編集部員が選ぶ2022年ベスト記事
2022年もANTENNAおよび姉妹サイトPORTLAをご愛読いただきありがとうございました。「新しい」時代や「変化」の話はそろそろお腹いっぱいかもしれませんが、ANTENNA・PORTLA編集部は今年も肩を寄せ合って踏ん張り、奮闘いたしました。
メディアとしては Web もさることながら、今年は紙での制作に注力いたしました。『OUT OF SIGHT!!! Vol.2 アジアの映画と、その湿度』では映画を主軸にして、眼差す範囲をアジアに広げ、チャレンジ精神に溢れる雑誌を完成させました。また PORTLA では昨年末からコツコツと取材とリリースを続けてきた #CRAFT の記事とその他の読み物で再編したZINE『PORTLA』を創刊。どちらも Web とは違った届け方・届き方に心トキメく活動となりました。
さて滑り込みのお歳暮として、また少し早めのお年賀として、恒例となった編集部員によるベスト記事をお届けいたします。ANTENNA・PORTLA編集部メンバーが、今年リリースした記事の中から互いに“これぞ”という1本を選んでコメントしています。2023年のANTENNA・PORTLAはどんなふうに変わるのか。引き続き読者のみなさまの新しい出会いと気付きの源になれるよう尽力いたします。
堤大樹が選ぶ今年の記事
ANTENNA・PORTLA編集部 代表
個として存在できる街とは?『街は誰のもの?』阿部航太監督インタビュー | ANTENNA
記事へのリンクはこちら
映画の制作から、中身まで、ANTENNAやPORTLAの編集部での活動を通じて問うてきた「既存の仕組みや体制に依存しない、自分たちでハンドルを握る生き方とはなにか?」に最も近しい記事のひとつだと感じています。容易に解答を用意しない、でも問い続けることはできる。そんな姿勢でい続けたいものです。
岡安いつ美が選ぶ今年の記事
ANTENNA編集長
自然体と無意識が生み出した、表出する音楽 – 猫戦インタビュー | ANTENNA
記事へのリンクはこちら
コロナ禍中サークル活動がしにくい中、ここ数年でしっかりと実力をつけてきた猫戦。今このタイミングで彼らのルーツに迫れた取材をできたことが重要で、とてもANTENNAらしい着眼点だったと思う。これからも注目していきたい。
峯大貴が選ぶ今年の記事
ANTENNA副編集長
音楽のアーキビスト、金野篤が体現する「売りたいモノは自分で作る」という生き方 | ANTENNA
記事へのリンクはこちら
選ぶのは自分の記事ではない方がいいとは思いつつ、年間ベストとして胸を張って推せる内容と反響でした。なにより最高の話を聴かせていただいた金野篤さんと、本企画に自分を巻き込んでくれた永田純さんのおかげです。ANTENNAが掲げるインディペンデント性、自分のライターとしてのテーマであるアーカイブ視点を体現しつつ、既存の領域から一歩踏み出せた、私の新たな代表作。
マーガレット安井が選ぶ今年の記事
ANTENNAライター
偶発的な出会いを火種に。人と人をつなぎ、価値を創るまちづくりとは | ANTENNA
記事へのリンクはこちら
一つの事象に対して毎回違う切り口で攻めるというのは、とんでもなく難しいこと。『京都音楽博覧会』に関して毎回違う切り口を提示してきたANTENNAで、「うぁ!?今年はこういう取材やるか」という驚きと目線。そして内容も面白く、「自分もこんな記事を書きたいな」と思わされました。
乾和代、柴田 真希が選ぶ今年の記事
ANTENNAライター
お互いをリスペクトし合いながら切磋琢磨する〈ungulates〉の在り方とは?オーナーKou Nakagawaインタビュー | ANTENNA
記事へのリンクはこちら
Kou Nakagawaの人柄にフィーチャーしながらも、レーベルの成り立ちを丁寧に紐解いていくという自然な流れが、ある意味巧妙。作品ガイドと合わせてリリースすることで、作品との関係性も見えてくるという構成も含めて、非常にANTENNAらしい記事なのではないだろうか。
(乾 和代)
「最近ungulatesってよく聞くなぁ」と何となく気になっていたタイミングで、ライターの阿部さんが「downtがすごい」と言っていたところから、この記事と企画のリリースまでのスピードが速かったです。Kouさんの「レーベルのフィルターがあることでつながりになる」という言葉の通り、同時にungulatesの作品ガイドが公開されています。記事を横断しながらungulatesをさらに掘り下げられる、読み応えのあるシリーズで、今年参加した企画で一番楽しませてもらいました。(柴田 真希)
小倉陽子が選ぶ今年の記事
ANTENNAライター
【第一回】音楽のラッピングーーグラフィックデザイナー・TYD™️(豊田由生) | ANTENNA
記事へのリンクはこちら
大きくて特別っぽくて強いものがどんどん勝っていく日々の中で、音楽のそばで人知れず大切な役割を果たしているデザイナーさんを主役に話を聞いていて、フロアライブを観ているような心地良さと興奮がありました。
声の小さな人の声を拾うこともできるのがANTENNAの魅力だとあらためて感じた1本。
阿部仁知が選ぶ今年の記事
ANTENNAライター
音楽に触れ、思考し、書く 音楽ライターという生き方 天野史彬×ANTENNA副編集長・峯大貴〈editor’s voice〉 | PORTLA
記事へのリンクはこちら
リリース時と今読んだ時とで感じるものが違いました。今なら「僕ならこう考えるな」なんてことも思う。それは僕の成長だと思いたいし、これからも立ち返ることのできる記事という意味でこちらを選びます。選定理由はごく個人的なものですが、何かに向き合いながら生きることが人生であるのならば、あなたにもきっと響くものがあるのではないでしょうか。
肥川 紫乃、鼈宮谷 千尋が選ぶ今年の記事
PORTLA ライター
自分なりの「わからない」を積み上げていく 出版社さりげなく・稲垣佳乃子さん|関係性の紡ぎ方 #1 | PORTLA
記事へのリンクはこちら
私が想像していた編集者と作家の関係性って、文中にもあるようにテレビで見た少年漫画誌のように編集者が「もっとこうした方がいいよ」とリードしていくものだと思っていたんです。でも、稲垣さんはお互いに「わかんないですねー」と投げかけ合って、一緒に考えていく。「わからない」を言い合える関係性が眩しくて心地良くて、私もそんな関係性を築きたいと思って一票入れました。(肥川 紫乃)
記事をつくる仕事をしていると、「なにか読者に答えを示さなくては」とつい思ってしまいますが、「わからない」にとことん向き合うのもひとつのやり方であり、「わからないよね」と言い合うことで生まれる関係性もあるのだなと、むしろその方が自然なんじゃないかと、自分のやり方を見直すきっかけをもらえました。言葉の端々から稲垣さんの誠実さが伝わってきました。(鼈宮谷 千尋)
松原 芽未が選ぶ今年の記事
PORTLA ライター
ラストカットの先を思ってもらえる映画を作りたい。『海辺の彼女たち』藤元明緒監督インタビュー | PORTLA
記事へのリンクはこちら
悲しいニュースに無力感がつのった時、「半径5メートル以内の世界とどう関係性を持って生きていくのかに立ち戻る」と話す藤元監督の誠実さに襟を正された記事でした。ほんの小さな、個人的なことが社会とつながっていること。そこに自覚的でありながら、「半径5メートル」について考え続ける人でありたいです。
You May Also Like
WRITER
-
滋賀生まれ。西日本と韓国のインディーズ音楽を好んで追う。文章を書くことは世界をよく知り深く愛するための営みです。夏はジンジャーエール、冬はマサラチャイを嗜む下戸。セカンド俗名は“家ガール“。
OTHER POSTS