EVENT

ROTH BART BARON×キツネの嫁入り presents ~ROTH BART BARON “HEX” RELEASE PARTY~

11月7日にニューアルバム『HEX』をリリースしたROTH BART BARONがリリースツアーを実施する。この冬にかけて全国各地を回り、京都では12月8日に木屋町UrBANGUILDにてキツネの嫁入りと共催のツーマンライブが行われる。

 

ROTH BART BARONの音楽からは、肉体を離れたスケールの大きい力を感じる。宙を流れ漂うようで、大地も森も動物も人間も、全ての中に流れる血の巡りのような音楽。それは三船のボーカルの力が大きく、ファルセット気味の空気を沢山含んだ声がすべてを包み込むように広がっていて、それを演奏が一切邪魔していない。むしろ各楽器はそれを鮮やかに彩り、更に効果的に押し広げている。この地球の命全体を感じるような神の視点とも言うべき壮大さ。けれどそんな浮遊する音の中でも紡がれる一つ一つの言葉はきちんと明確に聴こえるのだ。その言葉は日常に縛られた心をチクリと刺すように痛いところを突いてくる。ただ、基本的にはとても優しい音楽だ。大いなる存在に赦されるような優しさ。

ROTH BART BARON - HEX -

それで言うとキツネの嫁入りの音楽は正反対だ。敢えてすべてを“造った”音である。変拍子に変拍子を重ねて必死に何かに抗おうとしている姿勢に、当たり前を疑い壊そうとする鬼気迫るものを感じる。失礼を承知で言えば、ありきたりの優しさとはほど遠い。そしてキツネの音楽も言葉がとてもストレートに耳に届く。容赦のない言葉でぶった切られ突き放されているような痛み。でもたぶんそれは単に冷たいとかではなく、きっと彼らなりの誠意なのだろう。そしてこの変拍子だらけの“造った”音は翻ってとても“人間らしさ”を感じさせる。型にはめられることに必死に抗う人間の命を感じるのだ。

 

どちらにも共通するのは、生きた人間の音と言葉が聴こえるということ。殊に、ロットの新譜は今までの神のような浮遊する視点から、少し地上の生活に降りてきたような印象を受けた。地に足を付けてより人間の言葉が鳴っている。

 

パッケージされた音源でさえ、そのパッケージには収まり切らないほど命の音が溢れ出しているのだから、実際にライブで生の音を鳴らされたら聴いている我々は一体どうなってしまうのだろう。身体が呼応して血管を巡る血が共振し息が出来なくなってしまうんじゃないか。全く異なるようでいて実は根底に同じ命が流れている、この2組の共鳴を是非とも生身で感じに来て欲しい。

 

(ライター:キャシー)

キツネの嫁入り - 同じ顔の行進 -


ROTH BART BARONの過去作と比べると、新作『HEX』は彼らのシンボルともいえるファンタジー映画のようなスケール感からやや距離を置いた作品だ。シカゴ・ヒップホップ・シーンで活躍するL10MixedItにミックスを依頼した「HEX」や「SPEAK SILENCE」を筆頭に、より抜かれた音の一つひとつに堅固な芯がありつつも、過去作に劣らないふくよかさも別の鳴り方でしっかりと残っている。特にラディカルかつあたたかみに満ちたベースの音がとても心地良い。ロックバンドというフォーマットから発する時代の先端へのひたむきなまなざしは、Grizzly BearやAlabama Shakesのそれにも通じるように思える。
 
さらには昨年のUKデビューと今作のプロモーションという二度のタイミングで行ったクラウドファンディング、そしてクローズド・コミュニティ“PALACE”の立ち上げと、近ごろ独自の活動路線を敷いている彼ら。今回のキツネの嫁入りとの対バンがおもしろいのは、キツネの嫁入りもまたどこかに所属しきることのない自在さをもったバンドだからだ。京都で自主企画“スキマアワー”を度々開催し、各所のアーティストとゆるやかに繋がりながらも先鋭的な音楽を作り続けるそのスタイル。昨年作『ある日気がつく、同じ顔の奴ら』のポリリズミックな1曲目「狂想」が特に象徴的だ。
 

キツネの嫁入り - 狂想(2018年9月22日 Botanical House vol.3 @磔磔にて)

外へ目を凝らし続けるか内向きにとぐろを巻き続けるか、どちらかばかりではどうにも不自由。時には閉じ時には開き、バンドへの風通しを自在にあやつる二者の交錯をぜひ目撃してください。オープニング・アクトのマチュピッチュは、京都精華大学出身・様々な施設でのライヴに定評のあるSUKIDARAKE MAFIAのボスこと松尾のソロプロジェクトです。

 

(ライター:吉田紗柚季)

日時

2018年12月8日(土)

open 17:00 start 18:00

会場

木屋町UrBANGUILD

料金

adv ¥2,800 door ¥3,300 +1D
保護者同伴に限り2名まで小学生以下入場無料

学生割引(入場時学生証提示) ¥1,000 キャッシュバック

チケット

e+

LOWSON TICKET

ぴあ

WRITER

RECENT POST

COLUMN
『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』徹底討論。マグナム本田×ナードマグネット須田によるスタ…
INTERVIEW
【実は知らないお仕事図鑑 P3:猟師・アクセサリー作家】deer bone hai / 岡本梨奈
INTERVIEW
Live House nano店長:土龍 × Fireloop店長:足立 対談- ライブハウスの店長…
REPORT
Superfriends presents 『LATE GREATS』京都編
INTERVIEW
【ベランダ】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!3rd mini album『素晴ら…
INTERVIEW
キツネの嫁入りGt./Vo.マドナシ×音楽ライター岡村詩野に聞く – 京都のインディーシ…
REPORT
【キャシーの見たボロフェスタ2017 / 番外編】ボロフェスタを支えるスタッフたち
REPORT
【キャシーの見たボロフェスタ2017 / Day3】~駆け抜けろ最終日!編~
INTERVIEW
LIVE HOUSE DEWEY
INTERVIEW
CLUB METRO
INTERVIEW
【実は知らないお仕事図鑑】P1:ディストロ 植野秀章(HOLIDAY! RECORDS)
SPOT
アジトオブスクラップ京都

LATEST POSTS

INTERVIEW
あの頃、下北沢Zemでリトル・ウォルターを聴いていた ー武田信輝、永田純、岡地曙裕が語る、1975年のブルース

吾妻光良& The Swinging BoppersをはじめブレイクダウンやBO GUMBOS、ペン…

COLUMN
【2024年11月】今、東京のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「東京のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」京都、大阪の音楽シーンを追っ…

REPORT
これまでの軌跡をつなぎ、次なる序曲へ – 『京都音楽博覧会2024』Day2ライブレポート

晴天の霹靂とはこのことだろう。オープニングのアナウンスで『京都音博』の司会を務めるFM COCOLO…

REPORT
壁も境目もない音楽の旅へ‐『京都音楽博覧会2024』Day1ライブレポート

10月12日(土)13日(日)、晴れわたる青空が広がる〈梅小路公園〉にて、昨年に引き続き2日間にわた…

REPORT
自由のために、自由に踊れ!日常を生きるために生まれた祭り – 京都学生狂奏祭2024

寮生の想いから生まれたイベント『京都学生狂奏祭』 …