『言志の学校』第二回レポート – 書くって?編集するって?文鳥社の2人に聞く –
書くって?編集するって?
既に顔ぶれもすっかりお馴染みのものとなった言志の学校、その第2回め。ZINE制作の根幹とも言える文章作成にまつわる回なので、授業開始前からみなさん顔つきが違います。今回の講師は文鳥社の土門蘭さんと柳下恭平さん。文芸、文学に深く精通したこのお2人に文章の秘訣を伺いました。
言志の学校とは?
言志の学校(げんしのがっこう)は私たちアンテナと只本屋が共同主催するフリーペーパーやZINEの学校。京都の内外で活躍する実力派の講師をお招きして、全4回の連続講義でアイディアの出し方やライティングのコツ、デザインや流通に関する知識やノウハウまでを学んでもらいます。 “TAKE OUT!!” とはまたひと味違った実践的な内容が特徴です。
堅苦しい講義ではなくインタラクティブな授業の中で、実際に1冊の作品を製作して世の中に送りだしてもらうのが最終ゴール。完成したフリーペーパーやZINEは12月1日、2日に台北で開催されるCulture & Art Book Fair に出店する只本屋のブースの中に肩を並べます。
「作っても誰に見てもらえばいいかわからない」今回申込みをされた人の中にはこんな悩みを抱えている人も実際におられましたが、今回の講義ではたくさんの人に手に取っていただける機会もあり、身が引き締まると同時にとてもワクワクしちゃいませんか?
第一回目の講座では、そんなみなさんのワクワク感を多少裏切るような、極めて現実的な流通のお話と、さらなるアイディアの発展を求められるワークショップという、エネルギーを使う二つの講座が一緒になっていました!初回から飛ばしすぎじゃない?とちょっとハラハラしましたが、フリーペーパー制作の第一歩を踏み出せたんじゃないかと思います。
1限目 「書く」とは?――土門蘭さん
講師:土門蘭(どもん・らん)
文鳥社。小説家、ライター。
1985年広島生。小説家。京都在住。ウェブ制作会社でライター・ディレクターとして勤務後、2017年、出版業・執筆業を行う合同会社文鳥社を設立。
インタビュー記事のライティングやコピーライティングなど行う傍ら、小説・短歌等の文芸作品を執筆。共著に『100年後あなたもわたしもいない日に』(文鳥社刊)。
フリーペーパー『音読』を主催するほか、BAMP内の「経営者の孤独」などのインタビュー記事の執筆も担当されています。同連載はその切り口や取材対象の興味深さのみならず、静謐な地の文が特徴的で人気を博しています。
フリーペーパーの “FREE” は「自由」のフリー
FREEは 「無料」という意味ですが、「自由に作れる」という意味も込められていると思います。と土門さんは語ります。
フリーペーパーやZINEは誰に頼まれたわけでもなく、自分が欲しいから自由に作るもの。だったら自分が欲しいと思うものを作らないと意味がない。自分の書きたいものではなく、自分の読みたいものを作る。これが土門さんの考えるフリーペーパーの原稿執筆に最も重要な大前提。なるほど、確かにそうかもしれません。熱のこもった文章はいつだって魅力的。フリーペーパーという自由な媒体でこそ、自由な発想が大切だということを再確認しました。
とは言え好きなフリーペーパーを作ることと、読者が手に取るかは別の話。だから作るときには書き手としての自分と読者としての自分、この2つを設定しておくことが大切なのだとか。というのも自分の書きたいものと自分の読みたいものは別だからです。「その文章、自分(書き手)だけが気持ちよくなってない?」というブレーキを心に持っておく必要があるようです。
大切なのは読者の顔を想像すること
次に土門さんが伝えてくれたのは具体的な読者を想定することが大事だということ。土門さんの場合は友人の「まさこさん」に届くかどうかをよく意識しているんだそうです。これは20代のすべての人に届けよう、この文章は世界中のすべての女性に伝えよう、と欲張って最大公約数的にターゲットを狙うとかえって失敗してしまうのだとか。届ける相手はひとりで十分。それくらいのつもりで読み手の顔や表情を意識して書くことが鍵なんだそう。人には人の「まさこさん」を、その記事にはその記事の「まさこさん」を想像しておくことが重要なんですね。
書くことは考えること
文章を「書く」ということにおいて本当に大切なのは、「てにをは」のような細かな文法ではなく「何を書くか?」「何に興味があるか?」だといいます。今日はそんな本質の部分伝えにきた、とさえ土門さんは熱弁しました。
そんな土門さんが伝えてくれたのは、“書くことは考えることだ”、とういこと。「書く」ためには必ず「考える」が必要になってきますし、書くことで自分の考えも整理されます。
書くこと、アウトプットすることこそが一番のインプットなのだ。すっかり手垢にまみれてしまった表現を私なんかが借りてしまっては説得力がないかもしれませんが、要はそういうこと。書くことは考えること。テーマをみつけて、手を動かして自分に問いを投げかけ続けることが重要だということをこの講座で学びました。
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2限目:「編集」はカセットテープ ――柳下恭平さん
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WRITER
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95年生。映画ライター。最近大人になって手土産をおぼえました。
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「フラスコ飯店」というwebの店長をしています。