『ニューミューテーション -変・進・深化』展
関西圏の芸術系大学を卒業/在籍し活動中の若手作家を取り上げる「ニューミューテーション」を開催!
何かを見聞きしてふと腑に落ちる感覚を覚えるのは、どのようなときでしょうか。はっきりとした理由がなくても、興味を抱いた対象の引力には、相応の根拠があるはずです。本展では制作における作家の「ややこしい」手法に着目し、彼ら独自のミューテーション(突然変異)の源を探ります。
加藤の絵画は、自身の水彩ドローイングから、古典技法のテンペラに置き換えてつくられます。一見伸びやかなストロークと自由な配色に感じられますが、その制作プロセスには、材料や描画方法へのロジカルで緻密な実験と実践が存在し、ある形をある素材で描く、という事象が限りなく豊かに深化されます。西條は焼き物の特性である、中心が空洞であることからもたらされる虚構性に関心を持ち、史実から着想を得た想像上の道具をつくります。近作では鉱物を窯の中で焼成し、新たな素材として用いる実験的な試みを展開し、自然と人為という二つの営みの重なりから生まれる変化を、焼き物を通して見出そうとしています。髙畑は、山の稜線や建物の輪郭線など身近な風景をフィルムや紙の上にトレースし、細かく切り出したものを空間に配置するインスタレーションを発表しています。元の描線が分からなくなるほどに解体され再構築されたそれは、特異な進化を遂げた新しい都市像を私たちに見せるでしょう。
3名の作品は、着想の元となった対象に、オリジナリティあふれるアプローチを加えて生まれます。制作プロセスにそのレイヤーを挟むことで、逆にややこしさや分からなさといった疑問を軽やかに飛躍し、現代的な説得力を獲得した彼らの表現に、どうぞご期待ください。
加藤巧(かとう たくみ)
1984年愛知県生まれ。2010年大阪芸術大学美術学科卒業。主な個展に、『Clock Works』(GALLERY MIKAWAYA、愛知、2017)、『ARRAY』(the three konohana、大阪、2016)、『~|wave dash』(awai art center、長野、2016)、『Seen from a Vehicle』(KulttuuriKauppila、フィンランド、2015)。主なグループ展に『Transfer Guide』(the three konohana、大阪、2017)、『作法のためのリマインダ』(奈良・町家の芸術祭はならぁと2015)。企画したワークショップに「塗料を食べる会×タカハシ’タカカーン’セイジ」(FIGYA、大阪、2017)など。第30回ホルベイン・スカラシップ奨学生。
西條茜(さいじょう あかね)
1989年兵庫県生まれ。京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程工芸専攻陶磁器分野修了。主な個展に『folly』(アートスペース虹、京都、2017)、『ほ伏する山々』(Gallery shop collage 同時代ギャラリー、2016)。主なグループ展に『Ascending Art Annual Vol.1 すがたかたち -「らしさ」と私の想像力-』(スパイラルガーデン、東京、2017)、『Test Case Ⅺ』(European Ceramic Workcenter、オランダ、2017)、『rhizome 西條茜+嶋春香』(京都市立芸術大学ギャラリー@kcua、2017)、「六甲ミーツ・アート 芸術散歩2016」(六甲高山植物園、兵庫)など。
髙畑紗依(たかはた さえ)
1993年大阪府生まれ。京都精華大学大学院芸術研究科博士前期課程芸術専攻版画領域在籍。主な個展に『まばたきの数だけ』(KUNST ARZT、京都、2017)、『タユタユ』(AMUCA、京都、2017)、『transfer appear』(京都精華大学ミーティングルーム、2016)、『山びことグローブ』(kara-S、京都、2016)。主なグループ展に、『work in progress 霧の輪郭』(Space妙、京都、2017)、『連鎖とまたたき』(京都精華大学ギャラリーフロール、2016)。《眺めのほころび》を「2016年度京都精華大学 卒業・修了制作展」に出展。
日時 | 2018年4月14日 (土) – 2018年5月27日 (日) |
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会場 | 京都芸術センター ギャラリー北・南 |
料金 | 入場無料 |
出展作家 | 加藤巧、西條茜、髙畑紗依 |
問合せ | TEL:075-213-1000 |
HP |
WRITER
- 岡安 いつ美
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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