INTERVIEW

【くるり / ファンファン】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!3rd mini album『素晴らしい時間』リリース・スペシャルインタビュー

MUSIC 2018.07.05 Written By 堤 大樹

写真提供:ファンファン

星の数ほどバンドがいる今の世の中で、”至宝”と呼ばれるに見合ったバンドがどれほどいるだろうか?2004年より活動を続けてきたスーパーノアは、間違いなく”京都の至宝”の名に恥じない輝きを持ったバンドだ。ここまでマイペースに活動を続けてきた彼らが、昨年度のフルアルバム『Time』に引き続き、3rd mini album『素晴らしい時間』のリリースを発表。

 

名だたるミュージシャンからの評価も高い彼ら、ファン以上に心を掴むのが難しい、耳の肥えたミュージシャンたちはスーパーノアのどこに魅力を感じ、愛しているのか?新譜と一緒にそんな彼らの魅力を掘り下げます!

インタビュアー:堤大樹

スーパーノアを見ていると「羨ましい」って気持ちになる

──

早速なんですが、スーパーノアとファンファンさんの出会いから教えていただいてもよいですか?

ファンファン

私、大学が同志社女子大学だったんですけど、知ったのはその時です。メンバーがみんな私と同い年なのかな?スーパーノアは同志社のS.M.M.Aっていうサークル出身で、私はLOVE&FREEってサークルだったんです。関わりはなかったんですが、その時から名前は知っていました。

──

では知られてから随分と長いんですね!

ファンファン

知ったのは早いんですけど、実はライブをはじめて見たのは4,5年前と結構最近で……(笑)。友達に誘われてnanoにライブを見に行ったんですけど、その時すごくいいライブをしていて好きになりました。個人的にここまで入れ込むバンドって多くないんですけど、不思議と好きでい続けている数少ないバンドです。

──

その時スーパーノアのライブを見て、どんな印象でしたか?

ファンファン

最初は大学のサークルのイメージがあったから、すごくスマートな人たちなのかなって印象だったんですよ。でもライブを見たらそうでもなくて、一番感じたのはバンド力みたいな部分。集まって出している音がかっこいいなって。音圧って言うんですか?本当にいつライブを見ても結束力がすごい。普段別のバンドを見ていても「いいライブだな」とか「上手だな」と感じることはあっても、あまりそれを感じることは少ないんですけどね。

──

メンバーは他のバンドやアーティストのサポートもしているし、Vo/Gtの井戸さんは自身のソロ・プロジェクトもやっていらっしゃいますし、みんな多彩で、技術力の高いバンドですよね。でもそれ以上にバンドとしての結束力が高いというのはわかる気がします。

ファンファン

ずっと同じ人たちと続けていても、バラバラに感じる日って絶対あるはずなんですよね。気持ちの問題だったり、その日の体調の影響だったり

──

普段レベルの高いミュージシャンと数多く接しているファンファンさんが言うと、説得力がありますね。その他に、彼らに対して感じることはなにかありますか?

ファンファン

実は、スーパーノアを見ていると羨ましいって気持ちが強くて(笑)

──

それは何故ですか?

ファンファン

同い年のメンバーで大学の時からずっと一緒にバンドをやっているからですかね。私も昔、同い年の子たちとバンドを組んでいたけど、彼らのようにそんなに長く活動できなかったんですよ。なので素直に、いいなぁって思います。

──

そういった部分が先程ファンファンさんがおっしゃっていた、バンドの結束力になって良いグルーヴを生んでいるのかもしれないですね。

ファンファン

そうですね。あと不思議なのはスーパーノアを聴くと、私、練習がしたくなるんですよね。普段自分ではなかなか曲を作らないんですけど、作ってみたり、曲を聴いたあとはそんな気持ちになります。そう言えば、私はトランペッターなので、練習をする時スタジオを取ることが多いんですけど、スーパーノアの曲を流しながらトランペットでコピーしてますよ。

──

いいですね!それ同じステージで見てみたいです。

ファンファン

ぜひやってみたいですね!機会があれば本当にぜひ。

今回のアルバムは、前作にくらべて優しくなったと思います

──

ファンファンさんは3rd mini album『素晴らしい時間』は聴かれましたか?

ファンファン

はい、聴きました!というか実はstudio SIMPOに遊びに行った時にちょうどレコーディングしていたんですよね。だから細かいアレンジの違いとか、そういう部分も感じられて聴いていて面白かったです。

──

遊びに行かれたんですね。そう言えば今回スーパーノアがレコーディングしたstudio SIMPOはくるりとの縁のあるスタジオですね。その時どの曲のレコーディングをされていたんですか?

ファンファン

その時はM04の”井戸とバイバイした”のレコーディングをしていたのが記憶に残っています。子供の声をサンプリングしている曲なんですけど、Vo/Gtの井戸君がすごくニヤニヤしながらそれを聴いていて。それを見て改めて「すごく遊びココロがある人たちだな」、と思いました。

──

今作は前作以上に遊びココロが強い印象ですよね。

ファンファン

スーパーノアはどのアルバムもそうなんですけど、音の作り方がすごく工夫されていて、「この音どうやって出してるんだろう」っていつも思っちゃいます。それこそ今回のアルバムでも”井戸とバイバイした”は音が印象的ですよね。

──

ちなみにアルバムの中でファンファンさんのお気に入りの曲があれば教えていただけますか?

ファンファン

一番好きなのはM6”なつかしい気持ち”。タイトル通り、あの日のあの時の気持ちや考えていたことを、引き出すきっかけをくれるような曲です。そして懐かしむと同時に、今や未来を想う余地をくれる、想像させてくれる気がするんですよね。そんな言葉たちが爽やかな曲調に乗って歌になっている!この夏何度も聞きたくなりそうです。

──

アルバム全体の印象についてもお伺いしたいと思っています。前作からの違いはどのような部分に感じられましたか?

ファンファン

前作に比べて、なんか優しくなったんですよね。

──

優しくなった?

ファンファン

思いやりがあるって言うと、これまで思いやりがなかったように聞こえますかね?(笑)。かゆいところに手がとどくというか、言葉にするのが難しいんですけど、そういったニュアンスが一番近いです。自分がなんとなく思っているけど、スーパーノアはあまり普段気にしていないようなことに、気が付かせてくれる人たちだと思っていて。自分の気持ちを代弁してホッとさせてくれるような、そんな側面が増している印象です。

──

他に似ている印象のアーティストはいらっしゃいますか?

ファンファン

それこそくるりの岸田さんと一緒にやっていても、同じことを感じることがありますね。日常で自分がもやもやと考えていることに、あらためて触れようと思うきっかけをもらったりします。歌詞自体は「その時見えていたもの」みたいな言葉の断片なんですが、自分の中にこんな感情があったんだ!とか、何年も忘れてたことを急に思い出させてくれたり。自分に寄り添ってくれるというよりは、発見させてくれるという感じですかね。そういったヒントのようなものは、いつもたくさんもらっています。

──

ファンファンさんは歌詞に注目されているんですね。

ファンファン

そうですね、歌詞聴いてるみたいですね、私。くるり以外はあまり歌詞って気にして聴いていないんですけどね。普段はイントロの出だしがかっこよかったら聴くみたいな感じで、音楽探してますから。でも井戸くんの歌詞はブックレットで読んでみたくなります。

──

ちなみに、3rd mini albumの中で心に残っている歌詞はありますか?

ファンファン

“なつかしい気持ち”を聴いてて、

 

「いつでも 手を放せるものが 捨てられるものが たぶん 多過ぎる」

 

ここになるといつも、「井戸くん何のこと言ってるのかな〜、自分だったら何かな〜、家族と友だちとバンドと楽器は今んとこ絶対必要だな〜、ていうか最近断捨離してないから家にもの増えてきたな〜、ていうか最近便利グッズ多すぎ!代用できないものが多い!もっと生活の知恵を身に付けたいな〜、ほんと、便利な世の中になったよ!」などと色々考えさせてもらってます。

 

あと、M03″たまたま”の「たまたま キャッチュ」キャッチュて!可愛すぎ!と思います(笑)

──

最後に今回のスーパーノアのアルバム、どんな人に聴いて欲しいか教えていただけますか?

ファンファン

どんな方にもおすすめしたいです!期末テストが終わった学生さんにも、仕事帰りの社会人の方にも、もちろんバンドマンさんにも。個人的には喫茶店のラジオから、彼らの曲が流れてきたら嬉しいなぁ。ちなみにうちの息子も聴いてます。M02″Let down”のイントロでいつも笑っています!

──

ありがとうございました!

スーパーノアへの愛を語った、その他のアーティスト

ベランダ
モーモールルギャバン / ゲイリー・ビッチェ

くるり

 

 

1996年9月頃、立命館大学(京都市北区)の音楽サークル「ロック・コミューン」にて結成。古今東西さまざまな音楽に影響されながら、旅を続けるロックバンド。

 

公式HP:http://www.quruli.net/

スーパーノア

 

 

(L to R)岩橋真平(Bass)井戸健人(Guitar.Vocal)岡村寛子(Keyboards)赤井裕(Guitar)

 

2004年結成。京都を中心に活動開始。全国各地にてライブ活動を精力的に行い、2009年にcolla disc/M.D.L!より1stミニアルバム「雨の惑星、ステレオの向こう」をリリース。千原兄弟のコントライブ「ラブ」に楽曲が全面的に使用されるなど、好評を得る。2010年に5曲入りEP「circle」を発表し、前作共に完売。2011年にシングル「リリーと穴」、2013年にシングル「C」をリリース。2014年にはサポートメンバーであった岡村寛子(Keyboards)が正式メンバーに加入。またサポートメンバーに石渡新平(Drums)を迎え、楽曲制作に向けて注力する中、2016年にSIMPO RECORDSよりシングル「ドリームシアター」を発表。2017年、同レーベルより待望の初のフルアルバムリリース。

 

公式HP:http://supernoah.net/

 

スーパーノア 3rd mini album『素晴らしい時間』

 

 

1.ミラーボール
2.Let down
3.たまたま
4.井戸とバイバイした
5.Au revoir
6.なつかしい気持ち

 

2018.7.8 release
SMPR-010 / ¥1,500(without tax)
Label:SIMPO RECORDS

 

WRITER

RECENT POST

REPORT
【SXSW2023】移りゆくアジアの重心と、裏庭に集う名もなき音楽ラバーたち
REPORT
【SXSW2022】地元に根津いたバカ騒ぎの種火たち、3年ぶりのオースティン探訪
INTERVIEW
あの頃、部室で – 夜音車・頓宮敦がDo It Togetherにつくりあげた果実と、その界隈
INTERVIEW
25万人集まる海外フェスも、30人規模の地元のハコもやることは同じ 手探りで進み続ける、おとぼけビ~…
INTERVIEW
失われた「ジャンク」を求めて – WHOOPEE’Sというハコと、GATTACA / GROWLYの…
INTERVIEW
土龍さん、この10年どうやった? 最小で最愛な私たちのライブハウス、nanoの旅路
COLUMN
未来は僕らの手の中(か?)|テーマで読み解く現代の歌詞
INTERVIEW
“エゴ”だけじゃ形にならない。『フリースタイルな僧侶たち』初代・三代目の編集…
COLUMN
書評企画『365日の書架』4月のテーマ:はなればなれになって
COLUMN
書評企画『365日の書架』3月のテーマ:ここじゃない場所に生まれて
COLUMN
書評企画『365日の書架』1月のテーマ:時間が経つのも忘れて
INTERVIEW
バランスのいい選択肢が無い!!多様な価値観の都市で育った〈汽水空港〉店主・モリテツヤさんが人生の選択…
COLUMN
書評企画『365日の書架』12月のテーマ:もっと読むのが好きになる
COLUMN
【東日本編】ライブハウス・クラブでの思い出のエピソード
COLUMN
【西日本編】ライブハウス・クラブでの思い出のエピソード
COLUMN
【Dig! Dug! Asia!】Vol.1:Stars and Rabbit
INTERVIEW
自分たちで責任を取り続けられる企業であるために。FREITAGの創業者Markus Freitag来…
INTERVIEW
台湾インディーシーンの最前線を走り続けるSKIP SKIP BEN BENこと林以樂、初の本名名義と…
COLUMN
【2019年10月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年09月】今、大阪のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年08月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
制作もライブも自然体で。京都のシンガーソングライターいちやなぎインタビュー
COLUMN
【2019年07月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年06月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年05月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年04月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年03月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年02月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2019年01月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年12月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年11月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年10月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年9月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REVIEW
Homecomings – Songbirds
INTERVIEW
ボロフェスタ主催のひとり飯田仁一郎に聞く、ナノボロフェスタでトークイベントを行う理由
INTERVIEW
出町座
INTERVIEW
【モーモールルギャバン / ゲイリー・ビッチェ】好きで好きでたまらない!スーパーノアは俺に語らせて!…
COLUMN
【2018年7月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年6月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REVIEW
Siamese Dream – The Smashing Pumpkins
REVIEW
MISS YOU – ナードマグネット
COLUMN
【2018年5月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
INTERVIEW
「自分たちが面白いことが一番面白い」この二年間の活動の変化を、踊る!ディスコ室町Vo.ミキクワカドに…
COLUMN
【2018年4月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
【SXSW2018】国別に見る、良かったアーティストまとめ
REPORT
【SXSW2018】世界のミュージックフリークスに聞いた、今年のおすすめ出演者
REPORT
【SXSW2018】日本のミュージシャンの世界への接近と、各国のショーケース
COLUMN
ki-ft×アンテナ共同ディスクレビュー企画『3×3 DISCS』
REVIEW
Man Of The Woods – Justin Timberlake
COLUMN
【2018年3月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【2018年2月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
ライブハウス店長・ブッカーが振り返る、2017年ベストアクト
COLUMN
HOLIDAY! RECORDS / 植野秀章が選ぶ、2017年ベストディスク10
COLUMN
【2017年12月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
【月一更新・まとめ】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
REPORT
映画『MOTHER FUCKER』京都みなみ会館 特別先行上映レポート
COLUMN
【2017年10月】今、ライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ③広島東洋カープ編-
INTERVIEW
【特別企画】ミュージシャン、好きな映画を語る – バレーボウイズ・本日休演・踊る!ディス…
REPORT
【SXSW2017】vol.0 まとめ
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ②音楽編-
REPORT
終わらない孤独な旅で見つけた、彼女の”光”とは?Laura Gibson ジ…
COLUMN
俺の人生、三種の神器 -堤大樹 ①初めてのひとり旅編-
REPORT
the coopeez 『キネマBANPAKU』 @ みなみ会館 2016.05.21
SPOT
朧八瑞雲堂
SPOT
吉靴房
SPOT
BOLTS HARDWARE STORE
REPORT
ナードマグネット – 怒りのデス・ワンマン@天王寺Fireloop 2015.12.20
INTERVIEW
CARD×椎木彩子の関係について:後編
INTERVIEW
CARD×椎木彩子の関係について【前編】
INTERVIEW
鈴木実貴子ズは何故ライブバー&鑪ら場を始めたのか?
REPORT
斑斑(skip skip ben ben) “台湾から来た二人” @公○食堂 2014.11.01
REPORT
スキマ産業vol.39 @ 木屋町UrBANGUILD ライブレポート
REPORT
the coopeez newbalance tour @京都MOJO ライブレポート

LATEST POSTS

COLUMN
【2024年4月】今、京都のライブハウス店長・ブッカーが注目しているアーティスト

「現在の京都のインディーシーンってどんな感じ?」「かっこいいバンドはいるの?」「今」の京都の音楽シー…

REVIEW
「キテレツで王様になる」SuperBack『Pwave』のキュートなダンディズムに震撼せよ

2017年に結成、京都に現れた異形の二人組ニューウェーブ・ダンスバンドSuperBack。1st ア…

REPORT
台湾インディーバンド3組に聞く、オリジナリティの育み方『浮現祭 Emerge Fest 2024』レポート(後編)

2019年から台湾・台中市で開催され、今年5回目を迎えた『浮現祭 Emerge Fest』。本稿では…

REPORT
観音廟の真向かいで最先端のジャズを。音楽と台中の生活が肩を寄せ合う『浮現祭 Emerge Fest 2024』レポート(前編)

2019年から台湾・台中市で開催され、今年5回目を迎えた『浮現祭 Emerge Fest』。イベント…

INTERVIEW
2024年台湾音楽シーンを揺らす、ローカルフェスとその原動力―『浮現祭 Emerge Fest』主催者・老諾さんインタビュー

2024年2月24,25日の土日に、台中〈清水鰲峰山運動公園〉で音楽フェス『浮現祭 Emerge F…