ICHI 視聴覚室 2021
神戸ハーバーランドのイベントスペース〈海辺のポルカ〉では、自作の楽器で世界を飛び回る音楽家・ICHIによる展覧会が〜 4月11日(日)まで開催されている。
イギリス・ブリストル在住のICHIは、スティールパンや木琴鉄琴、トランペットや、様々な自作楽器、そしてタイプライターや生活用品など楽器を変え、時には竹馬に乗って縦横無尽に会場を練り歩く。老若男女を惹きつけてやまないパフォーマンスは、“ひとりサーカス団”という呼び方がしっくりくるのだ。
そんな彼の開く本展覧会では、廃校にった学校で使われなくなった楽器や、海辺や川辺の漂流物をつかって制作した作品、ICHI本人が過去に靴の修理屋でアルバイトとして働いてた時に、勤務中こっそり内緒で靴のパーツや靴底のゴムなどを用いて(時効成立)制作した人形達などが展示されます。
街の廃品廃材などを用いて、ゲーム感覚で簡単にどなたでも演奏できる自作楽器など、手に取れる作品も用意されているのも、展示を楽しめるポイントだろう。
同会場では、音楽家によるアートワーク展覧会『SILENT MUSIC EXHIBITION 2021』も同時開催。どちらもお見逃しなく!
ICHIから展示に関するコメントをいただきました!
現在海辺のポルカで展示を行なっているICHIさんに、展示の開催経緯や、制作中のお話を伺いました。(2021年4月9日更新)
今回の展示の開催経緯を教えてください。
今回Cow and Mouseさんが新型コロナウイルスの影響でイベントなどがなくなり、大変な思いをされている状況を見て、自分の展示を提案させてもらいました。
また、周りにいる演奏の機会を失っているミュージシャンが多くいたこともあり、ライブ会場で展示会をするというSam Tucker発案のアートワーク展覧会『SILENT MUSIC EXHIBITION』の提案もさせてもらった次第です。Cow and Mouseさんに快諾していただいて、できた展示会です。
イギリスではこのようにミュージシャンが、ライブスペースで音楽以外の創作物を展示する、というアクションはたくさん起こっているのでしょうか?
いや、Sam Tucker自身も「絵を書くミュージシャンはたくさんいて、みんな思いつきそうなのに、なんでやらないんだろ」と言っていて、そんなにスタンダードなアクションではないです。
そうなんですね。日本でもあまり見ない取り組みだったので、とても素敵だと感じました。
今回は日本での開催に際して、急な提案にも関わらず、多くのミュージャシャンに賛同していただいてありがたい限りです。
急に決まったことだったんですか?
開催ひと月前の2月〜3月にかけて声かけをしていたので、急ピッチで仕上げていった感覚はあります。
結構ギリギリだったんですね。急ピッチでも、これだけのアーティストが参加してくれたと。
間に合わなくて断念したアーティストもいましたし、実はまだ作品が到着していないアーティストもいたりします。
ということは展示最終日までに作品が増えるかもしれないんですね。それも楽しみです。今回の展示物についても教えていただけますか?
このミュージカルインスタレーションを展示するのは今回で3回目になります。日本に帰国してから2週間ほどで作ったもので、まだ制作は続いています。マテリアルは淡路島の海岸に打ち上げられた漂流物を使っています。流木やバケツ、ブイとかもそうですね。ボールもたくさんあったので、人形にも使っています。
なぜ漂流物を制作に取り入れたのでしょうか?
イギリスがロックダウンして、去年はツアーがキャンセルになって。昔から海の漂流物を拾うことは好きだったんですが、ロックダウン中はそれらを使って制作をすることに没頭していたんです。イギリスでも2021年5月からブリストルで拾ったものを使って作ったエキシビジョンを行う予定です。
なるほど。小さな人形たちが作品の中にたくさん潜んでいるのも、特徴的だと感じました。
黒い人形は、昔靴の修理をする仕事をしていた職場でこっそり作成していたものです。家にはたくさんいて、日によって出したり出さなかったりしています。時効だと思ってお話ししますが、修理に使うゴムを使って作った人形で、今は原材料が手に入らず、作成できないものたちなんです。
『ICHI 視聴覚室 2021』の展示の中には、
沢山の顔があります。
展示近くにも隠れてます。
全ての顔を見付けられた方には、
ささやかなプレゼントがありますよ🎁
※ SILENT MUSIC EXHIBITION 2021 の、
参加展示物は含まれません。本日は19時まで✨#ICHI視聴覚室2021#SILENTMUSICEXHIBITION2021 pic.twitter.com/e4X8EIXey7
— 海辺のポルカ (@umibenopolka) March 22, 2021
ロックダウン中は音楽以外の創作活動をしていたんですね。
レコーディングもずっとしているんですが、自分はやっぱりライブパフォーマンスが好きなので……オンラインライブもやってましたし、それの良さももちろんあるんですが、カメラと一対一でやっているような感覚があまり楽しめなくて。お客さんのリアクションにエネルギーをもらっていたことを、この一年でとても再確認しました。
ありがとうございます。残りの展示日数も少ないですが、作品はこれから仕上がっていくということなんですね。
そうですね。まだもう少し変化していくと思います。
これまできた方も、最終日に来た時にはまた違う風に見えるかもしれないですね。
作品の中にある顔の数も変わるし、見え方も変わると思います。
息子が二人いて、顔の形を料理に取り入れるとよく食べるんですよ。それがきっかけで、顔を作ることや、顔に見えるものに興味がいくようになりました。なので、今回の展示でも顔を作ることにハマっていて、どんどん顔が増えていっています。特にこれから顔が増えると思うので、また見に来てもらいたいです。
展示最終日にはクロージングライブもありますので、ぜひ遊びにきてください。
『SILENT MUSIC EXHIBITION 2021』 Closing Special Live
日時 | 2021年4月11日(日) |
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会場 |
神戸市中央区東川崎町1-5-5 |
出演 | LIVE:トウヤマタケオ / 山本信記 / Shawn(Lullatone) / ICHI 出店:COCHI CAFE / beinelmilel |
料金 | 入場無料、投げ銭制(出入り自由) |
ICHI 視聴覚室 2021 イベント概要
会期 | 2021年3月21日(日)〜4月11日(日) クロージングイベント:4月11日(日) ※詳細後日発表 |
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時間 | 平日 / 13:00~19:00 |
会場 | |
入場料 | ドネーション制(投げ銭) |
ICHI(イチ)
イギリス・ブリストル在住の音楽家。
3rdアルバム「maru」やシングル「一週間歌 week」が日本とUKでリリースされ、
イギリスBBC国営放送などでも楽曲が多数オンエアーされている。
スティールパンや木琴鉄琴、トランペットや、様々な自作楽器、
タイプライター、生活用品などを演奏し唄い日本全国、
UK、ヨーロッパ、オーストラリア、ニューヨーク、
香港、台湾、韓国などでライブパフォーマンスを行っている。
NHKアニメーション「おんがく世界りょこう」の主演アニメキャラクターのモデルでもあり、
演劇やラジオ、テレビ番組、CM等への楽曲提供、PV映像作品も制作提供しており、
近年では、廃品廃材で制作した楽器によるサウンド・インスタレーション作品や、
落ち葉や石、漂流物などをつかった立体作品なども発表している。
https://ichicreations.com/
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WRITER
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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