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鳥彦 個展『憤怒の神殿』

ART 2019.12.12 Written By 児玉 泰地

鳥彦(とりひこ)の個展『憤怒の神殿』が12月14日(土)~12月28日(土)に、京都市の寺町通りと丸太町通りの交差点にあるGALLERY TOMO KYOTOにて開催される。

 

鳥彦は京都を中心に活動する銅版画家。2010年から作家活動を本格化させ、2013年からは毎年個展を行っている。2018年の個展『DISMAL DREAM』では一面に広がる闇と、その中で息づく架空の生物がとても印象的だった。

2015年の古典『Forsaken Cities -見放された街-』のPV

まずは鳥彦が用いる「メゾチント」という技法について説明したい。この技法は主に、「ロッカー(ベルソーとも呼ばれる)」という、銅板に傷をつけるための道具と、「スクレッパー」という、ロッカーで作った傷を削るための道具を使う。

 

まずロッカーで銅板の表面全体に「まくれ」と呼ばれる傷を作る。その状態で銅板上にインクをつけて紙に刷ると、全体が真っ黒になる。小学校の時に行った木版画は彫刻刀で彫っていない部分が黒くなるため、「まくれを作ると真っ白になるのではないか?」と私は思ったが、そうではないらしい。銅版画の場合は、まくれをつけていないつるつるの表面はインクを付けても拭き取れるため、その部分は白くなる。まくれを作るとまくれのなかにインクがたまるので、紙に刷った時に黒くなるというわけだ。

 

その後スクレッパーでまくれを削って、黒に濃淡を作ることで絵を作っていく。故にメゾチント技法の作品は、黒が主体となる作品が多い。

林明日美『メゾチントの制作過程 / The Mezzotint Process』動画

非常に手間のかかる技法だ。なぜこの技法で作品を作り続けるのだろうか。個展の公式HPにはこうある。

「内観を行い、個人的な感情をもっと大切に扱うべきではないだろうか。その感情は他人からすれば、まともに取り合う価値のない、下らないものかもしれない。それは何か恐ろしい事だろうか?(中略) 誰しも、自分自身の領域を持っている。その領域は、誰とも折り合いをつける必要のない、孤独な領域である。その領域は、個人的な体験、過去の決断、自分自身に課す律法によって、より強固に形作られていく。粗雑に扱えば、粗雑な領域にしかなりはしない。それは私達の精神そのものであり、それを私は憤怒の神殿と呼ぶ。」

個展の公式HPより

自分と向き合うというのはことのほか難しい。時間も要する。そして生きている限りは向き合い続けなければいけないのが自分だ。そのために鳥彦は、手間のかかるメゾチント技法を用い、時間をかけて自身の感情を観察し、その成果を銅版画として昇華させるのだろう。

 

自分を見つめながら、手間を惜しまず描かれた作品は人々を惹き付ける。少し時間をかけて見つめてほしい。そのうちに鑑賞者は自身の感情をも作品の中に見つけることになり、憤怒の神殿の生物たちが、あなたの心にも住みつくはずだ。

個展名

『憤怒の神殿』

日時

2019年12月14日(土)~12月28日(土)

月曜休廊 ※日曜日要予約(アートコレクター用)

13:00-19:00 最終日17時迄

会場

GALLERY TOMO KYOTO

公式HP

Google Map

入場料

無料

※作品購入は有料

アーティスト

鳥彦

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