ボロフェスタ15周年記念特集・『ボロフェスタってなんなんだ?』 – ときめき☆ジャンボジャンボ編 –
シリーズ『ボロフェスタってなんなんだ?』。15周年を迎えるボロフェスタの節目節目に出演したアーティストや、ボロフェスタには欠かせない“重要人物”を招いてのインタビュー企画シリーズです。フェスティバル内側からは見えてこない、外から見たボロフェスタとは一体どんなものなのか?そんなことを紐解いていければと思い、この企画を始めました。
今回は2008-2013年に出演し、メンバーのひとりhirocopack (Key) がボロフェスタの主催として活動しているときめき☆ジャンボジャンボにSkypeインタビューを行いました。各メンバーが思い描く理想のボロフェスタとは?今年参加するかどうか悩んでいる人に見て欲しい内容です。
(インタビュー:堤大樹)
ときめき☆ジャンボジャンボ
ギター・ベース・ドラムス・ピアノの四人編成。『ときめき☆ジャンボジャンボ』によって生み出された、そのバンド名からは、およそ想像もつかない楽曲達は、言葉を使わず変拍子を織り交ぜたインストゥル メンタル中心の音楽スタイルで、時には「プログレッシブロックである」とも、そして時には「ポップミュージックである」とも言われ、老若男女問わず聴く者 全てをその世界観へと引きずり込んでゆく。音の向こう側に見えるのは、いつも私たちがはじめて出会う、でもどこかノスタルジックな物語。さあ、今宵もロマンティックに…。そして、ドラマティックにまいりましょう!We are tokimeki☆jambojambo!!!!!
(オフィシャルサイト:https://tkmkjj.com/)
当時は有名無名関係なくみんなでべろべろになってました
今年ボロフェスタが15周年という事もあり、1年目、5年目、10年目に出演された方を中心にインタビューを願いしています。ときめき☆ジャンボジャンボには10年目の出演者代表して、お話をお伺いさせていただきたいと思うのですが、まずはボロフェスタに出演した時の印象深い出来事などがあれば教えていただけますでしょうか?
デートコース (DATE COURSE PENTAGON ROYAL GARDEN) じゃない?大前夜祭でデートコースと2マンした事があって、それが一番緊張しました。
ジュディマリ(JUDY AND MARY)のTAKUYAがギター弾いてて「わーっ!」てなったっていう (笑)
世代的にもジュディマリはドンピシャですよね。
俺が持っている一個前のベースとか恩田さんモデルですしね。
それライブ終わりでTAKUYAさんに話してたけど「あ~、そうなんや」位だったよね。
あの日べろべろだったし全然覚えてない (笑)。個人的にはボロフェスタは西部講堂の時が印象深いですね。夢中夢というバンドで出演した時の話なんですけど (2006年出演)、べろべろの状態で楽屋裏にいた、イカツイお兄さんと話していて、そのお兄さんが「俺、次出るし中で見てね!」って出て行ったんですよ。ホールに見に行ったらKen Yokoyamaが演奏してて、「うわ!あれ横山健やったんや!」みたいな事がありました。Hi-Standardめっちゃ聞いてたのに、横山健さんの顔は全然覚えてなくて。すごくフランクでしたし、当時はみんなでべろべろになってましたね。
ちなみにそれが私が初めてスタッフになった年です。その時は西部講堂で打ち上げもしていて、次の朝に片付けに行ったら隅っこでアーティストの人が寝てたりとかもちらほらありましたね。後から聞いたらそこにハヤシ君もいたらしく、その時にはまだ認識してなかったけど、今では結婚するに至るという。(hirocopackとハヤシは2012年に結婚)
俺はKBSでダイブしたことが印象に残っているかな。
多分まだ動画に残ってる。知らないお客さんも多かったし、そもそもダイブするようなバンドでもないし、私たちも (ダイブするなんて) 聞いてなかったけど、それでも受け止めてくれる優しいお客さんがボロフェスタには来ます (笑)
hirocopackさんからスタッフという話が出たので少しお聞きしたいのですが、現在も主催メンバーとしてボロフェスタのかなり軸の部分で関わっていますよね。そもそも最初は何故スタッフとして参加しようと思ったんですか?
それまではフェスに行った事がなくて、ライブもそんなに行く方ではなかったんですが、参加する前の2年ボロフェスタに遊びに行って衝撃的でした。それはもう自分の中の音楽のジャンルが弾け飛ぶように広がったんです。音楽に対する世界が180度変わった。そしたら、今度はその経験をしてもらう側に立ちたいと思って。あとは、単純に面白かったし、アーティストとの距離も近かったし、まだ西部講堂の時だったんですが、商業的ではないアットホーム感もあって、「これなら私もスタッフになれるかも」と思いました。
ボロフェスタにスタッフとして初めて参加した時の印象はどうだったでしょうか。
「こんなに人力なんや」というのが第一印象ですね (笑) 。元々演劇をやっていたので、舞台の裏の事を少し知っていて、「そんなんしたら危ないで!」ってことを普通にやっていました。でもノープランなのに最終的に凄いものを作っていくんですよね。あとは設営に邪魔な場所に車が止まっていて、本番までどけてもらえなかったので、10人位で素手で動かしたり、「マンパワーってこういう事なんやな」と感じました。
ぜひ今年お客さんとして、スタッフとして参加するか悩んでいるような若い子のためにも聞いておきたいのですが、ボロフェスタをやって良かったと感じることはありますか?
第一に自分の視野が広がること。学校だと友達って自分の趣味が合う人が寄ってきてコミュニティが形成されて、他のグループとの交流って難しいと思うんです。ボロフェスタは年齢も趣味も性格もバラバラの人が集まって共同作業をするので、必然的に自分の視野が広がると思いますし、いろんな趣味を持った友達が出来ました。あとはブッキングだったり、「こういうことしたい」というのが具現化されて、ボロフェスタの成分の一つになったりするのはやりがいがあります。他にもたくさんあるけど、ボロフェスタは出来上がったフェスを「手伝う」のではなく、本当に一から「作る」ことができるフェスだというのが面白い。
若い子のアイディアをきっと大人がなんとかするので、むちゃくちゃなフェスを作って欲しい
他のメンバーのみなさんは出演者として、「ボロフェスタは他の音楽フェスと違うな」と感じることはありますか?
あまり他のフェスに行ったことないけど、明らかに違うのは良い意味で文化祭。特に西部講堂でやってた時とか、大人がやっている文化祭だった。当時ボロフェスタの関係者に言ったらあまりいい顔はされなかったけど、俺はそれが素敵な所だと思う。
不思議と居心地がいいですよね、ボロフェスタ。
学祭ってやりたいから自発的にやるもので、そこが似ていたのかもしれない。仕事だからやっているという人が一人もいなかったですよね。例えば入場門とか全部手作りだったんですけど、全てが完璧じゃなくて素晴らしいというか (笑) 。人間味があって愛らしいですよね。音楽も完璧に出来上がっているものってあんまり好きじゃないんです。何かが欠けているからそこが好きになるというか、親近感がわきました。
人間くささですかね。
正直雑な部分もたくさんあって、フェス自体もけして洗練されている訳ではないと思うんですよ。色んな人の意見が入り混じって、よく分からないものが出来て混沌としている。
良い意味で敷居が低いですよね。こんな言い方をするのもどうかと思いますが、お金の匂いがしないし、身近に感じるし、音楽好きがやっているというのはいつも感じますよ。自分たちも出ていて気が楽というか、純粋に音楽を楽しめますよね。
長い間ボロフェスタを間近で見ていて、京都やインディーシーンに果たした役割や影響は感じますか?
これはぜひ東京にいたこともある岩井さんに。
岩井:東京に行っていたかどうかは関係ないかもしれないですが……。僕たちのような無名のバンドを引き上げてくれている面がありますよね。僕たちだけでなく……。
(電波不良により岩井さんのスカイプが落ちる)
いい所だったのに!!
これは私も聞きたい!私はスタッフをやっているから、メンバーがどう思っているか知りたい。
これは僕たちだけでなく、京都のバンドマンみんな感じていることだと思うけど、ボロフェスタがあることによって「ビッグなアーティストと一緒のステージに立てるかもしれない」という期待が京都には常にありますよね。まだ人気が出ていなくても、ライブハウスで良いライブをして「おっ!」て思わせたら、引っ張りあげてくれる可能性がある。京都のバンドマンのモチベーションが上がっていますよ。
土龍さんが多分一番聞かれてると思うけど、「どうやったら出られるの?」って聞かれることが多いですね。それ位どういう基準でアーティストを選んでいるのかが、外から見て分からないんだろうな。
振り幅が凄いもんね、大御所から本当に無名なバンドまで出るし。
聞かれた時はボロフェスタスタッフのアンテナに引っかかるように演奏を頑張れとしか言えない。
(岩井さんが再接続)
岩井:すみません、戻りました。
おかえりなさい、先ほどの続きを聞かせていただいてもよろしいでしょうか。
岩井:どこまで話したか分からなくなったんですが (笑)。売れているバンドにとってのメリットは僕にはわからないですけど、京都で活動している売れていないバンドにとっては近道ではないですが、大きなチャンスへ通ずる道を毎年用意してくれている。
そう感じたタイミングはありますか?
岩井:僕も最初はお客さんとしてボロフェスタに行っていて、その時も全く知らない人から有名な人まで一緒くたになって出演していた。お金の匂いもしないし、変なしがらみも感じない。スタッフが良いと思ったアーティストだけが出られるんだな、というのを感じたのを覚えています。バンドマンの間口を広げてくれているのはありがたい。
ありがとうございます。では最後に、これからのボロフェスタに期待することを一人ずつ教えてください。
音楽好きの音楽フェスであって欲しいし、カルチャーを生み出す原点のような場所になってくれたら面白いなというのがあって、ボロフェスタはそういう事が出来る可能性があるフェスだと思います。垣根のない面白さをずっと継続して欲しい。
岩井:ボロフェスタはボーダーの薄いフェスだと思うんですね。ジャンルやネームバリューであったりとか、そういったものも全て飛び越えて、見たことのないようなフェスになって欲しいと思います。
今のボロフェスタも大好きなんですが、昔のボロフェスタも大好きなんです。主催の人たちってもうおっさんで、おっさんになると、みんなちゃんとできてしまうんですよ。いくら抜こうと思っても完璧なものができてしまう。それもいいんですけど、その次の世代、次の次の世代の人たちが彼らと同じ位置でやってもらえたら、昔好きだった部分がごった返してきて混沌として来るかなと。良い意味でも悪い意味でも良いフェスになってしまっているので、ボロフェスタ特有の完璧ではない部分を出して欲しいなと思います。
若い人たちにもっと来て欲しいです。世代交代する必要はないかもしれないけど、若い人たちがもっと利用して欲しいし、良い意味でもっと踏み台にして欲しい。堤 (アンテナ編集長 / Amia Calva) が何かを吸収してくれてアンテナを立ち上げたのもすごく嬉しいし、そういう人たちがもっとボロフェスタを通過点にしてくれたら。昔は加藤さん (現:SCRAP代表 / ロボピッチャー / ボロフェスタ創設メンバー) がいてSCRAPの人たちもいて、一緒にボロフェスタを作っていた人たちが、社会の中のボロフェスタ以外のところで活躍してエンターテイメントを発信してくれているというのが凄く嬉しいんです。なので、若い人だけでなくても「何かをしたい」という人がどんどんボロフェスタを利用して引っ搔き回してくれたらいいと思います。そういう事が出来る「音楽文化フェス」であって欲しいなと思います。
今年はロビーで土俵作ったりとかそういうのとか素敵ですよね。「それなんやねん」ていう。
普通は思いついてもやらない事しますもんね。
それは15年何も変わらないよ (笑)
そういうのもっともっと若い子がアイディア出して、何とかするのは大人がするので、むちゃくちゃなフェス作ってください。
ありがとうございました!出演を楽しみにしています!
ボロフェスタ2016
日時:2016年10月28日(金)、29日(土)、30日(日)
28日(金) 大前夜祭@京都KBSホール OPEN 18:00 / START 18:55
29日(土)・30日(日)@京都KBSホール OPEN 11:00 / START 11:55
29日(土) vol.夜露死苦@京都METRO OPEN / START 21:30
(オフィシャルサイト:http://borofesta.jp/)
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昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
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