ボロフェスタ15周年記念特集・『ボロフェスタってなんなんだ?』 – 杉浦真佐子編 –
シリーズ『ボロフェスタってなんなんだ?』。15周年を迎えるボロフェスタの節目節目に出演したアーティストや、ボロフェスタには欠かせない“重要人物”を招いてのインタビュー企画シリーズです。フェスティバル内側からは見えてこない、外から見たボロフェスタとは一体どんなものなのか?そんなことを紐解いていければと思い、この企画を始めました。
今回は二条にあるライブハウス・nanoのオーナーである杉浦真佐子さん(以下、まあこさん)へインタビューをしてきました。写真を見て、この人見たことある!と思う人も多いのでは?まあこさんはいつもnanoのカウンターから、笑顔でお客さんを迎えてくれる、いわば京都ライブハウス界隈のお母さんのような存在。彼女のボロフェスタへの関わりも、15年を迎えました。主催者のそばでずっとこのフェスを見守り続けてきた彼女が見てきたボロフェスタとは、一体どんなものなのでしょうか?
(インタビュー・写真:岡安いつ美)
ゆーきゃん見てたらよくわかかるのよ?「これで何日目か」っていうのが
まあこさんはボロフェスタは初回から参加されていますか?
初回からいるかな。「フードを出してくれへん?」って言われて。最初はあんな大きいフェスになるとも思ってなかったなあ。きったない西部講堂でね。
実は私、西部講堂時代のボロフェスタを全く知らないんです。
あら。惜しいことしたねぇ~。
西部講堂でやっていた時って、今のボロフェスタとはちょっと違いますか?
もっと手作り感があったかな。西部講堂には、大きな舞台があるでしょ?それだけでは1つのバンドしか演奏出来ないから、西部講堂の真ん中に矢倉を組んでそこを舞台を設置して、表でちっちゃな弾き語りの会場を作ったりもしていたのよ。足場持っていったり、脚立持っていったり、幕張ったりして、もう本当に手作り。すごい楽しそうにやってたの。
正直今のボロフェスタからは少し想像できない気がします。
まあ、みんな若かったしね。どっかで喧嘩してたり叫び声が聞こえてきたり、ゆーきゃんが疲れて夢遊病者みたいになったり (笑) 。ゆーきゃん見てたらよくわかかるのよ?「これで何日目か」っていうのが。だんだん顔面蒼白になっていって。
(笑) 。西部講堂でやってた時に印象に残っていることはありますか?
印象に残ってることは、矢倉組んでるとこから……誰やったかな、誰かが落ちたこと。骨折ったのよ。そんなんが日常茶飯事。あと、土龍くんが3つくらいの舞台の間を、衣装を着替えてはいろんな面白いことをして前説して回るんやけど、自転車乗ってフロアに登場してそのまま自転車で舞台にバーンって上がったりしてたのも面白かったなあ。出てくれたバンドの子らはあんま覚えてないのよね、ひたすらカレー作ってみんなの世話してしていたから。ちっとも見れなかった。
ライブが見れなくてもやっぱり楽しかったですか?
楽しかったな。でもオシリペンペンズ見た時に、裸で、ロン毛で、ベルボトムのジーンズ履いて、そこらへんの道端に転がってた時には「親戚じゃなくてよかった」と思った (笑) 。その頃はオシリペンペンズとか、赤犬とか、もう乱暴者がいっぱい。出演者も、そこらへんをうろうろと走り回ってたからね。そんなんが印象的だったし、楽しかった。
KBSホールになって、何か変わったなと思うことはありますか?
なんかな、歳いったんやろな主催者が。ボランティアに丸投げだね (笑) 。一緒に作るっていうよりは、傍観してるような気がする。
譲りたいみたいですよ、次の世代に。
あぁ~、それでか!なんかもう遠目で見ている気がする。やっぱり運営は体力いるものね。
やっぱりしんどいですよね。だから15年もやり続けていることは本当にすごいことだと思っています。たぶん赤字の出た年もあると思うんですよね。僕も自分でイベントとかするから分かるんですけど、赤出た年の次の年ってやりたくないんですよ。もうめっちゃ不安になる。でも彼らはそれでもずっとちゃんと続けていて、続ける意味というのも理解されてるのが本当にすごいことだなと思います。
赤出た後の会議ってくっっらーーーーいのよね。くっっっらーーーいんやけど、来年もやりたいんやろなぁっていうのは見え見えで、結局誰が言うわけでもなく、やる方向になる。でも「来年どうする」の話が進むのに、だんだん時間かかるようになってる。前はもう今年のをやってる最中に「次はこうしよう!」みたいな感じやったのが、だんだんとね。でもそれは体力と、気力と、精神力と、忍耐力か……それしかないな。でも、好きやったら続けられるからね。
好きじゃないと、あんな大きいことやらないですよ。
nanoに来てくれるのはね、絶対2~3割はボロフェスタに出たい人。
まあこさん的に、ボロフェスタが、京都のナノに出るバンド界隈や若いバンドマンたちに与えた影響って何かあると思いますか?
nanoに来てくれる若い子の2~3割はボロフェスタに出たい人。ボロフェスタをしてるのは土龍くん、だからnanoに出る、っていうのが無くはない。ものすごく感じる。
どういったところで感じるのでしょう?
「ボロフェスタに出たい!」ってそんなこと直接土龍くんには言いにくいわよね。だからかわからないけど、私に聞いてくるのよ。私のことただのお酒作ってるおばちゃんだと思ってくれているから。「ボロフェスタってどうやったら出られます?」って何十人にも聞かれてきたよ。だから影響はやっぱりあると思う。
若者が出演したいフェスの位置付けになっているんですよね。他のアーティストさんでも聞かれるという話を耳にしました。ボロエフェスタは確固たる地位を京都で築きあげたことがこの企画を通してよくわかりました。
これからのボロフェスタに期待することは何かありますか?
若い人がもっと育ってくれて、それこそ堤くんとかが、ちゃんと継承して、ボロフェスタがずっと続いてくれるのが一番の希望かな。場所はどこであれ「ボロフェスタ」っていうのが無くならないことを祈っているよ。堤くん、頑張ってね。
いや、その話聞いたら、やるとしか言えないですよ。今年もちゃんと参加します。で、僕から一つ聞きたいことがあって。今年のボロフェスタ、どんな人に遊びに来てほしいですか?
んー、そら、音楽知らない人に音楽知ってほしいと思うな。
知らない人にこそ見に来てほしい?
そうそう。私な、音楽ももちろん大事やけど、岡崎体育に対して、「ええもの見せてくれるな」って思うの。お笑い嫌いな人ってあんまりいないでしょ?でも音楽知らない人は多い。それのコラボが岡崎体育を有名にしたんだとと思うの。ジャンルを混ぜるというか……そういう人が増えたらいいな。もっともっとお客さんの幅も広がると思う。
そういえば、KBSホールでするようになってから、御所のお客さんがたまに何してんの?みたいな感じでカレー食べに来てくれたりするのよね。そういったお客さんたちには「こんなとこでこんな音楽してるんですか」って言われる。本当にまだまだ知名度って低いんだなって思うのよね。年寄りもバザールには行くのに、音楽フェスに行かない。その辺の枠が広がればもっと面白いとは思うね。
音楽界隈での知名度と、一般的な知名度の差がそんなところに出ていたとは……。
それと、子供。だんだん今までのミュージシャンが歳を重ねていって、結婚したりして子供ができる、その子供も一緒に遊びに来てくれるようなフェスになればいいかなと思う。
まあこさんはnanoを始められて、音楽に接することが増えたじゃないですか。人生が豊かになりましたか?
なったなぁ。本当に、知らんことがこんなにあったんやって思った。たまに「音楽で人を変えられへん」って言う子がいるけど、私は変えられると思う。ただね、騒音が嫌いな人に、この音楽をっていうのは絶対無理でしょ?ボロフェスタは静かな音楽ではないし。そんな人や子供も巻き込めるくらいの静かな音楽も混ぜても面白いかもなぁとは思う。お笑いもしかりやけどな。
間口の広げること、ですかね。
うん。そしたらもっともっと音楽人口が増える気がする。年寄も含めてね。年寄も来やすい場所にしたいな。
ボロフェスタ2016
日時:2016年10月28日(金)、29日(土)、30日(日)
28日(金) 大前夜祭@京都KBSホール OPEN 18:00 / START 18:55
29日(土)・30日(日)@京都KBSホール OPEN 11:00 / START 11:55
29日(土) vol.夜露死苦@京都METRO OPEN / START 21:30
(オフィシャルサイト:http://borofesta.jp/)
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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