書評企画『365日の書架』3月のテーマ:ここじゃない場所に生まれて
『365日の書架』は、関西の書店がテーマに沿っておすすめの書籍を紹介する連載企画。誰かに勧められないと手に取る機会のない分野やジャンルの本もたくさんあるはず。ぜひ新しい本との出会いに。3月のテーマは「ここじゃない場所に生まれて」。
3月のテーマ:ここじゃない場所に生まれて
旅をしているとふと、「ここじゃない場所に生まれていたとしたらどんな人生を歩んでいただろうか」と想像することがある。
そう考えてしまうのは、違いに目がいき、当たり前が当たり前じゃなかったことに気がつくから。こうした体験は自分とは違う背景を持った世界があることを思い出すいい機会になる。
今月はそんな自分とは違う人生に想いを巡らせる一冊の紹介。
企画趣旨
皆さんは、自分の人生を変えた本に出会ったことはありますか?生き方の羅針盤になったり、毎日をちょっと素敵にしてくれたり、新しい価値観を教えてくれる力が書籍にはあります。そんな出会いを与えてくれる場所の一つが、個人の書店です。店主が独自の目利きで選書した書籍は、そのお店でしか出会えないものばかり。他では触れられない、様々な出会いに触れることができるでしょう。『365日の書架』は、関西の書店がおすすめする書籍を紹介する連載企画。参加店舗はON THE BOOKS、只本屋、マヤルカ古書店の3店舗です。ちょっとニッチな世界を紹介する本や、自分自身の人生を考えさせられる本まで、唯一無二のセンスを持つ店主おすすめの書籍を、テーマに添って紹介していきます。
ON THE BOOKSが選ぶ今月の1冊
BEST 13 of ゴルゴ13
出版:小学館
発行:2003年
スナイパーという生き方。憧れます。人を殺すことに憧れているわけではありません。無理難題の任務に、命をかけて完璧な仕事をする、そのタフでストイックな生き様に。いや、もちろん今の仕事には命をかけてます。が、やはりスナイパーと古本屋とでは仕事に対する覚悟が全然違いますからね。任務中はどれほどのプレッシャーなんでしょう?選択のミスは許されない、時には私情をなくさなければならない、背後に立たれてはいけない、などなど。ん~やっぱり僕には無理だな。レジは打ち間違えるし、私情で本の買取金額をUPするし、本棚の整理でお客さんに背中を向けてるし。ゴルゴを読んでピリピリとした緊張感を味わってるぐらいがちょうどいいのかな。
購入方法:こちらの通販サイトからお買い上げいただけます。
ON THE BOOKS
アートブックやサブカルチャーなどの古本/古書、アジア買い付けのキッチュな雑貨、ここでしか買えない作家グッズなど、ドキドキワクワクがいっぱいつまったお店です。旧大阪府庁舎を改修した大阪府立江之子島文化芸術創造センターにて営業中。
住所 | 〒550-0006 大阪府大阪市西区江之子島2-1-34大阪府立江之子島文化芸術創造センター B1 |
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営業時間 | 11時~20時(月曜定休) |
Webサイト | |
オンラインストア |
只本屋が選ぶ今月の1冊
おっちゃんとおばちゃん
発行:2015年 –
この一年くらいは新型コロナウイルスの影響もあって、どこにもいけない日々を過ごしてきた。だから、ライフスタイルについて改めて考える機会が結構あったように思う。今はこうだけど、あーだったらとか、こうできたなとかとか。そういう今この場所ではない何か違った人生とか、そういうものについて考えたりする。旅行したり場所を変えるということもあるが、仕事を変えてみると見える世界が変わるということもあるように思う。
フリーペーパーの『おっちゃんとおばちゃん』は、仕事について考えるフリーマガジン&ウェブサイトで、2015年に創刊。”給料や待遇だけではない。年齢を重ねても仕事が楽しいかどうか”という目線で、若者と、求人会社の接点を作っている。記事の中身はインタビューがたくさんあるのだが、何をして生きていくのか、どうやって生きていくのかはみんなが考えている関心ごとで、そういうことを改めて考えさせてくれる媒体です。
公式Webサイト:https://occhan-obachan.com/
配布場所:
onlyfreepaper、只本屋、はっちなど全国のフリーペーパー専門店で手に入れることができます。
只本屋
只本屋は、毎月末の土日だけ清水寺のお膝元・東山五条にあらわれるフリーペーパー専門店です。全国各地の魅力溢れるフリーペーパーを取り揃えています。また、本屋としての機能だけでなく、クリエイティブに関心を持つ人々と交流できるなど、カルチャースペースとしても注目されています。
住所 | 〒605-0871 |
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営業時間 | 毎月末の土・日 |
Webサイト | |
オンラインストア |
マヤルカ古書店が選ぶ今月の1冊
アストリッドとピッピがおしえてくれたこと
著者:さわひろあや・文 / つきぞえなお・絵
発行:2020年11月24日
今も世界中で愛される『長くつ下のピッピ』の著者として知られるスウェーデン生まれの作家、アストリッド・リンドグレーン。彼女の作り出した物語の世界は、子どもだけでなく、かつて子どもだった大人、そしてピッピのような自分らしい生き方に憧れるすべての一を魅了します。
そんなアストリッドの人生とピッピの生まれた背景、出版後のエピソードに迫ったこちらの一冊は、北欧はデンマークに暮らす著者のさわひろあやさんがアストリッドの足跡を身近に感じ、図書館司書として働くなかで北欧の人々と接しながら知ったこと、考えたこと、感じたことをまとめたZINE。
10代で子どもを妊娠し、子育てと創作活動とで試行錯誤を続け、どんなときでも書くことを諦めずに力強い物語を生み出し続けた波乱万丈なアストリッドの人生は、現代の日本の生きる私たちにとっても心強く、多くのことを教えてくれます。日本語未訳の資料も多く参照されているので、すでにアストリッドの自伝などをという方にもおすすめ。
購入方法:こちらの通販サイトからお買い上げいただけます。
マヤルカ古書店
2013年オープン、三年前に西陣から一乗寺に移転しました。 古書の取り扱いジャンルは、文学、文化、アート、絵本、食と暮らし、自然、民藝。 毎日のささやかなシーンにすっとよりそい、手のひらでそっと包みたくなるような本を。店舗2階では、新刊の販売とさまざまな催しをしています。
住所 | 〒606-8187 京都市左京区一乗寺大原田町23-12 |
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営業時間 | 11~18時(火曜・金曜定休) |
Webサイト | |
オンラインストア |
WRITER
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26歳で自我が芽生え、とうとう10歳に。「関西にこんなメディアがあればいいのに」でANTENNAをスタート。2021年からはPORTLA/OUT OF SIGHT!!!の編集長を務める。最近ようやく自分が持てる荷物の量を自覚した。自身のバンドAmia CalvaではGt/Voを担当。
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