KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2023
2010年にスタートし、今年で14回目の開催を迎える舞台芸術祭『KYOTO EXPERIMENT』(以下、KEX)。国内外の演劇、ダンス、音楽、美術、デザイン、建築などジャンルを横断した「EXPERIMENT (エクスペリメント) = 実験」的な表現が京都に集うことで生まれる、人々の思考や対話、体験などを通じて芸術表現と社会との新しいつながりを模索するイベントだ。
今年度のKEXは大きく下記の3つのプログラムから構成される。
- 国内外の先鋭的なアーティストを迎え、“今”注目すべき作品を上演する「Shows」
- トークやワークショップなど鑑賞とは異なるフォーマットで社会問題や課題を考え現代社会に必要な智恵や知識を深める「Super Knowledge for the Future [SKF]」
- 開催地となる京都および関西地域をアーティストとともにリサーチし、思考のプロセスや軌跡を未来の創作基盤につなげていく「Kansai Studies」
「鑑賞」という受け身の態度にならず、アーティストもオーディエンスも能動的に参加し、社会の問題や課題と触れ合うことで、社会との接続を促すのがKEXの特徴とも言えよう。
2022年7月に更新されたディレクターズノートを読むと、「今年度のこのフェスティバルの開催にあたり、いま、こうした時代を少しでもポジティブに乗り越えようとするキーワードを提案できるとしたら何かと考え、「ニューてくてく」と設定することとした」という記述がある。「てくてく」は歩くことを表象する言葉であり、身体的な動きや、意識や思考のゆっくりとしたうごきや移り変わりを表現しているのではないかと筆者自身は捉えている。
現代芸術は誰にでもわかる表現ではなく、誰にでも受け入れられる大衆性は確かにないかもしれない。コロナ禍以降で既存の価値観が簡単に揺らぐこの世界、「てくてく」と歩く速度感で物事を確実に捉えていくのも良いのではないかという意思表示が、この言葉から感じ取ることができた。だからこそ、このイベントはまず参加してみること、わからないことを考え続け、じっくり自分の中に染み込ませるように味わうのが良いのではないかと、ANTENNA的にはおすすめをしたい。
約一ヶ月におよぶ本イベント。これから出演ラインナップが続々と発表される予定なので、気になるプログラムはぜひチェックしてみてほしい。
KYOTO EXPERIMENT 京都国際舞台芸術祭2023
日時 | 2023年9月30日(土)〜10月22日(日) |
---|---|
会場 | ロームシアター京都 / 京都芸術センター / 京都芸術劇場 春秋座 / THEATRE E9 KYOTO ほか |
料金・チケット | 詳細は下記Webサイトをご覧ください |
Webサイト |
WRITER
- 岡安 いつ美
-
昭和最後の大晦日生まれのAB型。大学卒業後に茨城から上洛、京都在住。フォトグラファーをメインに、ライター、編集等アンテナではいろんなことをしています。いつかオースティンに住みたい。
OTHER POSTS
RECENT POST
EDITOR
- 峯 大貴
-
1991年生まれ。大阪北摂出身、東京高円寺→世田谷線に引っ越しました。
OTHER POSTS
ANTENNAに在籍しつつミュージックマガジン、Mikikiなどにも寄稿。
過去執筆履歴はnoteにまとめております。
min.kochi@gmail.com