顧 剣亨 個展「霧霾(Wu-Mai)」
「霧霾(Wu-Mai)」という中国語の単語がある。それは本来、黄砂現象を指していたが、現在はスモッグと同様の意味を持つようになった。 現代の大気汚染は、例えば高度経済成長の時代と比べて、ある種特異的な美しさを表出している一面がある。健康に害を及ぼす真っ白な大気から、まるで山水画のような時間の流れが感じ取れる。そしてその光景をよく見つめていると、霧霾の中で何気なく続けられている人々の生活が見えてくる。
人間はあるものに過敏な反応を示すが、その期間は比較的短い。気づいた時には既に忘れられ、その熱量は失われていることが多い。今回の作品は4年前から始めたシリーズであるが、その頃の人々は霧霾に対してとてもナイーブであったことを覚えている。だが、時間の流れとともに、私自身も含め、人々の霧霾に対する関心は極めて低くなっている。未だに体に悪影響のある環境にも関わらず、私たちはそのことに麻痺し、まるで何もなかったように生活を続けている。
このような時代の営みの風景を、私は現代の山水画として視覚化することを試みた。
顧 剣亨 (こ けんりょう)
1994年京都生まれ、上海育ち。京都造形芸術大学現代美術・
大学在学中フランスアルルの国立高等写真学校へ留学。
現在東京を拠点に活動。
自然と人間が混ざり合っている状況に惹かれ、
会期 | 2018年5月22日(火)〜7月7日(土) 火曜~金曜 10:00-20:00/土曜 10:00-17:30 |
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会場 | ワコールスタディホール京都 ギャラリー |
料金 | 無料 |
問合せ |
WRITER
- 岡安 いつ美
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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