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【SXSW2019】インタラクティブの「変化」を読み解くと、そこにはSXSWからのメッセージがあった

OTHER 2019.06.12 Written By 長井 和裕

2018年に続いて、今年もSXSWに参加をしてきた。アンテナが注力取材をしているSXSWミュージック・フェスティバルはもちろんだが、私はテックビジネスの仕事に関わっているので、インタラクティブ・フェスティバルもSXSWに参加するうえで欠かせないものとなる。

 

インタラクティブ・フェスティバルは、INTERACTIVE INNOVATION AWARDSとトレードショーが最低限押さえておくべきポイント。今年は昨年との「変化は何か?」をキーワードに回ってみた。

部門の「変化」から、最前線の世界を知る

今年のINTERACTIVE INNOVATION AWARDSでは、ノミネート部門に変化があった。13種類と全体の数は変わらないが、「Speculative Design」、「Social & Culture Impact」と「Robotics and Hardware」の部門が新設。部門の変化からも、一年間のインタラクティブ業界の流れやイノベーションを垣間見ることができる。

例えば、「VR & AR」の部門では複合現実を意味する「MR」が追加されていた。MRで期待されるのは、バーチャルオフィスと予想され、現実世界とバーチャル世界の融合がより進んでいることがわかる。

 

また「New Economy」の部門では、生体認証をデータベース化するCLEARが表彰を受けた。CLEARで登録された生体認証のデータは、身分証明書にも決済手段にもなる。既にアメリカの空港やスタジアムで実用が始まり、自身の目と指先があればチェックイン・入場、さらには飲食の購入を済ませられるすぐれもの。

日本ではpayサービス市場への相次ぐ参入、楽天ゴールデンイーグルスやヴィッセル神戸のスタジアムでキャッシュレス推進が始まっているが、CLEARはさらにその先をいく世界。目や指先自体がデバイスであり、生身の体だけで完結できる利便さは実際に体験したいなと感じた。今回はじめての体験となった出国時の成田空港の顔認証ゲートでさえもインパクトがあったので、パスポートすらいらない入出国ができる世界は楽しみだ。デバイスレスの強みからチケットの転売のような課題解決へも期待したい。

また、個人的に好きだった「Scifi No Longer(=SFの世界が現実になるで賞)」は廃止に。しかし、ただ廃止されたのではなく、「インタラクティブの力で実現できないことはない、あたりまえとなったのだ」というSXSWの意思表示とも捉えられる。

どう使うか?への「変化」

続いて、トレードショーの変化。まずは昨年は多く見られたVRやIoT関連の出展が減っていたこと、音楽に関連する出展が増えていたことがあげられる。

VRやIoTの減少については、ハード面では一定のレベルまで達したからだろうか。次のステップとして、「ハードや技術をどう使うか?」の観点でのサービスのショウケースが増えていたように感じる。印象的だったのは、LUSHのポップアップショップ。回転寿司のように、お菓子を模したファンシーな石鹸が流れており、気になる石鹸にスマホをかざすと詳細ページが表示され、そのまま購入もできる仕組みに。お店ではレジを挟まずに、はたまた友人の家でも「いいな」と思ったらそのまま買えてしまう手軽さが魅力的だった。

音楽の出展では、タイ国内のアーティストをブッキングできるMYBAND、アーティストを始めとしたクリエイティブ人材向けのソーシャルメディアプラットフォームのDOUSIC、アーティストと広告主(支援者)をマッチングさせるBYG MUSICが主だったところ。いずれも「アーティストを繋げていく」をコンセプトしており、これらも「アーティストというコンテンツをどのように使ってもらうか?」の観点を見受けられる。

一方で、インタラクティブの期間において、街全体の盛り上げはやや欠けていた印象だった。昨年のPanasonicやYouTubeのような中心部での出展が減り、落合陽一氏がプロデュースした日本館、新Galaxy S10+が展示されたSamsungといった展示会場はコンベンションセンターからは少し離れた場所に。そのため、6thストリートを中心に街を上げてのお祭り感は薄くなっていた。個人的にはSXSWはインタラクティブから始まり、音楽で終わるまでを通してのお祭り感が醍醐味だったので、残念な点に感じている(音楽の期間はお祭り感を取り戻していたのでなおさら)。

「変化」から見えてきた、SXSWのメッセージとは?

「変化」をキーワードとしてまわった今年のSXSW 2019。SXSWは新しいアイデアや創造的な技術に触れることができるフェスティバルであり、参加するならやはり気にしておきたい。私自身、初めての参加ではノーインプットでショウケースやアワードをまわって、そこで見るもの聞くものに刺激を受けていた。しかし、ただただ「すごいな」で終わっていた部分もあるのが正直なところで、今年は「すごいな」で終わらせないために、変化を意識することに。すると、今年のSXSWで注目されているポイントが掴め、さらにはインタラクティブの最前線が目指している先の世界をより意識してチェックできたように感じる。

 

いま時点だとSFの世界でしか実現できないことも、何年か先のあたりまえになっている。これからの変化を想像し、楽しむこと。それが今年のSXSWからもらったメッセージだったように思う。

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