The Octopus Project Japan Tour -Kyoto- ライブレポート
2002年音楽の街、アメリカテキサス州オースティンで結成された4人組The Octopus Project。過去にはゲームのサントラを担当したり、最近では菊池凛子主演映画「KUMIKO, THE TREASURE HUNTER」に提供した楽曲がサンダンス映画祭にて特別審査員賞を獲得するなど、各方面から支持され続けているバンドである。そんな彼らの通算5枚目となるフルアルバム『Fever Forms』の日本盤が残響レコードよりリリースが決定。記念すべき初来日となるジャパンツアーの初日が京都GROWLYで行われた。
暗転して闇に包まれたステージから聴こえてきたのは“The Falls”のイントロ。冒頭のバスドラの音と怪しげな音を紡ぎ出すギターが、プロジェクターから投影される無機質な映像と見事に融合し、今日のライブへの期待を瞬く間に高める。同時に2010年のSXSWにて彼らが行った8台のスピーカーと8台のプロジェクター、円形ステージを使用し、五感でライブを楽しむ『マルチメディアショー』の映像が頭をよぎった。今回は7枚の長方形の白布に映像を投影し、宇宙のような異空間を作り上げる。完成度の高い映像も自分たちで制作しているから驚きだ。バンド、というよりはアート集団なんてネーミングのほうが彼らにはしっくりくるのかもしれない。
彼らは“The Octopus Project”という軸をしっかり持ちながら、決してジャンルの枠にとらわれない印象だ。
MVになっている“Sharpteeth”では素朴な歌ものバンドを思わせるが、しかし“Mmkit”のように強靭なビートでフロアを揺らす激しい楽曲も繰り出すことができる。オーディエンスを躍らせたすぐ後には、ゆったりと流れるようなエレクトロチューン“Perhap”を披露。生温い海水に身体を浸したような浮遊感が心地いい空間を作り上げる。次々と担当楽器を変えたり、目まぐるしく変わる楽曲の雰囲気からも彼らの表現の奥深さを感じることができた。
不運にもメンバーの1人が来日できなくなり、3人編成で臨んだこの日のライブ。不慣れな環境、不慣れな体制ゆえにトラブルにも多く見舞われたが、その場で出来る最善を彼らは尽くしているように見えた。万全の体制ではなかったことが悔やまれるが、彼らを日本で見れたこと自体に感動を覚えたこの日のライブ。ぜひとも全員揃った状態で再来日、そして再来京を願う。そしてジャパンツアーも残すところ東京公演のみ。きっと尻上がりに調子を上げているに違いない彼らのライブをぜひとも見逃さないで欲しい。
The Octopus Project Japan Tour
2014年10月20日(月) @渋谷O-nest
w / WOZNIAK / 雨のパレード
【DJ】Huss. (aoub)
WRITER
- 岡安 いつ美
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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