COLUMN

書評企画『365日の書架』12月のテーマ:もっと読むのが好きになる

BOOKS 2020.12.08 Written By 堤 大樹

12月のテーマ:もっと読むのが好きになる

『365日の書架』は、関西の書店がおすすめする書籍を紹介する連載企画。ちょっとニッチな世界を紹介する本や、自分自身の人生を考えさせられる本まで、それぞれの店主おすすめの書籍をテーマに沿ってご紹介。

 

12月のテーマは「もっと読むのが好きになる」。年末、普段会わない方と会えるのに少し気分があがっていいですよね。でもそれ以上に私は浮ついた人や街の雰囲気を片目に、ゆっくりと家で読書をして過ごす時間が好きなのです。思い返せばその時、一年のことを振り返りつつ「読むこと」にも向き合っていたように思います。今月はそんなことをテーマにできればと感じました。

企画趣旨

皆さんは、自分の人生を変えた本に出会ったことはありますか?生き方の羅針盤になったり、毎日をちょっと素敵にしてくれたり、新しい価値観を教えてくれる力が書籍にはあります。そんな出会いを与えてくれる場所の一つが、個人の書店です。店主が独自の目利きで選書した書籍は、そのお店でしか出会えないものばかり。他では触れられない、様々な出会いに触れることができるでしょう。『365日の書架』は、関西の書店がおすすめする書籍を紹介する連載企画。参加店舗はON THE BOOKS、只本屋、とほん、マヤルカ古書店の4店舗です。ちょっとニッチな世界を紹介する本や、自分自身の人生を考えさせられる本まで、唯一無二のセンスを持つ店主おすすめの書籍を、テーマに添って紹介していきます。

ON THE BOOKSが選ぶ今月の1冊

ポートレイト・イン・ジャズ

著者:和田誠(文)/ 村上春樹(文)

出版:新潮社

発行:1997年

 

スウィングする村上春樹のエッセイ、ソウルフルな和田誠のイラスト、どのページを開いても、そこからは極上のジャズが聴こえてきます。[本を開く]だけの簡単な行為で、頭の中は想像を繰り広げ、いつの間にかあなたの体はオフビートのリズムを刻んでいるでしょう。次へ次へとページをめくるうちに、気分はどんどん上昇していきます。思わずあの名曲を口ずさんでしまうかもしれません。でもあまりにも気分が良いからって目を閉じたらダメですよ。だって本を読むことが出来なくなってしまいますから。

 

購入方法:こちらの通販サイトからお買い上げいただけます。

ON THE BOOKS

アートブックやサブカルチャーなどの古本/古書、アジア買い付けのキッチュな雑貨、ここでしか買えない作家グッズなど、ドキドキワクワクがいっぱいつまったお店です。旧大阪府庁舎を改修した大阪府立江之子島文化芸術創造センターにて営業中。

住所

〒550-0006 大阪府大阪市西区江之子島2-1-34大阪府立江之子島文化芸術創造センター B1

営業時間

11時~20時(月曜定休)

Webサイト

https://on-the-books.info/wp/

オンラインストア

https://on-the-books.info/wp/

只本屋が選ぶ今月の1冊

花椿

出版:資生堂

発行:1937年 –

 

今となっては、なんでもフリーペーパーを読むようになったけど、只本屋を始める前はそんなでもなかった。普通にいいなーと思えばもらうし、いらないなーと思えば捨ててしまう。フリーペーパーというのはそういう本でもあるのだ。そんな一期一会なフリーペーパーの世界でただただ輝き続けているフリーペーパーがある。いつの時代もかっこいい。影響を与え続けていて、もはやキングオブキングと言っても過言ではない絶対に裏切らないフリーペーパーがある。それは誰もが知っている資生堂のフリーペーパー『花椿』だ。あれば手に取りたくなる。本棚に表紙を見せて置いておきたい。捨てずにとっておきたい。発刊したら手に入れたい。そして何度も読み返したくなる。そういうフリーペーパーはなかなかないのだよ。入り口にしてゴールかもしれないが、ここを皮切りにしてフリーペーパーの世界に入っていく人もいるのかもしれない。一度はWeb版のみになるなんてニュースも流れたが、ファンの声も大きかったんだと思う。冊子としても生き残った。そんなエピソードもいいんだよな。京都は手に入れられる場所が少なくて、実は只本屋では手に入らないのです。配下場所はWebに掲載されているので、Web版とあわせて読んでみてください。きっとあなたも好きになるはず。

 

公式Webサイト:https://hanatsubaki.shiseido.com/jp/

只本屋

只本屋は、毎月末の土日だけ清水寺のお膝元・東山五条にあらわれるフリーペーパー専門店です。全国各地の魅力溢れるフリーペーパーを取り揃えています。また、本屋としての機能だけでなく、クリエイティブに関心を持つ人々と交流できるなど、カルチャースペースとしても注目されています。

住所

〒605-0871
京都府京都市東山区慈法院庵町594−1

営業時間

毎月末の土・日
※時間帯は月によって変わります。 詳しくは只本屋公式ツイッターをご確認ください。

Webサイト

https://tadahon-ya.com/about/

オンラインストア

https://tadahonya.thebase.in/

とほんが選ぶ今月の1冊

関西文系散歩 休日は本屋ときどき美術館&博物館

出版:京阪神エルマガジン社

発行:2020年

 

ふと、知らない本に出会いたくなる時がある。今自分が持っている本とは違う本を読みたい。そんな時に「関西文系散歩」を開きたい。関西の個性的な本屋さん50店の紹介を中心にした文系のための町歩きガイドブック。この本があれば、その時の気分に合わせた本屋さんに気軽に足を運ぶことができる。一緒に立ち寄れる飲食店も載っているのでお腹が空いても安心だ。

 

知らない町の行ったことのない本屋を訪れて、今まさに読みたいと思える本を買う。そうして家に帰り、買った本を眺めて、眠くなるまで本を読む。読むことの楽しさに浸り、読むことがもっと好きになる。

 

こうして気軽に出かけることのできる日常が1日でもはやく戻ることを願っている。その日のために「関西文系散歩」を手元に置いておきたいと思う。

 

購入方法:こちらの通販サイトからお買い上げいただけます。

とほん

奈良県大和郡山市にある8坪ほどの本屋です。新刊本を中心に雑貨も少し置いています。大切に持っていたくなる本、長く読み続けたくなる本、読んで良かったと思える本、そんな本を販売しております。店名の「とほん」は「人とほん」「町とほん」など、いろいろなものごとに「と、ほん」と繋がっていけたらと思いから。

住所

〒639-1134 奈良県大和郡山市柳4-28

営業時間

11時〜17時(木曜定休)

Webサイト

https://www.to-hon.com/

オンラインストア

https://tohon.shop-pro.jp/

マヤルカ古書店が選ぶ今月の1冊

本を抱えて会いにいく

著者:橋本亮二

出版:十七時退勤社

発行:2020年

 

出版社の営業として日々書店めぐりをする著者による2020年の記録。表紙にあるような、本がぱんぱんに詰まったトートバッグを持って書店から書店へと文字通り走り回る毎日は、忙しく楽しそうで、静かだ。本を読み、書店員と本の話をして、日記を書く。新型コロナウイルスによってがらりと変わり、誰もが心細さや不安を感じている日々も、そんな日常を淡々と送ることで著者はしっかりと足元を踏みしめようとしているようでもある。飾らず、実直な文章が本を読む幸せを再確認させてくれるような心強い一冊だ。

 

購入方法:こちらの通販サイトからお買い上げいただけます。

マヤルカ古書店

2013年オープン、三年前に西陣から一乗寺に移転しました。 古書の取り扱いジャンルは、文学、文化、アート、絵本、食と暮らし、自然、民藝。 毎日のささやかなシーンにすっとよりそい、手のひらでそっと包みたくなるような本を。店舗2階では、新刊の販売とさまざまな催しをしています。

住所

〒606-8187 京都市左京区一乗寺大原田町23-12

営業時間

11~18時(火曜・金曜定休)

Webサイト

http://mayaruka.com/

オンラインストア

https://mayaruka.stores.jp/

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