REVIEW
NEW ISLAND ROMANCE
浪漫革命
MUSIC 2019.11.05 Written By 丹 七海

浪漫革命 - NEW ISLAND ROMANCE

まるで、12枚の写真を綴じた写真集をめくるような。M12“青い春”の余韻に浸りながらイヤホンを外したとき、1冊のアルバムが胸に浮かんだ。

 

2017年に結成され、わずか3ヶ月でSUMMER SONIC、RISING SUN ROCK FESTIVALに出演し、快進撃を続ける浪漫革命が満を期してリリースした1st Full Album『NEW ISLAND ROMANCE』。

はじめてM1“KYOTO”を聴いた時、夜の街を歩いている気分になった。イントロで響く鈴の音に引き込まれ、徐々に二重奏のギターとボーカルが絡まり合う。ハイトーンでひょうきんな声色が、千鳥足で夜の街を練り歩く人々を連想させる。飲み会に向かう道のりが「木屋町通りから明けぬ夜へ」に、酒の回った人々が歩く小路が「酒精に満ちてる夜の旅路」に。彼らは当たり前の日常を、一枚の写真に切り取る技術が優れているのだろう。何気ない日常が、浪漫革命の手にかかれば愛おしい僕たちの毎日へと様変わりするのだ。

M3“サマタイム”は夏休みの楽しさと、それがいずれ終わる寂しさの二面性を持つ楽曲だ。ありったけの夏が込められた歌詞、一方で秋へ向かう憂いをエレキギターが緩やかに奏でる。M4“キンモクセイ”では、もう隣にいない君への滔々とした追想をスネアドラムが淡々と刻む。烏丸通か、四条通か、はたまた河原町通か。大通りに佇む青年の哀愁を、ボーカルが切なげに歌い上げる。M6“愛は1/2”の曲調は、思わず体が揺れるコミカルな仕上がりだ。麻婆豆腐、炒飯、蛋花汤(タンホワタン)……。食卓に並ぶ鮮やかな中華料理に、空腹が刺激されること間違いない。

千変万化する曲調は、あるときは酩酊気分で歩く夜道を、あるときは大通りに佇む青年を想起させる。そして“青い春”を聴き終わったとき、聴き手の脳裏には12の日常が広がるのだ。その日常は浪漫革命が切り取った12枚の写真であり、それらは決して色褪せることはない。写真の正体は何年経っても変わらない、当たり前の日常だからである。10年後のある日には帰省した田舎の風景が“サマタイム”と重なり合う。またある日には、パートナーと訪れた中華料理屋で“愛は1/2”を思い出す。『NEW ISLAND ROMANCE』は音楽アルバムでありながら、日常を切り取った写真集でもあるのだ。

12月の山口公演を皮切りに、名古屋・大阪・東京のツアーを控え、とどまることなく成長を続ける浪漫革命。次はどんな風景を見せてくれるのか、楽しみでたまらない。

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