このレビューは、計8枚のアルバムから、中心に配置した1枚のアルバムのバックグラウンドを紐解く、ki-ft・アンテナ共同企画【3×3 DISCS】のレビューの中心となる1枚です。
企画詳細はこちらをご確認ください。
純粋な気持ちのパッケージング
2018年1月28日、Homecomingsはジュリアン・ベイカー来日公演のオープニングアクトを務めた。淡々と歌う畳野彩加(Gt./Vo.)、一方で、全身全霊で声を張り上げ、緩急をつけて歌い上げるジュリアン・ベイカー。ともにエリオット・スミス、デス・キャブ・フォー・キューティ、マンチェスター・オーケストラといったアメリカのギターロックからの影響を受けているが、一聴しただけでは、全く違う音楽性を持っているような印象を抱いてしまう。
しかし、彼女たちに共通するのは、今この瞬間感じた気持ちをいかに表現するか、ということにあるように思う。Homecomingsの「Songbirds」は、季節の変化と共に気持ちが揺れ動く様や人を好きになった一瞬をとどめておきたいといった歌詞が象徴するように、今この瞬間に感じた気持ちを大事にしたいという意図が見える。一方ジュリアン・ベイカーは、押さえきれない気持ちが高揚する様を、歌詞はもちろん、何よりも歌で示す。歌詞のストーリーが淡々としているときは淡々と、しかし、気持ちが大きく揺れ動くときは、叫ぶように歌う。今この瞬間感じた気持ちを、歌い方を合わせることで表現しているのだ。
純粋な気持ちを歌うこと、それは彼女たちが参照点とするアメリカのギターロックバンドが代々と行ってきたことである。
第三回【3×3 DISCS】:Homecomings『Songbirds』を中心とした9枚のアルバム
You May Also Like
WRITER
-
浜松(出身)→東京(大学)→大阪(就職)→川越(転勤・4月から)。地図製作が生業。最近の楽しみは海外フェス巡り。ザルのようにお茶を飲むのが好き。
OTHER POSTS