主と客
『主と客』は、宿泊型アートスペースkumagusukuの店主であり、美術家の矢津吉隆による個展だ。6月29日(土)〜8月10日(土)にCOHJU contemporary artで開催される。
矢津は『主と客』の展示を通じ “主を台座、客を作品” として捉え、本来であれば脇役に徹する額縁や台座に作品と同等、もしくはそれ以上の意味を持たせることで、 主客の新たな関係性によって生まれる作品の可能性を提示している。既存のルールを再解釈し、新たな役割を与えることでどんな作品が生まれるのだろうか?
これまで、kumagusukuの運営やアーティスト向けに住宅兼制作スタジオを賃貸するプロジェクト、BASEMENT KYOTOなど、作品制作以外にも様々な事業開発に取り組んできた矢津。その中で改めて大切だと気が付いたのは、アーティストが持つ視点や思考法だという。そして、それを会社での仕事や実生活にも活かす方法として、幅広い職種の人が新しい視座を獲得することを目指した私塾、『アート×ワーク塾』の開講も記憶に新しい。
今回の展示では、美術家として自身の思考を伝えることで、学びとはまた少し違う確度から新しいなにかを鑑賞者に届けようとしているのだろうか。ぜひ会場に足を運んで、作品からなにかを感じ取ってみて欲しい。
『主と客』にむけてのステートメント
作品の重要性に異論はないが、その作品がどのように在るのか、つまりはどのような部屋に、どのような台座に、どのような額に、どのような設えによって展示されているのかもまた、非常に重要である。艶消しの白で塗られた方形の台座や、清潔な白木の額は、作品の成立を補助する役割を担っている。決して無闇に主張しない彼らの“力”を作家であればよく知っているだろう。通常、彼らには安定していて、均質で、平滑で、作品を損なわず脇役に徹することが求められる。しかし、例えば、不安定で不揃いでザラザラとした質感があり、作品と同等、もしくはそれ以上の存在感を放つ台座や額があってもいいのではないだろうか。どちらが主でどちらが客なのか?その問い掛けへの答えを現時点で私は持たないが、その主客の関係性によって生まれる新しい作品があるとするなら、それを見てみたいと思っている。
会期 | 6月29日(土)〜8月10日(土) |
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開廊時間 | 13:00〜8:00 |
開廊日 | 火〜土(月曜日のみアポイントメント制) |
会場 |
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離れてわかる地元のありがたみを感じる道産子です。移動が好きで、わりとどこでも生きていけます。踊るのが好き。KPOPはARMYでN市民でEXO-Lす。
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