【則松弘二の見たボロフェスタ2016 / Day2】ミノウラヒロキマジックショー / POLYSICS / MOROHA / eastern youth / THE FULLTEENZ
各ライターのシフトは本人たちに決めてもらっていて、個人の趣味や趣向を反映させました。この記事を見る人が「このライターの趣味は自分に似ているから、レポートに載っている見れなかったバンドをチェックしてみよう」と、ライターというフィルターを通して新しい音楽との出会いの場所にしていただけたら幸いです。
則松のボロフェスタ二日目
ミノウラヒロキマジックショー ⇒ POLYSICS ⇒ MOROHA ⇒ eastern youth ⇒ THE FULLTEENZ
■ミノウラヒロキマジックショー
ロックフェスでの怪談や落語のステージはよく聞くが、マジックショーをやるなんて想像外だった。これもD.I.Yフェスであるボロフェスタの特徴だと思えば、なるほど納得がいく。どすこいステージで素敵なマジックと時間を提供してくれるのは、ライブハウスnanoの店員ミノウラヒロキ。いきなり、どこからどう見ても普通の筒から何本ものビールを取り出す。お客さんたちは、どうにかしてタネを見破ろうとするが出来ない様子で、定番のトランプのカードを当てるマジックでオーディエンスは大歓声をあげた。
僕自身、ステージからすぐ近い側面から手品を見ていたのに、タネも仕掛けも全くわからない。ミノウラのあまりにも華麗な手さばきとステージングを見たとき、僕は「この人は本物だ」と思わずにはいられなかった。そんな、ミノウラヒロキマジックショーはボロフェスタの恒例行事となっているらしい。来年2017年のミノウラは一体どんなマジック、いやイリュージョンを見せてくれるのか、期待は膨らむばかりだった。
■ POLYSICS
POLYSICSは僕が人生で初めてライブに行ったバンドで、ボロフェスタに12年ぶりに出演すると知った時、なんだか感慨深い気持ちになった。
オープニングSEが鳴り、メンバーがいつものようにステージに登場すると思いきや、なんとVo.ハヤシがぎっくり腰のため車椅子で登場!(ちなみに、ハヤシが敬愛する電気グルーヴも似たような登場をしたことがあるが、怪我をしていたわけではない) 。「ぎっくり腰のせいで、いつもよりテンションは抑えめなのではないか」と頭をよぎったが、一瞬でそんな不安は消えさった。
挨拶代わりの“BUGGIE TECHNICA”ではフロア巻き込んでのDEVO チョップの振り。さらにステージ前のゾーンはモッシュの渦が巻き起こる。曲が終わると恒例の「TOISU!!!」のコールアンドレスポンス、ホール内もPOLYSICSの異常なテンションに喜んで付いて行く。
“Let’s ダバダバ”ではいつもより長い間奏部分で、観客をさらに巻き込んで大合唱。 最後の曲“SUN ELECTRIC”で、彼らも僕たちも最高潮のまま「また来年!」と言い残し出番を終えた。今回は珍しいロバート・フリップ風ハヤシが観れたのがよかった。
■MOROHA
白熱したPOLYSICSのライブより、少し落ち着きを取り戻したKBSホールに登場したのがMOROHAだった。リズム隊のいない、MCとギターの最小編成。しかし、それが彼らの即興性や音楽性を際立てているのだと思う。
“革命”では、「ヒップホップもロックもジャンルじゃない それは魂の名前だ ギターが一本マイクが一本 俺等は俺等の道を行くだけ」とあるように、MCアフロの声と詩がホール内の全員の心に深く刺さっているようで、それをUKの優しいながらもスリリングなギターリフが助長させている。
MOROHAと言えば、ライブ中のMCについても語らないわけにはいかないだろう。ボロフェスタは念願の出演だったらしく、MCでは熱い想いをぶちまけたかと思えば、現在回っているツアーに関しては「けどそんなライブは今日を超えることはできないからね。俺たちは過去も未来も信じたことはありません、今日が最強で最高な俺たちです」という言葉でお客さんのボルテージを最高潮にあげていった。 最後に10月発売のアルバム「MOROHA III 」より“四文銭”を演奏し、新世代の二人組は出番を終えた。
■eastern youth
ボロフェスタ2016の終わりも見えてくる、そんな時間に1stステージに登場したのがeastern youthだった。“テレビ塔”から始まった演奏、それを見た瞬間僕は「これを見るためにボロフェスタに来たのかもしれない」と感じられるほどの衝撃を受けてしまった。それほどの迫力があるライブで、YAMAHA SG-1000から出る地を這うような轟音が、大気の中でVo.吉野の絶叫するような声と混じって僕の身体を揺らしている。あまりの音圧のため、ステージ後ろのカーテンや天井の照明がゆらゆらと揺れていた。
MCらしいMCもほぼなく、“月影”“地下室の喧騒”と曲を立て続けに演奏すると、聞き慣れたイントロが僕の耳に聞こえてきた。“夜明けの歌”だ。ステージバックの巨大なステンドグラスが現れて、感極まったのは絶対に僕だけじゃないはずだ。最後の“街の底”が終わっても、余韻なんて全然消えない圧倒的な存在感だった。
■THE FULLTEENZ
三日間続いたボロフェスタ、eastern youthと銀杏BOYZをつなぐ2ndステージのラストを飾るのが京都のホープTHE FULL TEENZだ。まだ若い3ピースバンドの彼らは、昨年の地下ステージの出演から、今年ホールの大舞台へと大躍進した。
演奏が始まった瞬間、彼らが出す勢いの良い音に耳を奪われた。先ほどのeastern youthに負けず、ホール内も盛り上がる。かつてはお客さんの側として来て眺めていただろうボロフェスタのステージ、そんな彼らなりのの想いえお感じさせるステージだった。ラストの“ビートハプニング”で最後までホール内を盛り上げ、ますます大きくなっていくTHE FULLTEENZのこれからの姿を予感させてくれた。
【Day1】
▼山田和季:渡辺シュンスケ / jizue / ゆーきゃん 明るい部屋バンド / Gateballers / DENIMS
▼小倉陽子:台風クラブ / あっこゴリラ / CHAI / 夜の本気ダンス / クラムボン
▼山田克基:BiS / 立川吉笑 / ときめき☆ジャンボジャンボ / 井出ちよの (3776) / 花泥棒
▼稲本百合香:never young beach / 空きっ腹に酒 / 中村佳穗 / 3776
▼則松弘二: And summer club / 岡崎体育 / クリトリック・リス / tofubeats
▼森下優月:TheSpringSummer / bed / サニーデイ・サービス / スカート
【夜露死苦】
【Day2】
▼山田和季:渡辺シュンスケ / jizue / ゆーきゃん 明るい部屋バンド / Gateballers / DENIMS
▼小倉陽子:Limited Express (has gone?) / 女王蜂 / グッドモーニングアメリカ / ナードマグネット / ワンダフルボーイズ
▼山田克基:BiSH / チプルソ / 加藤隆生 (ロボピッチャー) / 渡辺シュンスケ (Shroeder-Headz、cafelon)
▼稲本百合香:生ハムと焼うどん / 愛はズボーン / manchester school≡ / yonige
▼則松弘二: ミノウラヒロキマジックショー / POLYSICS / MOROHA / eastern youth / THE FULLTEENZ
▼森下優月:天才バンド / 忘れらんねえよ / Have a nice day! / nim / 銀杏BOYZ (弾き語り)
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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