REVIEW
Welcome Interstate Managers
Fountains Of Wayne

このレビューは、計8枚のアルバムから、中心に配置した1枚のアルバムのバックグラウンドを紐解く、ki-ft・アンテナ共同企画【3×3 DISCS】のレビューのひとつです。

 

企画詳細はこちらをご確認ください。

日本語パワーポップの確かな養分

ナードマグネットのインタビューでも何度か名前が挙がっているアメリカのパワーポップ・バンド、ファウンテインズ・オブ・ウェインの3枚目。現時点でのバンド最大のヒット作で、リードシングル「ステイシーズ・マム」は2004年のグラミー賞(最優秀ポップ・パフォーマンス賞)にもノミネートされている。

 

パワーポップと呼ばれるジャンルの中でも、彼らは特にメロディを強みとしているバンドだ。本作でも「メキシカン・ワイン」、「ハッケンサック」、「ヘイ・ジュリー」など、エモーショナルで起伏に富んだメロディラインの曲が多く収録されている。一方音楽性の面ではとても幅の広いアルバムで、サイモン&ガーファンクルよろしく物憂げなバラード「ファイアー・アイランド」など、“パワー”から距離を置いたものも少なくない。とはいえアルバム全体を覆っているメロウな歌心は、ナードマグネットがリスペクトする数々のパワーポップ・バンドの中でも特に強く共鳴しているように思う。『MISS YOU』で言えば、表題曲「MISS YOU」のメロディのノスタルジーは「メキシカン・ワイン」に、「海辺のルーシー」後半のドラマチックな展開と厚くなるコーラスは、それこそ「ステイシーズ・マム」のサビに重ねられる。いずれにせよ彼らのポップなメロディラインが、ナードマグネットが挑んでいる命題“日本語パワーポップの確立“の一助になっているのは間違いないだろう。

第二回【3×3 DISCS】:ナードマグネット『MISS YOU』を中心とした9枚のアルバム

選定:ki-ft・アンテナ

Guppy - Charly Bliss
真夏の目撃者 - GOING UNDER GROUND
Welcome Interstate Managers - Fountains Of Wayne
HO17 - HOLIDAYS OF SEVENTEEN
MISS YOU - ナードマグネット
The Melbourne Divide - Various Artist
Siamese Dream - The Smashing Pumpkins
CAMERA TALK - FLIPPER'S GUITAR
Make Believe - Weezer

これまでの【3×3 DISCS】

WRITER

RECENT POST

COLUMN
死を想い生を見つめる、残された者たちのポップソング|テーマで読み解く現代の歌詞
INTERVIEW
バンドでも1人でも、パレードみたいに楽しくしたい! ― さとうもか、加速する活動の手ごたえを語る
REPORT
『御影ロマンス』ライブレポート
INTERVIEW
sa/wa 改め Sawa Angstromが語る、エレクトロニック・ミュージックの楽しさと海外ツア…
REPORT
中村佳穂 2nd album「AINOU」release party 京都編
INTERVIEW
つくる歓び、あたらしい野心 – 中村佳穂 2nd Album『AINOU』リリースインタ…
REPORT
【吉田紗柚季の見たボロフェスタ2018 / Day3】Special Favorite Music …
REPORT
【吉田紗柚季の見たボロフェスタ2018 / Day2】The Chorizo Vibes / CAS…
REVIEW
千紗子と純太 – 千紗子と純太と君
REPORT
ナノボロフェスタ 2018 ライブレポート
REVIEW
少年ナイフ – Brand New Knife
REVIEW
Wanderlust – Little Big Town

LATEST POSTS

COLUMN
【2024年4月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「大阪のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」「今」の京都の音楽シーンを追…

REVIEW
aieum『sangatsu』―絶えず姿形を変え動き続ける、その音の正体は果たして

沖縄出身の4人組バンド、aieumが初となるEP『sangatsu』を2024年3月20日にリリース…

INTERVIEW
新たな名曲がベランダを繋ぎとめた。 新作『Spirit』に至る6年間の紆余曲折を辿る

京都で結成されたバンド、ベランダが3rdアルバム『Spirit』を2024年4月17日にリリースした…

COLUMN
【2024年4月】今、東京のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「東京のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」京都、大阪の音楽シーンを追っ…

COLUMN
【2024年4月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「現在の京都のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」「今」の京都の音楽シー…