【川合裕之の見たボロフェスタ2017 /Day2 】 〜ステージの上も下も中も外も、全部ぜんぶお祭り騒ぎ総集編〜
2017年 10月21日、土曜日。
残暑すらも懐かしく、アマゾンのカートが冬服で一杯。そんな季節に御所の真横で開催された京都の奇祭。台風の影響で29年ぶりの中止を余儀なくされた時代祭りを横目にボロフェスタは今年も飄々と開催された。
ワタシには音楽がわからぬ。
ワタシは映画ライターである。吹き替えを見て、字幕と遊んで暮してきた。
されど、必ず、かの歓楽剽軽な祭を伝えねばならぬと決意した。
各バンドについてはそれぞれアンテナ自慢の音楽担当が無駄なく丁寧に、それでいてソウルフルな記事で本祭の様子をレポしてくるはずですが、この記事ではどのバンドの記事も担当せず気ままに遊んだ僕がゲリラ的に行われるレクリエーションやフードの紹介をしたいと思います。
「ボロフェスタ」ってこんな一面もあるよ、ということを微力ながらお届けできればと思います。名前はきいたことあるけれど足を運んだことはまだない、というような人達のボロフェスタの解像度もグッと底上げしたいと思います。
忘れもしない。されど忘れそうになるほど一瞬の午前
火の神様が松明をなんやかんやする、という独特すぎるエキセントリックなオープニングで幕が上がり、マンモスステージではどついたるねんの怒涛のステージ。息継ぐ間もなく隣のステージでメシアと人人の迫力のアクト。
もうすでに満足の僕は外の空気を吸いに休憩。……のはずが漏れる音楽に誘われて、どすこいステージのあるエントランスロビーを目指すことに。入口がゴールという非常に矛盾した行動の先にあったのは温和緩慢、柔和でマイペースなJABBA DA HUTTT FOOTBALL CLUBの音楽。
矛盾なんて気にしないユルいユルいHIP HOPが流れています。ああ、別に音楽ってガツガツ聴かなきゃダメってわけじゃないんだ。
昼食、名物キーマカレー
あれよあれよという間にお昼時。時計の針は12時を回り、お腹が鳴って目の色が変わる。
FOODの出店もバリエーション豊かでしたが、ここで僕は「名物キーマカレー」を選択。僕という男もとい日本人はどうも「名物」という押しに弱いらしい。
スタッフの人に割引とかないの?残念ね、頑張ってくれてるのに。
なんて上品な淑女が労ってくれる。優しい。代わりに愛情を入れておいてあげたからね、なんて軽く口説かれちゃって僕はすっかりご満悦。いやそこは平等に愛情を込めてよ、と今思いましたけど。
右手にオリーブ、左手にお釣りをもって対応してくれています。すごい、めちゃくちゃマルチタスクだ。僕なら間違いなく3皿めくらいで疲れてオリーブを手渡してしまう。すくなくともその時の僕がオリーブを渡されても全然平気でお財布にしまっていたかもしれない。100円玉3枚を付け合わせにカレーをいってたかもしれない。
美味しくないカレーが世の中に無いはずないでしょ。なんてハードルの低さを僕が敢えてぶち上げます。美味しい!めっちゃ美味しい。これは食べなきゃ損。日本人の舌によく馴染むクセのない味だけれど、かといってお家のカレーともまた違う。謂うなれば日本語ラップみたいな感じですかね。
食後、ステージから漏れだす音に耳を傾けながら休憩。会場の至るところからどこからともなく「ご結婚おめでとうムード」が漂ってきました。他でもなくキュウソネコカミの演奏の時間が迫っているのです。関学の後輩としてもここはしっかりと鑑賞。横田さんがいつもより飛んでいた気がします。妻を持つと跳躍力も上がるのかもしれません。
CARDの演奏の脳内再生をBGMにおとぼけビ~バ~・よよよしえのパンツをちょっぴり思い出しながら喫煙。日は傾きクリープハイプの出番も近づく。なんでもかんでも夏のせいにしそうな無責任そうなリスナーが場内に増えている気がします。気のせいでしょうか。お気分害されましたら深々謝罪申し上げます。これもまた夏のせいということにはなりませんでしょうか?
緊迫の綱引き対決
こう見えても今日の僕はスタッフパスを持った男の端くれ。裏の情報網から「あるイベント」の噂だけは聞きつけていたものの、どこでやるのかが全然わからない。
とりあえずロビーで待機するも一切そんな気配がない。
もしや……?!と閃くも時すでに遅し。メインステージの客席のど真ん中で行われていた綱引きの決着はすっかり着いていた。
いやアリーナでやるのかよ。
なんだその破格の企画力。何処で何がおこるか誰にも分からない、そんなボロフェスタの洗礼を受けます。目撃したい方は是非とも実際に足をお運びください。
街の底ステージではmy letterのライブ。担当編集であるキャシーさんの演奏もしっかりと鑑賞。当たり前だが右手と左手とが別々の動きをしていて信じられない。凄い人だ。なびくロングヘアもキューティーに決まってます。とまあ野次馬根性丸出しのレポはさておき、僕はそのままプテラノドンステージへ。
時刻は19時前。されどこちとら6時起き。全力の音楽に全身で応えて楽しんでいるので疲れは否めないどころか隠せているかも怪しい。そんな状態で体験するユアソンの演奏は身体に染み込むアルコールのように心地よい。あれ?ちょっと眠い?いや、これもまた一興か?退屈な音楽では眠れやしないのだし。なんて考えながら客席の端で腰かけてぼんやり音楽に肩を預けます。
MAD MAXレース
童心に戻りダンボールの車を運転して白黒はっきりつけようという男らしいレース。「え?どういうこと?」と戸惑う読者もおられるかもしれませんが、その戸惑い込みでこのレースなのです。
アンテナ映画ライター、もといアンテナのトム・ハーディ、若手戸惑い担当こと川合が参加しない手はありません。しかも栄えある勝者にはドリンクチケットが贈呈されるとのこと。なるほど、水を求めて走るって訳だ。面白い。
なぜかアンカーを担うことになりボギーさんと対決。
勝負とはいえ、その前に映画。つまりはエンターテイメントショー。
圧勝しても大人げない。惨敗してもつまらない。抜きつ抜かれつの大白熱レースを演出することが僕の任された使命――と驕り高ぶっていましたがそれも杞憂に終わる。というのもボギーさんは洒落にならないくらい早いし、僕は笑えないくらい遅い。なんだこれ、ガチじゃねえかよ。文字通り地面に這いながらスピードとテクニックを競い合い、ゴール目前では激しい接触!
本家MADMAXも運転自体は余裕の片手間じゃなかったっけ?なんて思いながらも試合は終了。結果は僅差での敗北。無念です、ごめんなさい。
余談ですがことあるごとにウォーボーイズのハンドサインを高々掲げてましたが、それは全然ウケなかったです。
短距離走のような夜を駆け抜けて
ぺトロールズ、サ上とロ吉、そして僕と戦ったボギーさん率いるボギー家族、そしてプププランド。クリープハイプ、黄倉未来のシークレットライブにHelsinki。多数にして粒ぞろいのアーティストによる演奏が各ステージで行われこの日のボロフェスタは幕を閉じました。
この世の桃源郷と化したKBSホールをあとにし、台風に押しやられるような形で尼崎の自宅へ。帰りたくないが仕方ない。実生活と締め切りが僕を待っている。地下鉄、阪急とを乗り継ぎ、日付を跨いでから県境を跨ぐ。踊踊と興奮とで疲労を全身に感じるが、ボロフェスタの熱狂をテイクアウトしたみたいでそれすらも満足。
あれも良かった、これも良かった、このバンドは次もどこかで見たい。なんて想いを膨らませていたところでズボンのチャックが開いたことに気付く。全開。それはそれはしっかりと開いていました。
勇者は、ひどく赤面した。
WRITER
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95年生。映画ライター。最近大人になって手土産をおぼえました。
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「フラスコ飯店」というwebの店長をしています。