マドナシ(キツネの嫁入り)@ 京都GROWLY
マドナシ(キツネの嫁入り)-広島オルタナティブツアー御一行様ご来店~え?埼玉からも!?~- @京都GROWLY 2014.10.04
普段はキツネの嫁入りというバンドで活動しているギターボーカリスト・マドナシのソロ公演。この人がギターを持って黒い衣装に身を包みステージに立つ、それだけでなぜこんなに絵になるのだろう。私は少し背中を伸ばしてマドナシの演奏を待った。
すると彼は突然「ボーダーの人多いですね」と言ってボーダーの歌という歌を歌い出した。会場には戸惑いと笑いが入り交じり、和やかな雰囲気の中で今日のマドナシの公演はスタートした。そんな雰囲気を壊すかのように続けて「俯瞰せよ、月曜日」を歌い出した。マドナシの歌を聞いてその言葉の力強さに惹き付けられない人はいないのではないかと思う。言葉を伝える人、受け止める人。「言葉はいつも足りないから」と歌う彼の言の葉をフロアは受け止めようとしていた。
その言の葉たちにはやけに説得力がある。ギターと言葉。こんなありふれたセットなのにどんどんと言葉の雨に晒されてゆく。私はマドナシという人間をよく知っているわけではないがきっと悩み、迷い、これで正しいのかと自問自答を、繰り返しながら泥臭く、自分に正直に生きてきたのだろう。そんな気がする。
曲中の緊張感とは対照的な冗談まじりのMC(最近はピラニア映画がおすすめだそうな)を挟みながらライブは終盤へ向かってゆく。最後の曲は“死にたくない”。明けたと思ったら暗くなり、越えたと思ったらまた次の不安がある。そんな毎日だが死にたくない。いやもっと強く思ったことがある。生きてゆきたい。私は彼の発した言葉たちを集めて自分の中に閉まっておくことにした。
(photo:高石瑞希)
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