REPORT

THROAT RECORDS大忘年会―LOSTAGEが1年かけて作り上げたものを最後の最後まで見せつけられる会!

LOSTAGEの五味岳久がTHROAT RECORDSを立ち上げてから早4年。そしてそれから恒例行事となりつつもあるイベント”THROAT RECORDS 大忘年会”が今年も開催!THROATに縁のある、そして愛すべき・愛されるべきアーティストを集めての忘年会。……忘年会?一体観客はどういったテンションで臨めば良いのでしょうね。向かってみると、確かにそこには普段のライブとは少し違った空気が流れていました。誰でも無料のふるまい酒や特別設置されたガチャポン、加えて聞いていないあの人まで駆けつけちゃった……?!なんてことも。もし、あなたが2016年を共に歩んだアーティストがここに居るのであれば、一緒に今年を振り返ることができる。そんな音楽に溢れていました。きっと忘れらない忘年会になることでしょう!

AYNIW TEPO

大忘年会の特攻隊長は奈良出身のAYNIW TEPO。2016年の1月にTHROAT RECORDSからmini album『FLOWERS』をリリースしている。LOSTAGEの作品やライブにも度々参加しており「Ba.堀とはlostageを始めるもっと前から、MTRの録音方法を一緒に試行錯誤していた仲」と五味岳久はTHROAT RECORDSのHPで語っている。

 

力強く抱擁感のあるVo.にシンセと鍵盤の多彩な音が重なって広がっていく感覚は圧巻。だがそのシンセの音を飛び越えてキラキラと届いてくるギターの音がまた印象的で、まだ夕方なのにあっという間に深夜の闇の中に連れて行かれたような気分になる。終盤で演奏された”gingko”ではそうやって響き合うキラキラした音の下で、ずっしりとしたドラムとベースがまるで抱きしめてくれるような安心感と心地よさを与えてくれる。いきなりフロアが壮大なエネルギーに飲み込まれてしまった!「今年はいい波に乗せてもらった1年だったので、来年は皆さんをいい波に乗せていけるような1年に!」とVo./Syn.美里が語り”Surfin’”で締めくくった。

bed

今年10月に茨城県で行われたLOSTAGE主催のイベント『生活』にも出演。bed自身の企画にLOSTAGEを呼んだりGt./Vo.山口のpodcastに五味岳久がゲスト出演したりと、THROAT RECORDSからのリリースこそ無けれどもその交流は古くから続いているバンドだ。

 

“誰も知らない”の2分以上あるアウトロではこれでもかと言う程ギターロック然としていて、最高にそしてド直球に格好いい。ゆっくりとどっしりとしたブレイク、そのブレイクの次にガツッと入ってきてくれる歪んだギター!アウトロで一番ピークに持ってくる感じとか、誤魔化し無しの格好良さなんかはLOSTAGEに通ずるものがある。

 

「2016年はリリースとツアー・ワンマンなんかもしたりして、自身の経歴の中でもライブ本数をかなりこなした1年だった。また来年も一緒にできるようにしっかり頑張っていきたい。」と今年を振り返るMC。ライブ終盤には「今日でライブ納めなので、2016年を締めくくる一曲を……」と言ってる最中にフライングでGt./Vo.ジューシー山本が”シンク”のイントロのコードを少しだけ鳴らす。おいおいネタバレ……!!!!と思わず突っ込みそうになってしまう、この箸が転げても笑ってしまいそうな雰囲気が会場内にも出来あがってきた。いいぞ忘年会感!

Age Factory

聞き取れないほどおぼつかない早口で「奈良からやってきましたAge Factoryですよろしくお願いします」とステージに上がった3人の若者たち。2016年の10月に1st full album『LOVE』をリリースし、その際に五味岳久がプロデュースとして作品に関わっている。

 

<なにも怖くはないよ だってさ誰も正しくはない>という歌いだしの”seventeen”がはじまった瞬間、このGt./Vo.清水エイスケという若者の持つ異常なまでの説得力といったら、体がビクっとする程であった。ハスキーさが魅力の特徴的な声。それだけに留まらず、その奥深いところにある優しさと揺るがなさが相まって、あまりに年不相応なパワーを生み出している。

 

「忘年会ってやったことある?ないよな。何にも忘れたいことがない。全部刻みつけていきたいって気持ちしかないけど……みなさんお歳を召すと忘れたいこととかもでてくるんですかね……。でも僕は今日のことも忘れたくないです。」とMCで笑いまじりに語っていたが、この先彼らが歳をとって忘れたいことが沢山出てきたときこそ、一体どんな歌を書くのかが楽しみに思える。

achico

戸高賢史とのユニット、Ropesで活躍中のachico。THROAT RECORDSからのリリースはもちろんLOSTAGEの作品へコーラスで多数参加もしている。LOSTAGEのライブにゲストコーラスとして現れることもしばしば。そんな彼女が満を持して (?) のソロ弾き語りでの登場だ。

 

登場するやいなや「ギターをはじめて3カ月だけど、今年中にアルペジオで弾き語りできたって言いたかった!」とお茶目な言い訳からスタート。tofubeatsの”しれない”を「SoundCloudにしかない曲なんだけど、歌詞が好きでやってみたいと思っていて」と言いながら歌ったり、Ropesの楽曲”drive”を途中で雑談を交えながらゆったり7分近く(本来5分ちょっとの曲)かけて弾き語ったりなど緩やかな自由さに溢れるステージ。ある意味、大忘年会という名目でなければ見る機会のないachicoではないだろうか。「ああ~ここからギターゾーンなんだよな~」ともごもごしながら抱えたエレキギターがダンエレクトロ!ダンエレ×achico!それだけで感謝の気持ちが沸いてくるのが伝わりますでしょうか。

 

拙いながらにギターを演奏する彼女、何がすごいってギターがブレても歌が一切ブレないのが流石としか……。「ダメだ~!」と終始落胆しながらも、来年以降も弾き語りの予定があると意欲的な発言も。「絶対見てろよー!今日見てくれた人には絶対恩返しするから!」と言って朗らかに去って行った。

TheSpringSummer

ここで壇上にcinema staffの辻が登場。Like a Fool Recordsとして出張出店するため奈良までやって来ていた彼の「Spring Summer……春と夏の間。それは梅雨の時期ではございますが……」など意味不明の紹介によってスプサマのライブは幕をあけた!ざわつく会場……!THROAT RECORDSから1/4にリリースが決定しているニューアルバム”Trash & My Young Hearts”を会場でこの日先行発売するとのことで、忘年すると同時に俺たちとスプサマの2017年が始まったも同然だ!

 

さっそく新譜の1曲目・2曲目を飾る大名曲 “枯れない花”、”君の町”からライブはスタート。良い意味でびっくりするぐらい既聴感のある、またしてもスプサマらしい最高の曲が増えてしまったな……という2曲。これまでのファンの期待に応えるのはもちろん、もしかしたらスプサマの代名詞みたいなアルバムになるんじゃないの?という気がする、彼らの気持ちいい所を惜しみなく詰め込んだようなグッドソングスであった。その後も”Memories”、”イノセンス”と新譜からの披露が続く。

 

「2016年は今日で僕らもライブ納め。THROATから出したアルバムをTHROATのイベントでリリースすることができて、そういうイベントで締めることができて本当に嬉しい」と語るGt./Vo.佐々木。すっかり観客の心を焚きつけた終演後、新譜の全曲視聴を発表しているのでリリースまでワクワクするこの気持ちを保っていきましょう!

ビートさとし

skillkillsのドラマー弘中聡が「ビートさとし」名義でソロ作品を発表したのも2016年の話。セッティング時点でステージには2台のドラムセットが着々と組まれていく。ツインドラム……?否が応にも高まる期待……!

 

トラックに合わせて、その音と音とのはざまにタイトに刻まれていくビート!ドラムが上手い音源なんていうのは世の中に溢れまくっている訳だが、空気1枚しか噛んでいないからこその打楽器の生音の迫力とグル―ヴが筆舌に尽くしがたい程に感じられる。ドラムオタクは垂涎モノだろうなぁ……。曲中にも関わらずフロアは「ナイスビート!」「ビートー!もっとビートくれー!」「抱いてー!」など (笑) もはや中毒者たちの阿鼻叫喚でひしめきあう。

 

ラストはドラムオタクでなくとも垂涎モノ、LOSTAGE岩城とのツインドラム競演。跳ね上がるほど強烈な打撃音がNEVERLAND中に響き渡る。シンプルなエイトビート・三連符の繰り返しで特にフレーズらしい訳でも手数が多い訳でもないのに出会って0.5秒でノれる感……!どんどん増していく圧と迫力と音数。まるで激昂していくようなラストはしびれるの一言に尽きる!

LOSTAGE

AYNIW TEPOのBa.堀の「奈良のラスボスきたよ!」という紹介から鳴らされるのは5拍子の爆裂ベースリフから始まる”RED”。観客はもうセッティングのときから食いつかん程の勢いで、曲間のブレイクではLOSTAGEの爆音に全く引けをとらない程の爆歓声が沸きあがる。今夏、GEZANとのスプリット7inchとして発売されたのが記憶にも新しい”My Favorite Blue”では、重たくのしかかるようなサウンドと言葉が盛り上がっていた会場に一瞬の緊張をもたらす。<運よく僕らは 始めることができた>そんな言葉を真っ先にLOSTAGEに言われてしまっては、今日いたバンドマンたちはみんな身を切る思いに駆られたことだろう。

 

ここで再びcinema staff辻が登場し”母乳”と”SURRENDER”をツインギターで演奏する。辻と拓人がぴったりと向かい合いながら、演奏する姿に観客も雄々しく声をあげる。「本気出してんの?辻くん!」という岳久からの茶化しも聞こえてないのか聞いてないふりなのか、とにかく辻の楽しそうなことといったら。

 

辻が舞台袖へ戻ってから演奏された“ひとり”ではクライマックス「檻!のな!かを!」のフレーズで、まさかまさかのフロアからの大合唱!会場の隅から隅までいかほどアツくなっていたかが分かるだろうか。「ほんま2016年なんて一個もえぇこと無かったなぁ!そうやろ?でも今日のこと忘れないでいてほしい!」と放ち”手紙”で2016年のLOSTAGEを締め括る。

 

この時点で時間も22時半を目前としていたが、お構いなしに客もへべれけとしてきてゆったりとしたアンコールを迎える。「それではLOSTAGE楽団です」と銘打ち、AYNIW TEPOからBa.堀・Cho.美里、Age FactoryからGt.清水、そしてCho.にachicoを迎えて”NEVERLAND”を演奏。堀が思いっきりベースのコードを間違えて笑われる場面や、酔いも回ってゴキゲンなachicoが客席にダイブしてマイクをパスしていく場面など、2016年を共にしてきた面々だからこそ作りだされる空気感というのが確かにそこにあった。ここ、ネバーランドの名を付けられたこの曲が、この場所この面々で歌われること。胸を熱くせざるを得ないし、なによりここにいるリスナーのことも全部ひっくるめて歌ってくれているような気がした。愛される場所があって愛されるバンドがいて、それで生まれた曲をこうやって愛する人たちがたくさんいるという風景が今回の大忘年会、ひいては”NEVERLAND”という曲に凝縮されていた。

WRITER

RECENT POST

REVIEW
フラッシュフィクション – Ribet towns
REVIEW
HUBBLE – noid
INTERVIEW
ー僕らにとってのシューゲイズー ART-SCHOOL木下理樹×blgtz田村昭太のルーツに触れる対談
REPORT
【山田和季の見たボロフェスタ2017 / Day3】バレーボウイズ / unizzz… …
REPORT
【山田和季の見たボロフェスタ2017 / Day2】BRADIO / カネコアヤノ / WONK /…
REVIEW
ある日気がつく、同じ顔の奴ら – キツネの嫁入り
REPORT
三者三様のウェットなアツさに満ちた夜。CARD企画 “PICK ME UP vol.7&…
INTERVIEW
私たちがアンテナをやる理由。【ライター小倉・齋藤編】
REPORT
【座談会】働きながら音楽活動をする<京都編>  開催レポート・後編
REPORT
【座談会】働きながら音楽活動をする<京都編>  開催レポート・前編
REPORT
『果て』という極限を見据え続ける4バンドが集結。bed現体制でのラスト京都企画”turn…
INTERVIEW
music studio SIMPO
INTERVIEW
Live House nano
REPORT
bedが歌う「僕ら」の話は、今ここにいる内向的な僕らの話
INTERVIEW
『4WD』発売企画 フラットライナーズ石川 / bed山口対談【後編】
INTERVIEW
『4WD』発売企画 フラットライナーズ石川 / bed山口対談【前編】
REPORT
【山田和季の見たボロフェスタ2016 / Day2】FUCKER / Doit Science / …
REVIEW
Kind of Blue – イツキライカ
REPORT
【山田和季の見たボロフェスタ2016 / Day1】渡辺シュンスケ / jizue / ゆーきゃん …
INTERVIEW
bed 4thアルバム『via nowhere』特別1万字インタビュー!彼らが考える「bedらしさ」…
INTERVIEW
bed 4thアルバム『via nowhere』特別1万字インタビュー!彼らの考える「bedらしさ」…
REVIEW
PAGETHERM – SPANK PAGE
INTERVIEW
宅録・サイドプロジェクト限定?そ―名古屋発コンピ『ナゴミハイツ』
REPORT
ナノボロフェスタ2014 2014.08.31 ライブレポート
REPORT
mothercoat @ 京都GROWLY
REPORT
カングルワングル @ 京都GROWLY
REPORT
ウサギバニーボーイ@ 京都GROWLY
REPORT
メシアと人人 @ 京都GROWLY ライブレポート
REPORT
ナノボロフェスタ2014 -day.1- 2014.08.30

LATEST POSTS

REVIEW
「キテレツで王様になる」SuperBack『Pwave』のキュートなダンディズムに震撼せよ

2017年に結成、京都に現れた異形の二人組ニューウェーブ・ダンスバンドSuperBack。1st ア…

REPORT
台湾インディーバンド3組に聞く、オリジナリティの育み方『浮現祭 Emerge Fest 2024』レポート(後編)

2019年から台湾・台中市で開催され、今年5回目を迎えた『浮現祭 Emerge Fest』。本稿では…

REPORT
観音廟の真向かいで最先端のジャズを。音楽と台中の生活が肩を寄せ合う『浮現祭 Emerge Fest 2024』レポート(前編)

2019年から台湾・台中市で開催され、今年5回目を迎えた『浮現祭 Emerge Fest』。イベント…

INTERVIEW
2024年台湾音楽シーンを揺らす、ローカルフェスとその原動力―『浮現祭 Emerge Fest』主催者・老諾さんインタビュー

2024年2月24,25日の土日に、台中〈清水鰲峰山運動公園〉で音楽フェス『浮現祭 Emerge F…

COLUMN
【2024年3月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「大阪のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」「今」の京都の音楽シーンを追…