REVIEW
Musical Massage
Leon Ware
MUSIC
2018.03.07
JTがR&Bアイコンとして捉えられている訳
ジャスティン・ティンバーレイクにとって官能性は重要な要素である。彼の『FutureSex/LoveSound』では、甘い歌声と息づかいで官能的な世界を表現。シアラとの”Love Sex Magic”や、彼が制作で参加していたビヨンセ「Blow」も同様である。前作収録の”Pusher Love Girl”では洗練されたサウンドで円熟味を増したセクシーな大人の男というイメージを確立した。女性の息づかいを思わせる吐息が使われた”Filthy”はその流れの曲だ。
彼以外にもRケリーやトレイ・ソングス、ジェレマイなど官能表現を得意とするヴォーカリストは多い。この流れを辿った時、男女の絡みを吐息という直接表現に変えてしまったという意味でもリオン・ウェアは重要だ。それがモータウンのソングライターだった彼が1976年に制作した2枚のアルバムだ。R&B史上最もセクシーなヴォーカリスト、マーヴィン・ゲイ『I Want You』と彼のソロ『Musical Massage』である。後者の方は、ゲストにミニ―・リパートンを迎えているが、アルバムを通して聴くとノリノリのリオン・ウェアが一方的に鼻息を荒げているようにしか聴こえないのが聴き所だ。この視点から考えてみるとジャスティン・ティンバーレイクがポップスターとしてだけでなくR&Bアイコンとして捉えられている訳がはっきりするのではないだろうか。
第一回 :Justin Timberlake - Man Of The Woods
選定者:ki-ft
WRITER
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86年生まれ、神戸在住。好物は神戸のパン屋『アルティザン』のスペシャル・クリームパン。
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