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【ボロフェスタ2015 Day2 / 1st stage】キュウソネコカミ / 清竜人25 / I Am Robot And Proud

MUSIC 2015.10.28 Written By アンテナ編集部

■キュウソネコカミ

BiSH後のキュウソネコカミ?!人が死ぬぞ!とか思っている間にもキュウソステージへ押し寄せる人波に殺されそうになる。「アイドルに負けるかいやぁぁぁ!!!」と登場早々雄叫びながら”ウィーワーインディーズバンド!!”を投下すると、もはや悲鳴にも近い歓声…いや、やっぱり歓声のような悲鳴があちこちからあがる。そのまま間髪いれずに爆撃される2曲目”ビビった”では「さぁみんなで手を振って!さぁみんなで踊ろうよ!」とVo.ヤマサキセイヤが歌うと観客は全員犬か?ってぐらい従順にはしゃぎ出す。Key.ヨコタシンノスケが「ジャンプ!ジャンプ!」とゴリッゴリのミクスチャーバンドかよってぐらいの煽りをかますと、やっぱり観客はもれなく犬か?ってぐらい全力でジャンプしだす。なんだよこの地獄のような吸引力!お茶の間騒然ソング”MEGA SHAKE IT!”ももちろん披露。ちなみにここまで観客の手が挙がっていない瞬間はガチで1秒たりともございません。

 

“なんまんだ”後のMCでは「もぐらさん!呼んでくれてありがとう!この曲はnanoに出てたときに出会ったお客さんが死んだのをきっかけに作った曲でした!」などとどこまでマジなのか全然訳が分からないレベルのnanoとの想い出話を語ってくれる。完全に2秒ぐらいフロアの空気凍った。しかし全国規模で台風の目的存在となっているキュウソが、こうやってnanoやボロフェスタと確実に繋がっているというのはファンはもちろん、いろんな人にとって感慨深い。震撼モノのMCになぜか少しジンとしてしまった。”DQNになりたい、40代で死にたい”では毎度おなじみのヤマサキセイヤのイントゥザダイブ!最終的には観客の上をクロールクロール……フロア最左奥まで辿り着いた後、渾身の『ヤンキーこわい!』コールが割れんばかりにこだまする。すいすいすーいとお見事なまでにステージへと無事帰還すると、最強のパーティーポップやさぐれソング”ハッピーポンコツ”でしめくくりにかかる。フロアもジャンプにかけ声、床が揺れるぐらいに踊りまくりの最高潮…「お開き!」の声と同時にステンドグラスがオープン!はやくね?!展開はやくね?!まだ1st一番手バンドだけど!けどそんなことはどーでもいいと言わんばかりのやいのやいの状態で最高の幕は閉じた。終わったあと周りの90%ぐらいの人が汗だくだくだったんだけど、ほんとによく踊ったなー!爽快!

■清竜人25

一足先にステージに6人の夫人たちがスタンバイ。あとからゆっくりと清竜人が重役出勤すると再び熱い歓声がわきあがる。”ラブボクシング”のビート音から愛のステージは始まった!夫人たちのキュートなダンスにサイリウムで全力のラブコールを贈る観客たち。さっきからずっと野郎の歓声ばかりあがっていると思ってはいたけど、やっぱりみんな夫人目当てなのね……と思いきや、ダンディな竜人の見せ場がやってくると野郎ども「うぉーーーーー!!!!」っておい!どっちでもいいんかい!どっちも好きなんかい!歌い終えると何やらステージの端でもぞもぞとしだす竜人と夫人たち……なんと夫人たちが騎馬を組みその上に竜人がまたがり始まった”A・B・Cじゃグッと来ない!!”。愛らしい夫人たちと同じダンスをしているのに竜人のダンスだけ雄々しすぎ!なんなのかっこいい……!

 

「清竜人25は竜人くんとその妻たちで構成される一夫多妻制アイドルで~す♡」分かってはいたけどさ、わかってはいたけどさ!何度聞いてもその斬新さ、ナチュラルハードパンチャーすぎ!第1夫人から第7夫人までが自己紹介をかねた軽い挨拶をしていくが、それぞれみんなすこしずつ雰囲気が違っていてしっかりアイドルしている。このよりどりみどり感。”ハードボイルドに愛してやるぜ”では「俺より先に死ぬんじゃねぇぞぉぉ!」との竜人の叫び声があがると同時にオイ!オイ!しだす夫人たち。夫人たちにはキュンキュンするしワイルドな竜人にはギュンッ!ってなっちゃうんだけど、なにこの新感覚…。ビートが強いソングに加えて入れ替わり立ち替わりでまくし立てるように入ってくる歌パートはさながらアッパーなミュージカルショーみたい。ソングライティング能力、パフォーマンス力、プロデュース力……おいおい、なんぼほど才能が必要やねんこれやろうと思ったら!恐るべし清竜人。夫人たちとの公式いちゃいちゃシーンも盛りだくさんで、あれ?アイドル?ん?アイドルってこんなんだっけ?ってかなんか自分の中のいろんな既成概念が崩壊させられているぞ…正直脳みそが混乱している!なんてワンダーランド!

 

竜人と夫人たちの愛らしいやりとりが繰り広げられる”プリ~ズ…マイ…ダ~リン♡”はそれはもう垂涎モノ。なんだこれ男の夢かよ!次死んだら清竜人に生まれ変わろうねみんな!手拍子&「Yo Yo スケベスケベ!」コールでハイテンションロマンティックショーの第二部が幕開け。曲はもちろん”Mr.PLAY BOY…♡”。愛のスケベコールの中、ファンキーなソロダンスを披露しながらステージ脇より颯爽と登場する竜人。トラックの派手さと竜人のガスガスにセクシーなヴォイスがたまらない。ステージを右へ左へとかけめぐる夫人たちとそれを追いかける竜人、いや右へ左へとふらふらする竜人を夫人たちが必死に追いかけているのか?!ラストソング”Will♡You♡Marry♡Me?”……グッとくるなつかしいグル―ヴ感、これDA P●MPとかSpice Gi●lsとかにあったグル―ヴ感や(笑)とか思いながらもアイドルグループとは思えない楽曲のバリエーション豊かさとそのバランス感に感涙。夫人たちと竜人のかわいらしくてドリーミーで輝きまぶしいパーティーはどんどん更けていく。いつかそのパーティーにお招きいただきたい、と老若男女望羨望必須の文字通り夢のようなショーであった。

■I AM Robot And Proud

今日一番の静けさの中でステージが始まったカナダ在住のショウハン・リームのソロプロジェクト、I AM Robot And Proud。ツアーではバンド編成だったりソロセットだったりするようだが、今回はドラム・ベース・エレキギターを率いてのバンド編成。1曲目は最新アルバムのタイトルソングでもある”Light and Waves”よりスタート。バンドアレンジはとにかく音源版とは違うソリッド感を備えていて、かつ4人という決して多くはない人数にもかかわらず「ここまでとは!」と脱帽せざるを得ないほど丁寧に、そして重厚に音が重ね合わせられている。

 

淡々としているが図太いサウンドの中にエキセントリックな発信音が響き渡る!曲が終わると彼はちらっとフロアを見て軽い会釈をした。フロア中をゆったりと揺らすようなバスドラの低音の中、軽快なシンセサウンドがたまらない2曲目へと時間は流れ出す。観客も耳をそばだててシンとし、その全員が食い入るように一音一音を感じ取ろうとしているのがわかる。淡泊なシンセフレーズに合わせながらも、その後どんどんと広がりを見せて行く”Center Cities”でもやはりバンドサウンド特有の盛り上がる箇所でグッと音圧が増してくるこの感じがたまらない!展開がエキサイティングになるにつれて、場面が切り替わる部分、ギターが突如として前に出てくる箇所、スネアが跳ねて目立ちまくるポイント……どれをとっても興奮を隠しきれない。次曲では美しい旋律からパリッとレディオヘッド的な緊張感のあるトラックサウンドへと切り替わるその様に、しっかりとオルタナ心を揺さぶられてしまう。生ドラムと電子パッドが合わさった冷たいサウンドが最高にクール。ラストソングを奏でる際に、首を前に動かしながらリズムを刻む彼は常時真剣な面持ちであったが、時折フッと含み笑いをする。曲が終わり片手を軽く挙げて、再び会釈をして去っていく彼の姿にフロアの観客たちは必至で「Thank you!!!」「I love you!!!」とラブコールを叫び続けるのであった。

 

作品とはまた全然違ったベクトルで、かつライブでも同等(もしくはそれ以上)の価値を提供してくれるアーティストって音楽界だけに関わらず文化的な面で至高の存在だし本当の天才だと思う。I AM Robot And Proudに乾杯!

 

(Text:山田和季 Photo:fujimari)

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