INTERVIEW

『4WD』発売企画 フラットライナーズ石川 / bed山口対談【後編】

MUSIC 2016.11.30 Written By 山田 和季

名古屋のフラットライナーズが2016年11月30日に、前作から4年ぶりとなる2ndアルバムとなる”4WD”を発売する。それに伴いアンテナではBa./Vo.石川の希望で、京都を代表するロックバンドbedのGt./Vo.山口との対談を行った。

 

当日は京都の居酒屋でお酒を飲みながらざっくばらんに対談を決行。話はアルバム”4WD”のことだけに留まらず、楽曲の制作からバンドとしてのあり方にまで及んだ。

 

活動歴も10年を超え、ますます円熟味が増してきた両バンド。2人の生き方には、これから音楽とどう向き合うか悩んでいる人たちへのヒントがあるかもしれません。

前編はこちら

『4WD』発売企画 フラットライナーズ石川 / bed山口対談【前編】

フラットライナーズ

 

2001年頃東京で結成、メンバーチェンジを経て2006年に現在の石川俊樹 (Ba/Vo)、佐藤誠司 (Gt) 、井上雄介 (Gt)、磯たか子 (Dr) に固まる。

メンバーそれぞれ音楽的趣向は微妙に違うが、全員ピクシーズやペイヴメントに代表されるUSインディーロックを愛するところで団結。コードオンリーのベースと控えたドラムのリズム隊に乗っかるツインリードの分厚いギターアンサンブルが特徴。

石川と佐藤は元浦沢直樹氏のアシスタント。井上はtoddleの小林愛さんとswarms armで活動していた。磯は自分のメインバンドsweetsunshineでも活動、シティポップ、AORがメインで本職は鍵盤である。

2008年石川と磯が名古屋へ引っ越し、東京と東海圏でマイペースに活動する事となる。2012年YOUTHレーベルから1stアルバム「不運な人」を発売。エンジニアは柏井日向氏。その後も主に東京、名古屋、京都で地道なライブ活動を続けて2016年11月30日POWER EREPHANT !レーベルよりエンジニアに岩谷啓士郎氏を迎え2stアルバム「4WD」を発売するに至る。

bed

 

2005年夏、京都にて結成。以来着実かつ地道な活動を続ける。

これまでに4枚のアルバム、2枚のEPを発表。多数のコンピレーションに参加。

京都での自主企画や、全国各地へのツアーなどライブを活動の軸にしながら、コンスタントなリリースを重ね、時に「京都の雄」、「京都の至宝」などと呼ばれることに多少のこそばゆさを覚えながらも、世代を越えた支持を受け続けている。

2本のギターが織り成すアンサンブルと、シンプルな日本語によるメロディー、ハンマービートとうねるベースによって紡がれる特異な音像はますます磨きをかけ、やるせなさと力強さの同居する音世界が時に熱狂を生み、じわりじわりとその音の虜となる者を増やしながら活動中。

バンドにおける「責任感」とは?

──

お二人ともミュージシャンでありながらしっかりと社会生活にコミットしていて、僕は学生のときからそういう姿にずっと勇気づけられています。夢を追い続けているバンドマンが書く曲を否定する訳ではないんですが、個人的には社会生活という地に足を擦りつけているような人が歌う「パーソナルな歌」が心に響くことが増えてきちゃって。

石川俊樹(以下、石川)

僕は自分のことはミュージシャンだと思ってないです。だから働くことに関して何のバイアスもない。単純に「バンドやるのにもお金かかるじゃん」って思うから働いている。でも本気でバンドで食っていくんだ!って思っている人って覚悟が違うんですよね。

山口

確かに僕も「みんなどんな気持ちで日々バンドをやっているんだろう。」と思う時はあるし、一度は気にする所ではありますよね。僕も石川さんと同じで自分がミュージシャンだとは一切思ってないです。

一同

えー?!それはないでしょう!

山口

いや、本当に (笑)。ただここまでバンドが続いてくると、色んな人のお世話になってここまで来たっていうのもあるし、遊びって感覚だけではもう出来ないです。もしかしたら僕たちの背中を見ている人たちや、自分たちが企画に誘ったことで「バンド頑張ろう!」って思ってくれる人たちがいるかもしれない。そういう責任感みたいなものは帯び始めているかな。

──

山口さんはその「責任」をいつから感じるようになりました?

山口

ここ2~3年ぐらいでやっと、って感じ。若くてカッコいいバンドがどんどん出てきて、その中には死ぬ気でバンドやっていく気概の人もいれば、もっと違うスタンスでやっている人もいる。でもそれぞれ刺激的なことをやっているなぁ、っていうのがここ2~3年で本当に増えた。じゃあ僕たちはそういう人たちに何を見せられるのか考えるんですけど、数年後に彼らが三十路を越えたとき「こういう風に音楽やっていたりしてる姿も悪くないでしょ」っていう姿を見せられればいいのかなって思います。

石川

山口さんの話を聞いてつくづく思ったんですけど、その点僕たちってズルいんですよね。僕たちって若い人たちにとって近づきやすい存在なんですよ。なぜなら責任をちらつかせないから。

──

でも石川さんは仕事でそういう責任をしっかり負っているからバンドでは、って言う部分がありますよね。

石川

それはあるかもしれない。山口さんが若い人たちに背中を見せて「うおー!俺もやるっす!」って気持ちにさせるようなことを、僕は仕事でやっているのかも (現在石川は名古屋造形芸術大学でマンガを教えている)。でも燃えている若者を見た時、めちゃめちゃ嬉しい反面「やめといた方がいいんじゃない?」って不安に思う気持ちも確かにあるんですよね。だから一層、バンドに関してはもっと気楽にやりたいなって思っちゃう。

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