EVENT

PATERSON パターソン

MOVIE 2017.09.24 Written By 安尾 日向

毎日まいにち、くり返しの日々。目の前には処理しなければならないことが積もっている。生きるためにそれらと戦っているうちに、すり減っている自分に気づく。仕方のないことだろうか?

 

『ナイト・オン・ザ・プラネット』や『コーヒー&シガレッツ』など、彼らしい世界観で映画を撮り続けてきた巨匠、ジム・ジャームッシュ。前作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』は、京都みなみ会館とアンテナの共同オールナイト上映イベント「思わず誰かと話したくなるナイト」でも上映され、3本立ての3本目として緩やかに朝へと導いてくれた。

そんな前作から約3年ぶりの新作『PATERSON パターソン』が、9月23日から四条烏丸にある京都シネマにて公開される。

 

舞台はアメリカ、ニュージャージー州パターソン。そこに暮らすバス運転手、町と同じパターソンという名を持つ男の一週間の日々がスクリーンに映し出される。彼は詩をこよなく愛し、彼自身もまた毎日詩を書きながら暮らしている。朝、勤務前のバスの中で。昼、休憩中の公園で。彼の書く詩とともに、物語は進んでいく。

 

『パターソン』予告

丁寧に、丁寧にくり返される彼の日常風景の描写を眺めるうち、僕は自分の中のすり減った部分に触れる。目の前のことに囚われ過ぎて、ひとつひとつのことを味わって生活することを忘れてしまっている。どういう気持ちで、どういうことを感じながら生きていきたいか。大切なことを大切にできていないかもしれない。

 

個人の生活はそれぞれまったく違う呼吸を持っている。けれど、『パターソン』を見ると、「普遍性」のようなものを感じる。生活はいつも、そのままで美しい。

上映期間

9月23日(土)〜10月27日(金)

場所

京都シネマ

WRITER

RECENT POST

SPOT
STUDIO MONAKA
REPORT
【SXSW2018】CHAI、DYGL、Superorganismから考える、世界と日本の音楽シーン
REPORT
【SXSW2018】SXSWが開催されるオースティンってどんな街?
REPORT
【SXSW2018】未成年でもSXSWは満喫できるのか!?
INTERVIEW
只本屋・アンテナ対談。 “3つの場所” をテーマに、フリーペーパーの価値を考…
REPORT
編み物の魅力は「人とのつながり」?——映画『YARN 人生を彩る糸』レポート
REPORT
【安尾日向が見たボロフェスタ2017 / Day3】ストロベリーパンティース / yahyel / …
REPORT
【安尾日向の見たボロフェスタ2017 / Day2】CARD / キュウソネコカミ / Alfred…
REPORT
【安尾日向の見たボロフェスタ2017 / Day1】台風クラブ / MOROHA / テンテンコ /…
REPORT
誰でもウェルカムな最高の夜—Turntable Films presents 「Welcome」vo…
INTERVIEW
HOLIDAY! RECORDS、この夏の新デザインTシャツ完成!ボツ案含めて全部見せますインタビュ…

LATEST POSTS

INTERVIEW
黒沼英之がEP『Lonely together』で描いた、寂しさの本質。旧友・小橋陽介のアトリエにて

10年間の音楽活動休止を経て、復帰後初のEP『Lonely together』を11月26日(水)に…

REVIEW
曖昧さを受け入れながら考え続けることのすゝめ – 櫻木勇人『余白』

曖昧さを受け入れながら考え続けることのすゝめ 曖…

COLUMN
【2025年11月】今、西日本のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「各地域のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」このコラムでは、西日本エリ…

REPORT
ボロフェスタ2025 Day3(11/3) – 街の底に流れるドン・キホーテの精神

「私たちがいつでも帰れる居場所」。昨年の『ボロフェスタ2024』のライブレポートでそう書いた。これは…

REPORT
ボロフェスタ2025 Day2(11/2) – 音楽と生きていく。孤独が解けたこの場所で

2025年11月1日(土)から3日間にわたり『ボロフェスタ2025』が開催された。今年は、『ナノボロ…