REVIEW
Hidden Figures Soundtrack
Various
MUSIC
2018.03.07
抑圧され、立ち上がった女性たち
肉体的なリズムや音を楽曲に持ち込むことを得意としているファレル・ウィリアムスではあるが、ここに来て女性に着目をした作品作りを行っている。
本作は、全曲書き下ろしとプロデュースを行った映画「Hidden Figures」(邦題:ドリーム、2016年アメリカ制作、2017年公開)のサウンドトラック。映画のテーマが黒人女性数学者の知られざる全米初の有人宇宙飛行への貢献ということで、彼女たちの葛藤と意志の強さ、そして成功を、ゴスペルやR&B、黒人の肉厚的なボーカルや躍動感あるリズム、そしてストレートな歌詞で彩る。ファレル自身が彼女たちの気持ちになりきって歌った「Runnin’」は、当時NSAで起こっていた黒人女性の不当な扱いを自明の下にしている。
他方、ファレルがプロデューサーとして参加したジャスティン・ティンバレイクの『Man of the Woods』の1曲、”Supplies”のMVは、ジャスティンが見ているモニターには「Me too」が映し出され、かつ、女性が活躍するストーリーとなっている。これは、ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラに対する告発を発端として、女性の権利や人権に対する世界的な動きとなった「Me too」を示し、女性たちが世界をより良い方向に導こうとしている姿のように見受けられる。
両者に共通しているテーマである女性たち。ファレルとジャスティンは、強いものがより強く権力を発する時代に、力のある弱者がやがて、強者を脅かす存在になることを示唆している。
第一回 :Justin Timberlake - Man Of The Woods
選定者:ki-ft
WRITER
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浜松(出身)→東京(大学)→大阪(就職)→川越(転勤・4月から)。地図製作が生業。最近の楽しみは海外フェス巡り。ザルのようにお茶を飲むのが好き。
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