京都みなみ会館にて日本初公開『SHOT!』が上映開始。 公開記念ゲストトークにドレスコーズの志磨遼平が登壇
6月17日(土)、東寺のすぐ傍でロック好きの人達が長蛇の列を作りました。
デヴィッド・ボウイのTシャツを着た高校生の男の子、シルクのシャツにサングラスのお姉さん、電話で落とした単位の話をしている男子大学生。T2に出てきそうな渋いオジサマや、凛とした顔つきの女性。オールスターやドクターマーチンを履いている人も少なくありません。見た目はいたって普通の主婦でもその胸元には大胆にプリントされたデヴィッド・ボウイが。彼らの目的は京都みなみ会館にて行われた『SHOT! THE PSYCHO-SPIRITUAL MANTRA OF ROCK』の日本初上映。これを目当てにロック好きな老若男女が劇場に駆けつけました。
『SHOT! THE PSYCHO-SPIRITUAL MANTRA OF ROCK』はデヴィッド・ボウイをはじめ、クイーン、ルー・リード、イギーポップ、ブロンディ、シド・バレットなど数多くのミュージシャンを精力的に撮影してきた写真家のミック・ロックの半生を振り変えるドキュメンタリー映画。「70年代を写した男」の血の沸くような情熱が映し出されています。監督はバーナビ―・クレイ。スライドショー的な退屈さは一切無く、挑戦的かつ幻想的な演出でミックロックの作品を紹介しつつ、彼の世界を映像で表現しようとしています。
半永久的に残る写真を撮影するという行為とは対称的に、一瞬一瞬を刹那的に生きるミック・ロック。傍観者ではなく、観察者でもなく、紛れもないその時代の当事者としてロック史を切り抜いてきた男の生き様に迫ります。
今回の日本プレミア公開記念ではスペシャルゲストとしてドレスコーズの志磨遼平が登壇。「まるで人生のような音楽」をカメラで残し続けたミックの「まるで音楽のような人生」を描いたこの映画の感想や、自身の音楽観について飄々とした関西弁で語ってくれました。
今年3月、原宿VACANTで開催された「DAVID BOWIE by MICK ROCK」で来日していたミック・ロック本人と対談した志磨は「知らない間にミックがスタッフのカメラを取り上げ志磨を撮影する流れになったこと」、「ミックの指示でカメラに向かって”mother fxxker” と言わせられながら写真を撮ったこと」など、ミックと会った時のエピソードを披露。「その時の写真をいつか見れる日が来る?」という、質問に対しては「撮ってもらったけどギャラが怖いから遺影にする」と笑いながら返していました。
映画の内容を踏まえて自身の音楽活動への向き合い方についても触れ、「人がやっていないことをするという期間を過ぎ、今までの自分がやってこなかったことをする時期に差し掛かってきている」と語りました。トレードマークの長髪をばっさり切った志磨の今がこの一言に凝集されているように感じます。
ほかにも、中学生の頃に洋楽雑誌で見てきたアーティストの写真を振り返ってみればそのほとんどがミック・ロックの写真だったという過去から「この人にだいたい育てられている」と語ります。毛皮のマリーズ、ドレスコーズのビジュアル面や演出への強いこだわりはまさしくミック・ロックの影響なのかもしれません。
長髪にメイク。どんなに暑くて汗だくになってもスリーピースは絶対に脱がず、ステージで狂うように歌い続ける姿は「荒れの限り」を尽くした音楽行為と言えるでしょう。見た目こそ変わりましたが、志磨遼平を志磨遼平たらしめる核たる精神。全身で表現しようとする貪欲な姿勢は今もきっと変わっていないはずです。
『SHOT! THE PSYCHO-SPIRITUAL MANTRA OF ROCK』は9月以降から全国順次公開予定。公開まで待てないという方は是非、デヴィッド・ボウイの愛した地、京都でご覧になってはいかがでしょうか。
ホテルアンテルーム京都での「DAVID BOWIE by MICK ROCK」など、デヴィッド・ボウイに関連するイベントが京都で多数開催されますので、そちらも合わせて是非チェックしてみてください。
『SHOT! THE PSYCHO-SPIRITUAL MANTRA OF ROCK』
上映期間 | 6/17 (土) ~6/23 (金)、7/8 (土) ~7/17 (月・祝) ※日本プレミア公開! |
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会場 | みなみ会館 |
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WRITER
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95年生。映画ライター。最近大人になって手土産をおぼえました。
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「フラスコ飯店」というwebの店長をしています。