『言志の学校』第三回レポート -デザインとは? 印刷って何? –
いつのまにか季節は秋。まだじっとり暑かった9月に始まった言志の学校も、いよいよ作品制作のラストスパートに差し掛かります。流通のノウハウ、アイディアの出し方、原稿作成のポイント、編集の大切さを各領域のエキスパートに学び、そしていよいよ今日はデザインと製本に移ります。自分の頭の中がいよいよ形になるドキドキと、本当にそれが実現するのかという不安が入り混じったフレッシュな雰囲気が印象的でした。
今日は最後に重要なデザインと印刷について学びます。デザイン編で登壇してくれたのは水迫 涼汰さんと、アンテナでもお馴染みの後藤 多美さん。そして印刷編ではレトロ印刷の古屋 光一さんが講師を務めてくれました。
1限目:「デザイン」ってどういうこと?――水迫 涼汰さん, 後藤 多美さん
講師:水迫 涼汰(みずさこ・りょうた)
1994年滋賀県生まれ。京都造形芸術大学情報デザイン学科卒業。学生時代に、只本屋のブランディング及びグラフィックデザインを担当した他、フリーペーパー「PARTNER」代表、滋賀県高島市のブランディング事業、ジュエリーブランド「phenomenon」主宰などを経験。現在は横浜のNOSIGNER株式会社でグラフィックデザイナーを務める。
講師:後藤 多美(ごとう・たみ)
1992年京都生。京都市立芸術大学大学院美術研究科デザイン専攻修了。学生時代よりアンテナや個人でデザイナーとして活動を開始し、現在はゲーム会社の2DCGデザイナーとして勤務。
講師自己紹介:デザインって?
まずは自己紹介ということで水迫さんと後藤さんの過去の制作物の紹介から。クールなモノ、おもしろいモノ、斬新なモノ、落ち着いたモノ――。さまざまなデザインがスライドに映し出されます。
それぞれの作品に作家であるお二人から直々に説明があるのですが、すべてに共通するのは“必ず意図がある”ということです。制作するにあたって必ず “見る人の位置に立って” 考えていることが分かります。
例えば水迫さんの手掛けた美大生のためのフリーペーパー『PARTNER』では「美大生に刺激を与える」というのが全体のテーマなので、そういった空気感を伝えることに執心したデザインを目指したんだそう。格好良いデザインは大切だけれど、それよりもまず伝えるべきコンセプトが伝えられるデザインを実現させることが大事だと水迫さんは熱弁しました。では、その「つたえるべきコンセプト」とは一体なんなのでしょう? それを明らかにしてくれるのが次に続くワークショップです。
ワークショップ:あなたのZINE の読者像は?
水迫さん、後藤さんから出されたその日のワークショップの課題は「妄想プロフィールをつくる」こと。今自分の作っている読者は一体どんな人なのか?というのを具体的に想像することでした。
イヌ派か、ネコ派か。名前は勿論、生年月日まで。「本当に居るんじゃない?」と鳥肌が立つほどのリアリティを確立するのがコツなんだそう。この所謂ペルソナの設定ですが、これは前回のライティング編の講師・土門蘭さんの「私は”まさこさん” に宛てて文章を書く」というお話にも似ていますね。
もし今作っているZINE が「自分のため」だとしたら自分のプロフィールでも構わないと講師のお二人は語ります。とにかく誰であろうとプロフィールをしっかりと固めることで、どのような状況で手に取るのか、いつ読まれるのか、というようなことが見えてきます。そうしたことを踏まえてデザインを作ることが重要なんだそう。
宿題:「気になってるデザインを持ってきてください」
フリーペーパーや雑誌はもちろん、webページやCD、パンフレット、ステッカーのシールからお菓子、缶詰、さらには凧まで! さまざまなプロダクトが一か所に集められました。
みなさんのお話を聞いてわかったのが「意外にも、みんなけっこうジャケ買いしてる」ということ。やっぱりデザインって大事なんですね。
それぞれを持ち寄った受講生が、それを選んだ理由を発表します。いざ発表となると言語化の難しい部分もあり、言葉を慎重に選ぶような姿も。こうしたプロセスを強制的に踏むことで次に出来上がるデザインがブラッシュアップされる気がします。
最後はじっくり自分のZINE の細部を詰めることのできる時間に。講師の2人に加え、只本屋代表の山田さん、アンテナ編集長・堤の4人に実際の作品を持ち込んでフィードバックを貰える時間を設定。それぞれ密な時間で相談していきます。
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2限目:「印刷」はこんなに面白い! ――印刷 古屋 光一(レトロ印刷 JAM / 創設者)
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95年生。映画ライター。最近大人になって手土産をおぼえました。
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「フラスコ飯店」というwebの店長をしています。