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加納エミリ、1stアルバム『GREENPOP』リリースツアー京都編

MUSIC PR 2020.01.22 Written By マグナム本田

1stEP『ごめんね』でニュー・ウェーヴおじさん達の心を鷲掴みにした「ネオエレポップガール」加納エミリの1stアルバム『GREENPOP』リリースツアーの京都編が2020年1月26日西院ネガポジにて開催される。共演は本日休演、象の背。絶対楽しいので行きなさい。以上。

 

で締めたいところではあるが、誠に遺憾ながらここ関西では「加納エミリ」という稀代のアイドルにしてソングライター、トラックメイカーの知名度が高いとは言えないのが現状。というわけで、若干筆者の自分語りが入ってしまうが、彼女について少しご説明したい。

 

半年ほど前のこと、筆者がなんの気なしにラジオを聴いていたところ、重めのキックにリバーブの効いたスネア、打ち鳴らされるアゴゴという、ある一定の年齢以上の者であれば誰もが思い浮かべる所謂「80’sサウンド」が流れ出した。その後オクターブのベースが重なりだしたところで筆者は手に持っていた缶ビールを置き、真剣に耳を傾けることにした。おそらくBaby’s Gangの『Jamin』が元ネタであろう。ここまでは完全にニュー・ウェーヴマナーを遵守している。さあ、その後の展開は……というところで鳴り響くシンセリードで既に筆者は絶頂に達していた。そこに女性のボーカルが乗る。妙に湿っぽくもあり隙のある歌詞とメロディーだ。そしてキメのフレーズは「ごめんね」である。DJが曲名とアーティスト名を発したところですぐに検索。驚くことに作詞、作曲、編曲、すべてを自身でこなすアイドルであるようだ。件の曲『ごめんね』のMVも発見。即再生し、また衝撃を受けることとなる。その衝撃については聴いて、観て頂くのが一番早いだろう。

VHS画質の画面の中に非常に整った顔立ちの女性が現れ、軸のない、あまり上手くない、と言うよりトンチキなダンスというかポージングを決めていく。次のシーンではキメ顔でYAMAHAのショルキーを弾いている。「はい、100点!」と筆者は声を出して缶ビールを飲み干した。

 

以来、知人に「最近なんかいいのある?」と問われた時は必ず「加納エミリってアイドルが凄いよ!」と応えるようになる。

 

同じようなエレポップを歌う女性シンガーというとTommy februaryを思いだす方も多いだろう。彼女のサウンドは隅々まで緻密に計算されているが、対して加納エミリはあまりにもどんぶり勘定である。貶しているように聞こえるかもしれないが、80’sエレポップの本来の魅力とはその隙の多さだと考える筆者にはこちらの方がフィットした。「シンガー・ソング・ライター」ではなく「アイドル」というフォーマットを選択しているのもいい。

 

そして昨年11月に満を持してリリースされた1stアルバム『GREENPOP』ではニュー・ウェーヴ、エレポップだけに囚われないソングライティング、トラックメイクを世に示した。

全曲おススメ!」でまとめたいところだが、特に光るのは普通のJ-POPプロデューサーなら絶対に選ばないであろうシンセブラスの音+ラッツ&スター風の歌謡ドゥーワップ『恋愛クレーマー』、NOLANS風のトラックにすべての童貞を引きずった者たちが喜びそうな歌詞の乗った『二人のフィロソフィー』、そしてアルバムの実質的ラストナンバー『Moonlight』だろう。この『Moonlight』では彼女が小学生の時から憧れていた宇多田ヒカル風のコーラスワークがフィーチャーされ、「自分は(宇多田ヒカルのような)王道とかかっこいいアーティストになれるタイプの人間ではない」と語りながらも、奇をてらわない、彼女の次のステップを感じさせる曲となっている。

 

その『GREENPOP』を引っさげたツアー京都編、ネガポジというクセの強いハコ、そしてそこの常連である本日休演、象の背とのケミストリーも楽しみだ。2020年は制作に専念するためにあまりライブを行わないという。階段を昇る途上の彼女を見逃すと後悔することになるだろう。

日時

2020年01月26日(日)
開場 18:00 / 開演 18:30

会場

西院ネガポジ

出演

加納エミリ / 本日休演 / 象の背

料金

前売り ¥2,500 / 当日 ¥3,000

+1ドリンク ¥500

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