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彼方からの手紙「ウサギバニーボーイが見た広島」第18回:健康

MUSIC 2017.12.01 Written By ウサギバニー ボーイ
無くして初めてわかるもの、親の愛情、彼女の温かさ、あいつの友情など数多くこの世の中に存在しますが、そのひとつに健康がありますね。
 
昨年ウサギバニーボーイは京都グローリーの安齋くんのレーベルからCDを出させてもらっていろいろ迷惑をかけていたので、なんらかの恥ずかしくない程度のお礼を考えていたところ、京都にライブに行って安齋くんの家に泊めてもらった日の朝に安齋くんの嫁(当時、彼女)であるえみちゃんと話をしていたところ、
 
安齋くんは九州男児でどうも自分は特別身体が丈夫だと思っている節がある。
・こないだも相撲で怪我したのに、大丈夫といって頑なに病院に行かない。
 ※相撲の怪我は尋常じゃない足の腫れなどがあり、日常生活にも支障をきたしていた。
・結婚もするし、不規則な生活で体調が心配だ。
・安齋くんは九州男児で嫁(当時、彼女)の言うことは聞かない。
 
ここまで聞いて、僕はピンときましたね。
安齋くんは僕と一緒で病院が嫌い。もし悪いところがあってそれがもう治らない場合、告知だけされても超困る。ダウナーに入って死を待つのみじゃないか!という僕の思想と
多分似ているんだなと思いました。要は病院が怖いんです。ここまで考えが至ると、自ずと答えは出てきました。
これはウサギのCDの売り上げで安齋くんに健康診断を受けさせよう。
しかし、えみちゃんが言うと、絶対行かないので年上という特権を持っている僕が半ば強制的に行かせよう。えみちゃんに感謝され、安齋くんには多少のいやがらせ?と共に
感謝を示せるのでこれはいい!と思いました。
 
そして、安齋くんのほうを見ると土気色の笑顔を振りまいていたので、これは何かひっかかるぞ。とも思いました。
 
このことを安齋くんに伝えると予想通り、「いやです。」「行かないです。」「大丈夫ですって」の口撃を受けました。
もちろん年上の特権でそんな意見は払いのけ、「分かりました。行きます。」と白旗を上げさせて、ウサギバニーボーイのCD発売数か月後、めでたく安齋くんは堀川病院へ健康診断へ行きました。
 
結果は廻りが思っているより悪くなかったのですが、やはり本人だけは俺は特別に大丈夫だと思っていたようで、ちょっとだけ結果にショックを受けたようで、飲酒の量が減ったそうです。
安齋さん
そこから1年余り…
本人の飲酒の量は戻り、健康診断のことを忘れているころに先日、僕は京都にライブをしにいきました。
その際に今年は安齋くんのレーベルでEmu sickSがCD出すのでその金で健康診断行ってね。と安齋くんにグローリーのカウンターで話をし、また「いやです。」「行かないです。」「大丈夫ですって」の口撃を受けていたころ、廻りでその話を聞いててくれた子たちが「ほう。これは面白そうだぞ」と思ってくれたのか、ライブの最中に「#安齋健康募金」なる募金箱を作って、募金活動を始めていました。
 
ライブ途中から開始された募金活動にも関わらず、ライブが終わる頃には10000円以上の募金が集まっていました。ライブに来ていたえみちゃんも
「1000円くらいかと思ってたら、こんなに貯まってびっくりやわ」と言ってました。
 
募金という名の善意で埋められた外堀から逃げ出すのは至難の業です。こうして安齋くんは今年も病院にいくことは決定したのですが、健康診断は10000円くらいですが、人間ドックにぶち込もうと思ったら、40000円くらいの費用がかかるのです。
 
そこでこれからグローリーにライブなどで遊びにいって、尚且つ安齋くんを知っている方がいらっしゃれば、是非本人が望んでおらず、非常に恐れている人間ドックにぶち込むための募金をよろしければご協力いただければと思い、このコラムを更新しました。
 
よろしくお願いします。
 このライブの日も安齋くんの家に泊まり、えみちゃんと話をしていましたが、
 
「この人(安齋くん)は本当に若いバンドマンや一生懸命バンドやってる子たちに対して一生懸命やってはるんですよ。昨日の募金見てて、洒落で1000円でも
入ったらええなぁって思ってたんですけど、1日であんだけ集まって、この人の人徳は立派なもんだなと思いましたよ。びっくりしました。ま、お金も出ないのに打ち合わせと称して休みの日も事務所に行っててなんやねん。って思うこともありますけどねハハッ」
と言ってました。
 
なんかこれをえみちゃんが言ったときに、とても美しい光景に触れた気がしたので最後に文章を浄化するエピソードとして載っけときます。
 
僕は人生の最期、葬式はバンドで叶えてないソールドアウトを狙っていますが、安齋くんの葬式はKBSホールソールドアウトやな。と思いました。
 
以上です。

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