【映画のすゝめ】第5回:ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!
アンテナ編集部のシネマジャンキー・川端安里人が、映画フリークでない人に向けて始まった連載がこの“映画のすゝめ”です。
このコラムは毎回異なるターゲットに向けて、シネマジャンキー・川端安里人がその人が『今見たい映画』を勧めるというものです。映画を探す場所は、京都市内のレンタルビデオ屋さんに限定しています。(これを読んでいただいている方が気軽に見れる映画でないと意味がないので)ルールは以下の通りです。
①ターゲットの背景などを読み解き、その人におススメしたい映画を安里人さんが選ぶ
②映画は街にあるレンタルビデオ屋で選ぶ
③最後にゲストが1本映画を選び、感想を書く
人によって見たい映画はさまざま。その人それぞれのバックグラウンドや、現在の心理状況にぴったりな映画を探すコラムです。このコラムが、多くの人にとって、映画を見るきっかけになればと思っています。
第5回のターゲットについて
今回のターゲット:アンテナ編集部デザイナー・高石瑞希(http://mizukitakaishi.jimdo.com/)
アンテナ編集部:高石さん、簡単にプロフィールを教えてもらえませんか?
高石:私は22歳の大学4回生(取材当時)です。普段はイラストレーションをしたり、CDのジャケットやフライヤーのデザインを手がけたりしています。バンドもやっています。
最近見た映画は?
アンテナ編集部:最近見た映画について教えてください。
高石:最近友達の家で見て面白いと思ったのは、ベタなんですけど『アダムスファミリー』で。もともとストレンジなキャラクターが出てくる映画が好きです。監督で言えばティム・バートン。そこからシュール系の映画も見るようになりました。
アンテナ編集部:映画はどれくらいの頻度で見てますか?
高石:映画は、家で見るのと、映画館で見るの合わせて月1~2回くらいかな。多い月は5本くらい見ているけど、頻繁には見ていないです。
今回選んで欲しい映画
アンテナ編集部: 今、安里人さんにどんな映画を選んで欲しいですか?
高石:私は絵を描いているので「大人のアニメ映画」もしくは「変なコンビが出てくる映画」が見てみたいです!
アンテナ編集部:わかりました。それでは安里人さん、よろしくお願いします!
ーー今回は北大路にある某ビデオレンタル屋さんにて取材を行いました。
安里人:とりあえずこれを勧めなあかんやろ、っていうのが1本あって……先にアニメから探しに行きましょうか。
アンテナ編集部:安里人さんはアニメを見るんですか?
安里人:見ないよ。
アンテナ編集部:だと思いました(笑)高石はなんで今見たい映画に「変なコンビの映画」を選んだのでしょうか?
高石:この前『WASABI』っていうジャン・レノと広末涼子が親子をしている映画を見たからで。
アンテナ編集部:懐かしい……!
高石:『レオン』とかも見たけど、ジャン・レノってそういう役回り多いなあと思って。
アンテナ編集部:そう言われるとそうかもね。
安里人:あ!借りられている……本当はこれを勧めようと思っていたんだけど。
ファンタスティック Mr.FOX
内容紹介(Amazonより)
【ストーリー】Mr.FOXは、以前は盗みをして暮らしていたが、妻のMrs.FOXとちょっと変わり者の息子アッシュのために足を洗い、今は新聞記者として働く日々。穴暮らしをしているが、そんな惨めな生活に飽き始めていた。「もっといい暮らしがしたい!」そんな欲求にかられた彼は、丘の家を購入することに。しかし、弁護士のバジャーは大反対。丘の向こうにはボギス、バンス、ビーンズという、意地が悪い3人の農場主(人間)が住んでいるから。それでも忠告を無視して憧れの家へ引越し、人間に近づいたMr.FOXは、
野生の本能が目覚めてしまう。人間たちの飼育場から昔のように獲物を盗むことに熱をアゲ、盗みの規模が大きくなるにつれて生活は楽になる。しかし、日々、獲物を盗まれる人間たちの怒りは絶頂に達し、結束した3人はトラクターを使って根こそぎ丘を掘りかえし始めた!一家の主として、父親として、`ファンタスティック’に生きたいMr.FOXと彼を支える妻、父親に認められたい息子、土の中で生活するすべての仲間たちは、野生の本能と誇りをかけ、人間たちと戦い始める!
高石:これのアート本持っています。ウェス・アンダーソンですね。
安里人:あれ、見たことあった?
高石:いや、見たことはないんですけど、舞台セットの本を本屋さんで見かけて、気になったので買ったんです。
安里人:じゃあ違うウェス・アンダーソンを勧めようか。
高石:お〜!楽しみです!
安里人:変なコンビが出てくる、映像が面白い作品でいいかな。
高石:そうですね。派手な映像には普通に弱いです。凝ったセットとか色の洪水とか、純粋に好きです。
安里人:それなら『ダージリン急行』は良さそうだね。コンビじゃないけど、トリオの映画で。
アンテナ編集部・高石:うわあああ!良い!
高石:この並びがたまらん。
安里人:それウェス・アンダーソンだよ。
アンテナ編集部:毎回思いますけど、選ぶのが本当に早いです。
高石:私はこんなとこいたらジャケ借りしかできない……。
安里人:アクション映画はどう?好きじゃない?
高石:あんまり見ることがないですねえ……このアクション映画コーナーに知ってる映画が、驚くほどないです。
アンテナ編集部:あ、インディージョーンズとかもアクションになるのか。インディージョーンズは?
高石:うーん。ストーリーをきちんと知らない。
アンテナ編集部:なるほど。大作系はあまり見てないのかな?
高石:いや、金曜ロードショーとかを家族で見ていたんですがねぇ……ダイハードとかに関しては、芸人がモノマネしているのしか知らない(笑)アクション映画はあまり見ていないけど、パニック映画ならよく見るかも。船沈んじゃうー!みたいなやつ。
安里人:決まりました!
アンテナ編集部:早速!それでは簡単に選んだ映画の説明をお願いします。
安里人:はい。映画をそんなに見ていないような印象だったので、比較的新しいものから1本選びました。
オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ
内容紹介(Amazonより)
鬼才ジム・ジャームッシュ監督、4年ぶりの新作。
世界で一番、エレガントで美しい吸血鬼、アダムとイヴのラブストーリー。
◇巨匠ジム・ジャームッシュ監督、4年ぶりの新作!
米インディペンデント映画最大の巨匠と呼ばれ、オフビートなユーモア感覚と秀逸な音楽センスで独自の世界観を築き、
世界中の映画ファンを魅了し続けているジム・ジャームッシュ。7年もの月日をかけて実現させた4年ぶりの新作となる本作では、永遠の命を持ちながら、孤独と闇の世界にしか生きられない吸血鬼の恋人同士の日常をユーモラスで皮肉たっぷりに描き、映画史上最もエレガントで美しい吸血鬼のラヴ・ストーリーを誕生させた。
◇新旧を代表する豪華キャストが集結!
アダム役には、『マイティ・ソー』『アベンジャーズ』の悪役ロキ役でブレークを果たし、現在最も注目される英国若手俳優のトム・ヒドルストン。イヴ役には、『ムーンライズ・キングダム』など個性的な作品から『ナルニア国物語』シリーズなどハリウッド大作まで縦横無尽な活躍を見せ、ジム・ジャームッシュ作品への出演も3作品目となるティルダ・スウィントン。
さらに、『アリス・イン・ワンダーランド』『イノセント・ガーデン』などのヒロインで人気急上昇中の新進女優、ミア・ワシコウスカ、『ハリー・ポッター』シリーズのオリバンダー老人役でも知られ、ジャームッシュ作品の常連でもあるベテラン、ジョン・ハートが脇を固める。
安里人:この映画は吸血鬼の映画なんだけど、血を吸うシーンが全くない吸血鬼映画で。
アンテナ編集部・高石:へー!
安里人:主人公の2人の吸血鬼がむっちゃ長いこと生き続けているせいで、恋愛とかを通り越してコンビみたいになっている映画です。
アンテナ編集部:この映画を選らんだポイントは?
安里人:とにかく音楽がカッコよくて。あと絵面も映像としてもかっこいい。だから音楽をやっていて、映像がきれいなものが好きな高石さんに合うと思いました。
高石:完璧や。
アンテナ編集部:なるほど。ありがとうございます!それでは次の1本を。
安里人:はい、次は『ダージリン急行』です。
ダージリン急行
内容紹介(Amazonより)
<ストーリー>
長男フランシス、次男ピーター、三男ジャックのホイットマン3兄弟。彼らはフランシスの提案で、インド北西部を走るダージリン急行に乗り合わせた。旅の目的は、父の死をきっかけに1年ものあいだ絶交状態にあった兄弟の結束を再び取り戻すこと。バイク事故で瀕死の重傷を負い、奇跡の生還を果たしたばかりのフランシス。兄弟から父の遺品を独り占めしたと非難され、妊娠7ヵ月の妻アリスとも上手くいっていないピーター。そして、家族をネタに小説を書き上げたばかりのジャックは、失恋の痛手を引きずっていた。それぞれに問題を抱える3兄弟は、早々に衝突してしまうが……。
安里人:カラフルな映像が好きそうだし、コンビではないけれども、ポンコツ3兄弟インドぶらり旅っていう映画です。とりあえずウェス・アンダーソン嫌いな女の子いないでしょってくらい安易なチョイス(笑)
高石:この作品はコメディですか?
安里人:うん、コメディだよ。気楽に見れる。
アンテナ編集部:ありがとうございます。それでは次の映画を。
安里人:はい。たまには昔の映画を、ということで『ジンジャーとフレッド』です。
ジンジャーとフレッド
内容紹介(Amazonより)
【内容】
師走のローマ。クリスマスの特番に集められたのは「かつての有名人」たち。その中に、30年前に引退したダンスコンビ“ジンジャーとフレッド”のジンジャー=アメリアはいた。久しぶりに舞台へ立つ不安もあるのに、フレッド役のピッポの姿が見えない。仕方なくホテルへ入り寝ようとすると…隣のいびきがうるさくて寝られない! ! 文句を言いに行くと、なんとそこには髪は薄く・白くなったピッポがいた。30年ぶりの再会にお互い歳をとったと感じる二人であった。次の日はいよいよ舞台。練習するも衰えは隠せない…果たして本番はどうなるのであろうか?華麗なダンスを披露する事ができるだろうか?
安里人:イタリアのフェリーニって監督の撮った有名な映画で。出演しているジュリエッタ・マシーナも, マルチェロ・マストロヤンニも超名優。ショービズ界の映画で映像も派手だし、これをきっかけに昔の映画を見始めるのもいいんじゃない?と思っています。
高石:結構賑やかな感じですか?
安里人:そうだね、かなり賑やか。
高石:ジャケットも可愛い。
アンテナ編集部:さて、次の作品は気になっています。
高石:持ってこられた時から気になっていました(笑)
安里人:はい、次は『ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!』です。
ワールズ・エンド 酔っ払いが世界を救う!
内容説明(Amazonより)
【ストーリー】
1晩に5人で12軒のハシゴ酒!
その時、地球はとんでもないことになっていた! ?
学生時代に成し遂げられなかった“1晩に5人で12軒のハシゴ酒”にリベンジする為、イギリス郊外の街“ニュートン・ヘイヴン”に舞い戻ってきた“アラフォー男達”。やがて、何だか街の様子がおかしいことに気付くが、実は街の人々は“何者か”によって操られていた・・・。
自由を取り戻す為、そして“世界を救う”為、12軒目のパブ“ワールズ・エンド(世界の終わり)”を目指して、“酔っぱらい達”の“どうしようもない戦い”が始まる!
安里人:このジャケットに写っている2人と+監督で映画を作っている人たちで。主演のサイモン・ぺグはミッション・イン・ポッシブルとかにも出ている俳優です。まあ、とにかく酔っ払いの話なんだけど、自分はこの映画で泣けます。
高石:このジャケットからは想像できない……!本当に気になる。
安里人:失われた青春時代を取り戻すために飲みまくるぞ!と思っていたら……なんかおかしいぞ?となってびっくりもします。
高石:風刺的ではなんですか?
安里人:風刺とも言えるけど……多分思っている風刺とはちょっと種類が違うかもしれない。
高石:ほー。すごく悩みます。この裏に書いてある“SF酔っ払いエンターテイメント”って煽りもいいですね。
安里人:うん、それはぴったり(笑)
高石:ぴったり!?謎は深まるばかり……!他の作品とはタイプが違うけど、良さそうだなあ。
アンテナ編集部:ありがとうございます。それでは最後の作品を。
安里人:最後は『ヘルボーイ』という映画です。
ヘルボーイ
内容紹介(Amazonより)
★STORY★
旧ドイツ軍の陰謀により誕生した悪魔の子ヘルボーイは、怪僧ラスプーチンにより悪の手段として利用されようとしていた。しかし、間一髪のところでブルーム教授率いる特殊部隊に阻止され、ヘルボーイは秘密裏に人間に育てられた。一方、復活を遂げたラスプーチンは邪悪な手下たちと人類の存亡を脅かす恐るべき計画を実行しようとしていた。
安里人:『パシフィックリム』はわかる?
高石:名前だけ……。
安里人:その監督の映画です。元々アメコミの映画で。ベタにスーツを着て戦うとかではないのだけど、主人公が悪魔で、魔界の探偵みたいなのをやっているのね。とにかくギミックがきいていて、キャラもとても立っていて面白い。
高石:これは、角?
安里人:そうそう、角が生えると世界を滅しちゃうからそれを切り続けているという。これは悪魔と半魚人のコンビ。いわゆるSFアクション映画なんだけどおしゃれで、映画の見方がよくわからないって人まで楽しめる映画だと思う。
アンテナ編集部:ありがとうございます!高石、決める上で他に聞きたいことはある?
高石:友達と見るのに適している映画ってどれでしょう?
安里人:『ヘルボーイ』と『ワールズエンド』はみんなでワイワイ見れるかなあ。『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』は一人で見ながら嚙みしめるのがいいかもしれない。『ダージリン急行』は女の子が集まってかわいい~って言いながら見るのには適しているかも。
高石:『ダージリン急行』はかわいい要素があるんですね。それなら、今度友達と見てみようかなあ。
安里人:『ジンジャーとフレッド』は今の若い女の子が見たらどう思うか、分かれるかも。おじいちゃんとおばあちゃんが出てくる映画で、かわいい!と思えるかもしれないし、年代が古すぎてだっさ!と思うかも。
高石:私は古い映画のビジュアルは好きですね。なので今『ジンジャーとフレッド』と『ワールズエンド』で悩んでいます。『ワールズエンド』の隠されているオチがすごく気になっています!……なので今日は『ワールズエンド』にしてみようかな!
アンテナ編集部:決め手は?
高石:コメディを見たいという今の気分と、最後が泣けるというのがこのジャケットからはあまりに想像できないので(笑)それを確かめたいと思っています。『ジンジャーとフレッド』に関しては名作なので自分で辿りつける気がするけど、『ワールズエンド』はこんな機会じゃないと見れないと思って!
アンテナ編集部:たしかに!それでは『ワールズエンド 酔っ払いが世界を救う』を見てみましょう~
高石のレビュー
今回は映画の感想をイラストにしてもらいました!
※クリックすると画像が拡大されます
さて、いかがでしたでしょうか? これからは様々なバックグラウンドのゲストターゲットを招いて取材をして行く予定です。 安里人さんに映画を選んで欲しい!という方がもしいらっしゃいましたら、アンテナ(kyoto.antenna@gmail.com) までご連絡ください。 (京都取材にいらしていただける方限定です!) 次回もお楽しみに!
映画のすゝめ
第1回:https://antenna-mag.com/eiganosusume_vol1/
第2回:https://antenna-mag.com/eiganosusume_vol2/
第3回:https://antenna-mag.com/eiganosusume_vol3/
第4回:https://antenna-mag.com/eiganosusume_vol4/
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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