ボロフェスタ2014 大前夜祭-10m stage編- ライブレポート
SKA FREAKS
ボロフェスタ0日目となる大前夜祭。祭りの幕開けという大役を任されたのはSKA FREAKSだ。スカパンクの先駆けとなるOperation IvyやSkankin’ Pickleのマインドをしっかりと引き継ぎ、90年代の日本語メロディックコアパンクへも敬意を示すその姿勢は、昨今流行りの単なる4つ打ちスカパンクバンドと一線を画している。スカパンクの正式継承者の騎手は彼らであると断言したい。身体がうずいて踊り出したくなるスカパンクチューン“Carry Out”や、メロウで夕暮れの波打ち際を思わせるような“Every Rain”などを次々と披露し、フロアにはサークルモッシュやスカダンスしまくるオーディエンスが続出。彼ららしいハイテンションのパフォーマンスでしっかりと会場を温め、今年のボロフェスタのエンジンを全開にした最高のステージであった。(text:岡安いつ美)
SEBASTIAN X
はっとするような黄色のミニスカート丈のドレスを身にまとってステージに現れたのはVo.永原真夏だ。まるで妖精のようにひらりと飛び跳ねて歌う彼女にまず視線を釘付けにされる。そして軽やかに弾むピアノの音色と伸びやかな歌声がホール中に響き渡り、一気に会場にはハッピーなムードが充満した。つい先日メジャーデビューを果たした彼らはその自信を輝きに変え、いつも以上に堂々とステージに立っていたのがとても印象的だ。この日のセットリストは“スーダラ節”、メジャーデビュー曲“イェーイ”、“GO BACK TO MONSTER”などキラーチューン揃い。さらに京都ということで“さようなら、京都の人”も演奏され会場は沸き立った。メジャーデビューし今まで以上にパワーアップした『新・SEBASTIAN X』のお披露目のような展開に心が躍る。非の打ち所のない完璧なライブを見せつけてくれた彼女たちは、常に前を向き、歩みを止めることなく突き進んでいる。ハングリー精神を忘れずに突き進む彼女たちが日本中にその名を轟かせる日はすぐそこだ。(text:岡安いつ美)
SEAGULL SCREAMING KISS HER KISS HER
ついにレジェンドがボロフェスタの舞台に降臨した。90年代にBuffalo DaughterやCIBO MATTOらと共にシーンを沸かせ、国内外の若者たちの間で高い人気を誇ったシーガルことSeagull Screaming Kiss Her Kiss Her。今年新体制で再始動した彼らは前日の下北沢GARDENに続いて連日のライブだったが、ほぼノンストップで計10曲を演奏するパワフルなパフォーマンスを見せた。オリジナルメンバーである日暮愛葉がシルバーのタイトミニに真っ赤なリップで武装して現れると、会場全体が大きな興奮に包まれた。くるくると表情を変える彼女からは一瞬たりとも目が離せない。ファンにはお馴染みの”No Telephone”では天に中指突き立てるやんちゃぶりを見せ、凶暴なシャウトでオーディエンスを煽ったかと思いきや、ラストの“Seventeen”ではひっそりとコケティッシュな歌でいともたやすく全員の心をさらっていった。ドキドキが止まらないこちらを尻目にさらりと投げキッスをしてステージを後にする日暮。天性のライオットガールの去り際はどこまでもチャーミングなのだった。(text:高石瑞希)
tricot
京都、いや日本の今を代表するバンドとして世界中でパフォーマンスしその実績を確かなものにしてきている激情ポストロック・ガールズバンドtricot。本番前のリハーサルからすでに大盛り上がりのホールを見れば一目で彼女たちの人気の高さが伝わってくる。静謐な空気のなか、”おやすみ”のイントロがガツンと響く。変拍子のトリッキーな楽曲を統べる強力な歌の引力に、こちらまで飲み込まれそうになる。”おちゃんせんすぅす”で訪れた数秒の静寂には思わず鳥肌が立った。会場全体の意識の焦点がその美しい余白に集まり、ここぞというタイミングで再び爆発的な音が降ってくる。tricotの休符は何よりのスパイスだ。
Cho./Gui.キダ・モティフォの「今日はもう、とっちらかしてもいいですか!?」にすかさず応戦するオーディエンス、そしてその宣言は忘れられないかたちで果たされる。ラスト2曲で隣の9mステージへと駆け上がるキダ、「照明さーん!仕事増やしてごめんなさーい!!」と叫んだところで10mステージの壮麗なステンドグラスが開帳。Vo./Gt.中嶋イッキュウがcenterへ飛び移り、Ba.ヒロミ・ヒロヒロもフロアで大暴れ。視覚的にも聴覚的にも多次元の光景が広がるなか、狂宴はひとたびお開き。アンコールでは中嶋の「伝えたい人がいるんでやらしてもらいます」という言葉とともに、バラード”after school”で劇的に大前夜祭を締めくくった。(text:高石瑞希)
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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