岩坂 佑史 個展『through me』
2020年9月1日(火)から6日(日)にかけて、京都市東山区のギャラリー〈KUNST ARZT〉(クンスト・アルツト)にて、岩坂 佑史の個展『through me』が開催される。
この個展でメインにすえられるのは、和紙に絵の具を撒き、できた飛沫を手作業で丹念に切り抜いた『須臾再顕』と、毎朝一番に排泄した尿を「生きた証」としてパネルに貼った和紙に塗り、1ヶ月繰り返して重ねていく『Living Messege』の二つのシリーズ。彼がアーティストとして目指すのは、「生きている今」についての考察を、敢えてマイナスな行為の積み重ねによって視覚化することだ。
排泄や、何かを取り除く行いは、生きていれば誰しもが行うこと。そして、何を通してそこに意味を見出すかは人それぞれだ。だからこそ、長い時間をかけた作業の集積である岩坂の作品と向き合ったとき、それを通して感じられるものが各々にあるのではないだかろうか。芸術の秋のはじめに、自分を省みるためにも足を運んでみたい場である。
アーティスト・ステートメント
メディアの進歩した現代社会。
発展の裏で忘却され、もはやライトモチーフでしか
なくなってしまった生の根本問題。
このまさに「今」肉体を有し空間を押しのけて存在している
私たちの生きる態度とはどのようなものでしょうか。
産み落とされた記憶もないまま身体を操り、
切れ切れの自己を理性で刹那的につなぎとめる私たち。
自己というものを身体を通して規定しようとすると、
これほどまでに小さく孤独な存在なのかという
漠然とした不安、焦燥感を感じます。
それを放棄することは容易く代わりに他者との交わりの中で
アイデンティティーを紡ぎます。
また同時に静かに自己に眼差しを向け、
耳鳴りも聞こえないほど意識の奥深くで
「私」の所在を確かめることも必要でしょう。
しかし、そのような内省は通常それほど長くは続きません。
その為、何か行為を、今を記述しなくてはならないという
強迫観念から制作を行います。
時間、空間、身体、他者、など様々な視点から
コンテクストを作り上げ作品を制作しています。
そのどれもが一貫して「生きている今」についての考えを
実践的に深めていくことを目指します。
プロフィール
岩坂 佑史
1994年生まれ。京都精華大学芸術学部洋画コース卒業。滋賀県在住。
絵画、立体、切り絵など様々なメディアを通して生命存在の態度を模索。
自己を中心に据え、時間や空間を行為によって捉え直すことを目指し作品制作を行う。
日時 | 2020年9月1日(火)~6日(日)12:00~18:00 |
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会場 | KUNST ARZT |
料金 | 入場無料 |
お問い合わせ | e-mail:: kunstarzt@gmail.com |
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WRITER
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92年生。「役者でない」という名で役者してます。ダンスやパフォーマンスも。言葉でも身体でも表現できる人間でありたいです。
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