KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023 「BORDER」
MV:WANDERING, 2022, My Autumn series,Photo courtesy of Alejandro Gonzales
『KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭2023』は京都市内を舞台に国内外のフォトグラファー・アーティストが街を彩る特別な1ヶ月。このイベントを目的に遠方から足を伸ばす方も珍しくなく、その魅力の一つは毎年変化する会場のラインナップ。熱心に会場を回るだけで、二条城などの歴史的建造物からモダン建築のひとつである京都文化博物館、さらに出町柳商店街や世界倉庫など、京都を北から南まで楽しみ尽くすことができる。
KYOTOGRAPHIEはこれまでも、写真を通して感動を与えるだけでなく、社会が抱える問題や多様性を訴えてきた。11回目を迎える今年のテーマは「BORDER=境界線」。個を個たらしめるために必要なものであり、常に不安定な関係性の中でゆらぎ続けるBORDERは、昨年度の「ONE」というコンセプトと地続きな印象を受ける。テーマについて、共同ディレクターのルシール・レイボーズと仲西祐介が次のように述べている。
あらゆる生命体はさまざまな《BORDER=境界線》を持ちながら生きている。
その境界線が個々の存在を形成しているともいえる。
そしてそのほとんどは不可視なBORDERであり、それぞれが日々その境界線を守り・壊し・狭め・広げながら無常に生きている。
あなたには自分のBORDERが見えているだろうか。
KYOTOGRAPHIE 2023では、そのBORDERを少しだけ可視化してみたい。
その境界線は、自分で作ったものなのか、他者によって作られたものなのか。
それは守られるべきものなのか、超えるべきものなのか。
もしかしたら、自分の「思い」によって変えられるものなのかもしれない。
2023年、KYOTOGRAPHIEでこの《BORDER=境界線》を巡る旅に出よう。
KYOTOGRAPHIE 京都国際写真祭 共同創設者/共同ディレクター
ルシール・レイボーズ&仲西祐介
https://www.kyotographie.jpより引用
メインプログラムにはキューバの現代アートシーンで活躍のマベル・ポブレットをはじめ、写真分野で最大の賞、ハッセルブラッド賞を受賞したボリス・ミハイロフ、コートジボワールが拠点のジョアナ・シュマリらが集結。ジェンダー問題を提示する『世界報道写真展』や、『クリスチャン・ディオール 夢のクチュリエ』展のカタログ撮影を手がけた高木由利子も参加する。
2013年から続く写真家・キュレーターの発掘と支援が目的のサテライトイベント『KG+』も健在で、25ヶ国から集まった300人による展示が京都各地で開催。さらに今年は姉妹イベントとして、ワールドミュージック・現代音楽・クラシック・電子音楽・ジャズ、に文楽も加えた、国際音楽祭『KYOTOPHONIE Borderless Music Festival』も同時期に開催することが決まった。「写真展」という垣根を超える挑戦に、今後への期待がより高まる。
私たちは、思ったより自分の関心に行動が制限されていることも多い。だからこそ、音楽やアート、世代といった領域を横断する『KYOTOGRAPHIE』にぜひ足を運んでみてほしい。圧倒的なコンテンツボリュームだが、心地良い春の京都を、寄り道をしながら会場を巡るだけでも十分に楽しめること間違いない。
INFORMATION
日時 | 2023年4月15日(土)〜5月14日(日) |
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場所 | 京都市内各所 |
参加アーティスト | マベル・ポブレット |
Webサイト |
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WRITER
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2002年生まれ。京都市立芸術大学 美術学部 総合芸術学科在学。つよくてやさしい言葉が好き。休日は窓のない部屋で本を読んでいます。
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