【ボロフェスタ2015 Day1 / Underground stage】Seuss / Noise and milk / おやすみホログラム
■Seuss
時の人、いや時のバンドとして、立ち姿にも’10年代のカリスマ的風格が漂いはじめたSeuss。一目見ようと詰めかける黒山の人だかりに、地下ステージは早々と入場規制がかかってしまった。昨年のボロでのライブも盛況だったが、やはり当時とは段違いの注目度だ。関西を中心にノンストップでライブ活動を重ね、着実に人気を集めてきた彼ら。親交の深いSecond Royal周辺のアーティストの影響もあってか、かつての妖しいダークさには少し明るい脱力感が加わり、バンド全体から出てくる音のヴィンテージ感がぐっと前に出てきている印象。Vo./Gui.谷本悠馬の歌声は時に、かすれてつぶれそうな「枯れ」でオーディエンスを魅了する。ラストの一曲、アイコニックな”Wah-Wah”のリフでフロアが沸き立つと、それに応えるように吠え歌う谷本。こんな時ですら薄もやがかかっているようなスモーキーさこそ、Seussの持ち味。より深みを増した世界観に、集まったファンも呑まれるようにして楽しんでいた。
■Noise and Milk
活動休止を経て新体制でリスタートを決めたNoise and Milk。結成後ほどなくして話題が話題を呼び、ROCK IN JAPANフェスやCOUNTDOWN JAPANなど、各地の大きなステージを経験してきた彼らの新たな一歩は、やはり中途半端ではすまされなかった。密度高く塗り固められたバンドサウンドに、蒼さの残るVo./Gt.塩貝直也のボーカルが乗っかって、一曲目”Hey Lilly”を筆頭に、どの曲もとにかく疾走感にあふれている。ここは俺たちがもらった!と言わんばかりの求心力。さすが、ボロの中枢に出演を直談判しただけのことはある。それにしても、聴いていてこっちがはにかんでしまうような若さはどこから湧いてくるんだろう。ライブ中盤ではキャッチーなサビのメロディーが光る新曲も披露し、次への指針を示したところで、キラーチューン”Unfortunately”へたたみかけるジェットコースター的展開!王道のロックバンドながらアイドル性も垣間見えるパフォーマンスで、手狭な地下ステージがひとときスタジアムのように感じられた。
■おやすみホログラム
「こ、この曲は……!」トラックが鳴りはじめた瞬間、夏に開催されたボロフェスタのプレイベント「ナノボロフェスタ」で、Have a nice day!が呼び起こした狂宴の光景がフラッシュバックした。思えばKBSホールの正面を飾る看板にでかでかと記されたあの言葉、もしかして今年のボロのキャッチフレーズだったのでは。そう、”forever young”から怒濤のスタートを切ったおやホロことおやすみホログラムのステージ。出し惜しみすることなく一曲目からクラウドサーフする渋谷系ギャル、かなみるのワイルドさ、嫌いじゃないです。普段からスカムパーティ―に出入りしている彼女たち、そりゃ音楽的にもセンスが頭ひとつ抜け出ちゃうよね。原宿系ギャル八月ちゃんと並ぶとやっぱり居住まいはアイドルそのものなんだけど、トラックが玄人好みすぎ。そこにユレユレの歌が絶妙にハマってしまってて、これはこれでいいのかも!と半ば納得してしまう。”誰かの庭”といったバラード的立ち位置の楽曲を織り交ぜつつ、最後には”note”でフロアとステージが渾然一体に。音源からは想像もつかない、ライブならではの熱狂で場をかき回してくれた。
(Photo : 岡安いつ美)
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