【ナノボロフェスタ2015 / DAY1 】Baa Baa Blacksheeps / ONIGAWARA / 岡崎体育
Baa Baa Blacksheeps
バンド名以外は冴えているバンド (本人談) 、Baa Baa Blacksheeps……!彼らを目当てにナノボロへ足を運んでいるであろうお客さんもちらほら見える。ボロの顔ともなりつつある彼らは、ありふれた孤独、ありふれた優しさ、ありふれた光と闇を歌うバンドである。人はどこか共感してもらいながらも「君はひとりだよ」と言ってほしいものなのである。矛盾するわがままな欲望の隙間に付け入ってくる、鋭く暖かいバンド、それがBaa Baa Blacksheepsだと思っている。
あいかわらず、こにーのきらびやかなギターは要所要所で牙を向けてくるし、神部の声は冷たくジーッとこちらを見つめてくる。そんなバンドに「forget me not」なんて歌われたら、いやだな、完全にドキドキしてしまうのになんだか呪いの言葉みたいだ。全てを悲観した上で、全部肯定してくれるなんてそんなズルいやり方ないよ。でも、間違いなくこのバンドに救われている人はいるだろうし、誰かの救いであるライブを見ることができる素晴らしさ、誰かが救われている瞬間に立ち会える幸福さを噛み締めていた。そんな彼らは昨年に引き続き、ボロフェスタ本祭にも登場です。迷える子羊たちよ、お眠りなさい!
ONIGAWARA
開始2秒で「か、かわいい……!キューン!」とか思ってしまった自分を今となっては殴りたい。頭狂ってた。みんな目を覚まして。しかしこれが日本の!ボロフェスタの!ONIGAWARAなのである!
ご存じの通りex.竹内電気のメンバーで構成されている、紛うことなきおっさん二人組なのだが、なんなの…このほとばしる愛は…ビンビン愛が伝わってくるよ、愛の伝道師かよ…。少年のようなキラキラとした瞳で、90’sの香りがするラブリーソングを歌い、踊りあげている姿にすっかり気を取られていたが、いつの間にやらフロアにはたくさんの光るサイリウムが…この表現だけはしたくなかったが、やはり彼らはアイドルなのか…!
“Eじゃん”“ポップミュージックは僕のもの”“恋のメリーゴーランド”など文句なしのセトリでONIGAWARA WORLDへと巻き込まれていくフロア!あれ?もしかしてnanoにロマンスの神様いるんじゃない?ってぐらい、ときめきに溢れかえっていました。とにかくポップソングとして良質すぎて、音源だけでもどうしようもなくフォーエバーラブ・フォーエバーサマー感を味わうことができるのだが、ライブのクオリティがとにかく全てを凌駕していた!絶対にライブで見た方がいいと断言します。「なんでおっさん2人組見て、恋したい気分になっているんだろう…」って絶望すること間違いなしです。ボロフェスタ本祭にも出演が決定しているということで、ONIGAWARAがまだまだ甘酸っぱい夏を終わらせないよ。愛が止まらないよ。
岡崎体育
「BASIN TECHNO (盆地テクノ) 」を掲げ、奈良を中心に精力的に活動する(9月だけで日本各地5カ所を巡るというタフさである)トラックメイカー、岡崎体育。喫茶マドラグの落ち着いた雰囲気とはおよそ噛み合わないウルトラポップなパフォーマンスで一同を沸かせた。絶妙のタイミングでSEに合わせトイレから登場した彼だったが、完全に不意打ちを食らったのがそのダイナマイトボディから繰り出されるキレッキレのダンス。はっきり言っておくが、動けるぽっちゃりが一番タチ悪い。面白いに決まってるやないか。しかもステージドリンクがコーラという抜かりなさである。占い師の黒マスク、鼻だけ出る謎のお面、パペットなど様々な小道具を駆使したっぷり9曲を披露。50分のセットのあいだ、なんど呼吸困難に陥ったことか。
いっぽう終盤に披露された”SNACK”といった楽曲では思い出したかのように上質なヒップホップを聴かせてくれ、子ども時代の感覚が抜けないままの日常を、生々しく描き出す叙情性にキュンとしてしまう。ええ曲やないか!なんでやねん!と心の中で理不尽なツッコミを入れたところで、バンドへの嫉妬心を歌った”FRIENDS”では観客席のたなかけんすけ(Theロック大臣ズ)と中指の立てあい。ラストの”家族構成”ではまさかのフリップ芸まで飛び出し、彼が再び颯爽とトイレにハケていくのをこんなに惜しく感じてしまうのは、彼がMCでしきりに口にしていた「サマーオブラブ」のせいだったのかもしれない。
ナノボロフェスタ2015特集
ナノボロフェスタ2015 DAY.1
カトキット / Spacetime And Streams / ゆーきゃん
https://antenna-mag.com/column/nanoboro2015_day1-1/
ナノボロフェスタ2015 DAY.1
Baa Baa Blacksheeps / ONIGAWARA / 岡崎体育
https://antenna-mag.com/column/nanoboro2015_day1-2/
ナノボロフェスタ2015 DAY.1
渚のベートーベンズ / ナードマグネット / Seuss / ゆーきゃん
https://antenna-mag.com/column/nanoboro2015_day1-3/
ナノボロフェスタ2015 DAY.1
花泥棒 / my letter / never young beach
https://antenna-mag.com/column/nanoboro2015_day1-4/
ナノボロフェスタ2015 DAY.2 前編
THEロック大臣ズ / 私の思い出 / 山本隆弘(KBSホール) / she said / T.V.not January / 中村佳穂 / THE FULL TEENZ / おとぼけビ〜バ〜
https://antenna-mag.com/column/nanoboro2015_day2-1/
ナノボロフェスタ2015 DAY.2 後編
せのしすたぁ / ムーズムズ / メシアと人人 / 長谷川健一 / Have a Nice Day! / Homecomings
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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