?ただ、好き嫌いはっきり別れる映画だとは思う。
吉田:川端くんのいう「たまったもんじゃない」って、本当に凄そうよね (笑)。しかし、上半期の映画が多いね。では、私もダメージつながりで4本目いきます!オールナイトで先行上映した映画で、01/14(土)から当館でロードショー公開する作品なんですが、『無垢の祈り』です。どんどん記憶は上書きされてしまうから、私は結構最近見た作品が多くなってしまうんやけど、完全にあとを引く映画です。
これもかなりダメージを食らう映画なんやけど、ダメージ食らうとかいう言葉なんかじゃ弱すぎるくらいで、痛めた部分をもう抉って切り捨てたくなるくらい胸糞悪くなる映画。でも見たあとずっと考えてしまうし、引きずってる。内容は少女虐待の話なんやけど、本当にひどいのに映画の作りとしてはすごく面白い。その仕掛けに気づいた時は、もう鳥肌ものやったわ。
安里人:おぉ〜〜!これは見たいやつだ!これは今度ラジオ (※2人が行っているみなみ会館のポッドキャストラジオ) で話をするよね?
吉田:関西はこれから公開するんですが、今年のカナザワ映画祭や、東京のアップリンクで見た人は、結構今年のベストに上げる人も多いと思う。これから見る人は、目と耳をフル回転させながら見て欲しい映画です!乞うご期待!
ということで、ラスト1本お願いします!
安里人:今年のベストはマノエル・ド・オリヴェイラ監督の『春の劇』です!今年のベストとか言っておきながら1963年の映画なんだけどね (笑)。オリヴェイラ追悼上映会でやっと見れました。
吉田:オリヴェイラ!どうでした?
安里人:これは本当に不思議な映画で、ポルトガルの田舎町の人たちが村人総出でキリストの受難劇を村全体を使って演じるお祭りの様子を撮ったドキュメンタリーなんだけど、ドキュメンタリーと言っても村人にインタビューするわけじゃなくて、ずっと演じているところを撮っているだけ。だからいわゆる受難劇を観ているのと変わらない。
個人的にたまらなく良かったところは、映画のはじめ、何気ない村の風景を写してるんだけど、カメラが水瓶を持った女の人を写しているといきなりキリスト (を演じる村人) が出てくるのね。その瞬間に映画はドキュメンタリーとフィクションの境界を超えただけでなく、約2000年の時も超えちゃう。
吉田:不思議な作り……。すごく面白そう。もう文章だけでたまらん。
安里人:後半のどんどんトランス状態で聖母マリアになりきっていく村の女の子の表情とか、本当にすごいよ。半世紀以上前の映画なんだけど、映画の可能性を改めて信じさせてくれるすごい映画だった。
吉田:でも、見る方法がないんだよねこれ……。本当に残念すぎる。
安里人:これは映画好きにはたまらない作品だと思う。館長特権でなんとかまた見れるようにしてください (笑)
吉田:リクエスト来た。いつか見れたらいいな。
安里人:よろしくね (笑)。じゃあ、吉田さんのラスト1本お願いします!
吉田:私のラストは……テンションガラリと変わりまして、『キングスマン』!今年公開の映画じゃない……!そうなんです。そうなんですけど、昨年上映してた時に、どうしても劇場に見に行くことができなくて……。どうしても大画面で見たいが為に、この間オールナイトで上映したんですよね (笑)。だから映画館でかかってる、大丈夫 (笑)
もうね、コリン・ファース演じるハリーが素敵すぎて……。教会のシーンは今年もう何回見直したかわからないほど。編集のつなぎがどうなってるのか、分かってしまうくらい見てしまった。
安里人:だいぶ無理やりねじ込んだな (笑)。でも確かにあの教会のシーンはすごい。あの一見長回しに見える編集のつなぎがどうなってるかわかるほど見た吉田さんもすごい。
吉田:もう、映画って楽しい!本当に、それだけでいいよね〜!楽しい〜!ヒャッハーってなりました。ラストがもう、勢いに任せすぎでごめんなさい。これはもうずっと好きなままだと思います。『アダムスファミリー』とかと同じくらい、殿堂入りしました。
安里人:勢いって大事だよね (笑)。映画館で見れて良かったね。『キングスマン』は近年稀に見るむちゃくちゃ映画だけど、それをさらっとオシャレに仕上げちゃう英国気質を感じちゃう。
吉田:本当によかった。家の小さな画面で何度も見てた、あのシーンや、このシーンたちが、大画面に映し出され時は興奮の嵐ですよ!もう、全然違うね!やっぱり映画は映画館で見なくっちゃ!と、改めて思った次第でございます。
ということで、今年のベスト5を発表いたしましたが、本当に全然かぶらなかったですね (笑)
安里人:総評として今年の映画はどうだった? 自分としては去年の『MAD MAX 怒りのデスロード』みたいなお祭り映画があまりなかった代わりに、独創的な内容をフレッシュだけど手堅い演出で仕上げる若手監督と、シンプルだけど染み入るようなベテラン監督の匠の技に酔いしれた一年って感じだったかな。
吉田:邦画界からも、結構期待の新人監督でてきてるよ。それに今年を代表する2作、『シン・ゴジラ』と『君の名は』もよかった。でも安里人君は、日本映画のお祭り騒ぎにはあんまり参加しないよね (笑)
安里人:『ディストラクションベイビーズ』とかすごくよかったけど、祭りにはなってないもんね。確かに世間的には邦画が充実してるって言われてる一年だけど、それがいいか悪いかは置いといて、やっぱり今の日本ってアニメの影響が強いんだなって実感した一年でもありました。
吉田:アニメは本当に強いよね。映画館としては、ちょっとうらやましかったり (笑)
でも祭りになっている裏側で、日々本当にたくさんの良作たちが日の目を見る事なく、上映されていってるからね。もっと沢山の人に知ってもらえるように、頑張らなきゃなって思うよ。来年はもっと他劇場に行く!それが目標です。
安里人:あと付け加えると、『最後の追跡』みたいな渋くていい映画とかキャッチーさは無いけどよくできたドキュメンタリー映画なんかがネット配信限定だったりとか、少しずつ映画配給の形も変わってきてるんだなって思ったよ。アニメきっかけでもいいから映画館に人が通うようにななればいいね。それとこの話をしてる時点ではベスト入りそうな『イレブンミニッツ』とかまだ京都では上映してないから、早く映画館で見たい!来年も充実した映画ライフを送りましょう!
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- – キングスマン
WRITER
-
1988年京都生まれ
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小学校の頃、家から歩いて1分の所にレンタルビデオ屋がオープンしたのがきっかけでどっぷり映画にはまり、以降青春時代の全てを映画鑑賞に捧げる。2010年京都造形芸術大学映像コース卒業。
在学中、今まで見た映画の数が一万本を超えたのを期に数えるのをやめる。以降良い映画と映画の知識を発散できる場所を求め映画ジプシーとなる。