ボロフェスタ15周年記念特集・『ボロフェスタってなんなんだ?』 – クリトリック・リス編 –
今回より複数回に渡ってお送りするシリーズ・『ボロフェスタってなんなんだ?』。15周年を迎えるボロフェスタの節目節目に出演したアーティストや、ボロフェスタには欠かせない“重要人物”を招いてのインタビュー企画シリーズです。フェスティバル内側からは見えてこない、外から見たボロフェスタとは一体どんなものなのか?そんなことを紐解いていければと思います。
第一回目の今回は、ボロフェスタへの思いは人一倍!?のクリトリック・リスに話を伺いに行きました。
(インタビュー:則松弘二)
クリトリック・リス
2006年音楽経験のまったくなかったサラリーマンのスギム(当時36歳)は、行きつけのバーの常連客達と酔った勢いでバンドを組む。しかし初ライブ当日に他のメンバー全員がドタキャン。やけくそになりリズムマシーンに合わせてパンツ一丁で行った即興ソロパフォーマンスが「笑えるけど泣ける」と話題となりソロユニットでの活動を開始。過激なパフォーマンスで関西アンダーグラウンドシーンの話題を集めた。2012年サラリーマンとの2足のわらじが困難となり脱サラ。東京や地方でのライブも精力的に行うようになる。2015年12月2日、活動10年目、46歳にしてファーストアルバム「あなたのあな」をリリース。同年12月15日渋谷WWWでのワンマンライブはソールドアウト。2016年MOOSIC LABコンペティション映画「光と禿(2016年9月公開)」で主役と音楽担当を務めた。
(オフィシャルサイト:http://star.ap.teacup.com/clitorick/)
早速なのですが、クリトリック・リスさんがボロフェスタに初めて出演した時の思いや、エピソードを教えていただけますか?
調べたら初出演が2009年の地下ステージで。クリトリック・リスを始めて3年目の時でした。その時メインと地下の温度差が激しいなと思いましたね。まだまだ駆け出しの時期たっだので少しでも地上ステージを見に来たお客さんたちに見てもらいたくて、地下ステージを出た階段のところでライブをしました。
(笑)
トイレに入ろうとしてる人をできるだけ捕まえて「クリトリック・リスを聞け!」と(笑)。音楽というよりクリトリック・リスという存在を、地下のお客さんだけでなく、地上のお客さんに知ってもらいたいという気持ちがありました。
「2014年のロビーステージでクリトリック・リスがやれることはやりきったやろ」
オファーがない年でもボロフェスタのスタッフに直接掛け合って出演しようとしたり、毎年ボロフェスタが開催される時期はスケジュールを開けてると聞きます。その真意や、なぜそんなにボロフェスを気に入っているのかを教えてください。
クリトリック・リスにとっての初めてのフェス出演だったので思い入れが強いですね。
去年(2015年)はここ数年では珍しく出演されてなかったですよね。いらっしゃらなくてすごく寂しかったです。
実は去年も日程は空けていたんです。そこで主催の1人である土龍くん(※1)に「どうにか、ここは出させてくれ!」って話もしたんです。その時土龍くんに「2014年のロビーステージでクリトリック・リスがやれることはやりきったやろ」と言われてハッとしたんです。
2014年というと、出演されなかった前の年。
2013、2014年とロビーステージのトリを任せてもらって2時間近くライブをしたんです。“酒相撲”から始まって、2013年は表にも出て行ってテントに登ったりして。2014年は割と音楽中心にやったんですけど、「それでもし2015にロビーに出ても同じことやろと。かといって、KBSホールに出れるほどの知名度であったり貫禄もない」ってことを遠回しに言われたんですよね(笑)。その頃はCDも出していなかったし。
ぐうの音も出ないですね……。
僕もボロフェスタに出て当たり前って気がしてたんです。その話を土龍くんから聞いて、僕自身がボロフェスタに甘えていたと自覚しました。なので「2015年に出れなかった悔しさをバネに、もうひとランク、クリトリック・リスは大きくなってボロフェスタに戻ってきたい!」という気持ちで唇噛み締めながら2015年の出演は辞退させてもらったんです。まあ、辞退というか出れなかったんですけどね。
クリトリック・リスの出演がより一層楽しみになりました……!
基本的には何も変わってないんですけどね。CDを出せたおかげで、今まで行くことのできていなかった地域に行かせてもらったし、最近はほぼ東京中心にライブもさせていただいてて、多少なりとも成長できたかなとは自分でも思っています。
新しいスタイルが確立出来たのもボロフェスタのおかげ
ボロフェスタでの印象的なエピソードはありますか?
僕が2013年のロビーステージでした“桐島、バンドやめるってよ”の動画をyoutubeにあげてくれてる人がいるんですよ。この動画を見て「クリトリック・リスって今までコミックバンドかと思ってたんですけど、意外と熱いですよね」って言われることが増えたんです。誰かわからないですけどあげてもらって、ありがたかったです。
2014年のロビーステージもとても熱いステージだったのをよく覚えています。
これまでクリトリック・リスって今までトリを任せられることはなかったんですよね。でもボロフェスタでは30分という枠を伸ばして良いよと言われて、初めてフェスで真面目な曲や、しんみりした曲をやれたんです。そこでライブの時間を1時間足せば、エモーショナルな部分も出せることがわかって。
その後からクリトリック・リスにサブステージで延々とやらすっていうのが流行ってるんですよ(笑)。「TOKYO CALLING」や「見放題」でもやりました。新しいスタイルが確立出来たのもボロフェスタのおかげです。
これからのボロフェスタに期待することはどんなことでしょうか?
ボロフェスタは、普段ライブハウスにしか出てない人たち、それとフェスのメインステージに出れる人たちも出ていて、それを近い距離で行き来して観れるフェスなんですよね。なので音楽シーンの地下と地上を繋ぐイベントになったと思っています。だからこそ、普段からライブハウスにお客さんがもっと落ちるような仕組みを作っていって欲しいと思います。
土曜の夜にメトロでやるvol.夜露死苦も、結局来る人たちはコアなファン達なんですよね。ナノボロフェスタもやっぱまだライブハウス慣れしてる人のイベントかなと思います。だから、もっとボロフェスタという看板を使ってもっとライブハウスにお客さんを落としていけるようにして欲しいですね。今はやっぱりそれが地下ステージとメインのKBSのステージで分かれてるって気はするので……。
地下の雰囲気は若干近寄りがたいんですかね。小箱に慣れていないお客さんからしたらあれだけギュウギュウな光景を見るだけで避けてしまうのでしょうか……。
去年はeastern youthが地下に出てたじゃないですか。ああいうのは熱いと思うんですよね。集客のためではなくて、地上と地下を混ぜるような仕組み、僕も具体的なアイデアは浮かばないけども、そういうことが出来たらいいなって思いますね。
最後に、今年楽しみにしてるアーティストはいらっしゃいますか?
僕の出演と同じ日に岡崎体育くんが出るんですよ。僕もちっちゃなライブハウスの時から対バンしてるし、ビッグになってからもツーマンイベントにも来てもらって。今岡崎体育はもちろん、今年は出ないけど水曜日のカンパネラ、あっこゴリラなんかもソロのアーティストの魅力を引き出してくれてるような気がするんです。やってることは違うかもしれないですけど、お互いソロの打ち込みでやってるっていう人達は盛り上がって欲しいなと思います。
ここ数年で、ソロでもバンドに対抗出来る、ソロでもバンドに見劣りせえへんぞっていう意識にお客さんも変わってきたと思うので、特に楽しみですね。
ここからクリトリック・リスの逆襲が……!
そうですね、頑張りますよ僕(笑)あ、10月29日に出演するんですけど、その日僕の誕生日なんです。
おー、おめでとうございます!
47歳になります。そんな意味でも今年は頑張ろうかなと思っています。
楽しみにしています。ありがとうございました!
※1 土龍くん …二条にあるLivehouse nanoの店長。ボロフェスタの創始者の1人。
ボロフェスタ2016
日時:2016年10月28日(金)、29日(土)、30日(日)
28日(金) 大前夜祭@京都KBSホール OPEN 18:00 / START 18:55
29日(土)・30日(日)@京都KBSホール OPEN 11:00 / START 11:55
29日(土) vol.夜露死苦@京都METRO OPEN / START 21:30
(オフィシャルサイト:http://borofesta.jp/)
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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