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【ボロフェスタ2015 Day2 / 2nd stage】Amia Calva / NATURE DANGER GANG / 水曜日のカンパネラ

Amia Calva

いよいよボロフェスタ最終日も後半戦。登場したのはこの日久しぶりにライブのステージに上がったAmia Calva。僕は彼らが帰ってくるのをとても楽しみにしていた。でもそんなに久しぶりという感じもせずにライブに臨めたのは彼らの立ち居振る舞いにあったのではないかと思う。1stステージでは直前にOGRE YOU ASSHOLEが圧巻のステージを見せていたが、音出しから物怖じすることなく久しぶりのライブを単純に楽しみにしている4人の姿があった。

 

1曲目”retro”の演奏が始まるとじりじりと前にお客さんが詰め寄ってくる。これは以前から演奏されている曲だが、以前よりも毒素が抜けた感じがある。音圧は上がっているのにもかかわらず、幾分すっきりとした印象だ。ライブのなかった半年の間に確実に音楽的パンプアップがなされている。その音圧に負けじとVo./Gt.の堤サバヲの声が高らかに響きわたる。続いて2曲目”潮騒”では二人のギターのアルペジオが交錯し合い、リズム隊の重低音がぐいぐいと迫ってくる。心地よいリズムの中でまた歌が響き渡り、その歌に共鳴するように4人のアンサンブルの勢いが増してくる。2曲目が終わるとMCで堤が「退屈な日々を塗り替えたい」という想いとボロフェスタについての感謝を述べる。

 

時間が進んでいくごとにだんだんとフロアの人数が増え、じりじりとステージの方へ吸い寄せられていく。これがフェスのマジック、バンドのマジックである。今僕は目の前でそれを見せつけられている。そしてMCが終わると3曲目”悪い人”へ。この潜伏期間中にできた新曲である。今まではオルタナ色の中に時折見せるいい意味での奇妙なポップ感が印象的なバンドだったが、この新曲にはその奇妙なポップ感が爆発している。これが新しいAmia Calvaなのか!かっちりとしたロックのビートの上にGt.ノズエタカヒロの浮遊感満載のギターの音色がきらびやかに絡みつき歌声を包んでホールの天井まで一直線に伸び、そこからフロアに降り注いでいた。素晴らしい音楽が新たに産声を上げた瞬間だった。この日最後に演奏された”far side”においても新しいAmia Calvaのポップ感。先ほどよりもさらにポップにあふれた楽曲だ。生まれ変わった姿をここでもまざまざと見せつけられ、これからさらに生まれてくる音楽たちに期待せざるを得ない。より強固でそれでいて柔軟になったAmia Calvaという塊がステージに放りだされて、生き生きと飛び跳ねてどんどんとホールの空気を飲み込んでいった。それはまるで一つの生き物のようだった。本当に素敵なステージだった。ありがとう、そしておかえりなさい。

NATURE DANGER GANG

1stステージでは武道館を控えたフラワーカンパニーズが会場全体で真冬の盆踊りを披露している最中だった。セッティングをしているはずだった彼らが2ndステージで踊り出した。NATURE DANGER GANGだ。よく見てみると頭三つある人やセーラー服に亀甲縛りされている人までいる。その異常な光景にフラワーカンパニーズもツッコまずにはいられなかったが、何とかそのステージを終え、彼らがステージから去った瞬間に2ndステージのスピーカーから音が大爆発した。

 

ものすごい勢いでカオスなパーティーが始まる。僕はいったい何を目撃しているのだろうか。よくわからないうちにメンバーが次々とフロアに飛び込んでくる。フロアもそれに応えるように一気に爆発する。十代暴動社の長州ちから氏に「いいところがひとつもない」と絶賛された彼らのエネルギーが瞬間的に爆発する。自分からダイブしていくメンバーもいれば、メンバーに突き落とされるものも。とにかく大混乱の中ステージは展開されていく。そんなカオスな中でもSAX.の福山たくがこれでもかと言わんばかりのロックなフレーズを決めてくる。勢いがすごすぎて正直自分の思考回路が追い付かない。それでもいい。考えなくても踊り狂えるステージが今目の前で繰り広げられているのだ。いちいちこの曲がどうだ、とかそういうものはこの人達には通用しない気がしてきた。何人のメンバーがステージにいて何人のスタッフがいるのかも分からない。そしてなぜか運び込まれる脚立。KBS入口に設置してあったはずの顔ハメ。さらにはコーンとポール。プログレッシブでハードコアでパンク。ブリブリの低音が響く中でリーダーのせきやMCの野村がキレキレのビートをさらに刻んでいく。島田ボーイもマイクを握りステージを縦横無尽に駆け巡り、いつの間にかドラムを叩いていたりする。なんて自由なんだ!むしろこんな自由なステージあっても良かったんだという希望が脳内麻薬となりさらに加速度を上げていく。

 

曲が進むごとに、脱衣人口が増えていく。脚立に上ったスカートを脱いだゆきちゃんが破れた網タイツでセクシーなお尻を見せる。そして上半身を脱ぐとなんと胸にはガムテープで貼られた「ボロ」の文字が。ぐるぐると回り続けるビートの中で僕たちはもしかしたら究極のエンターテインメントを見ているのかもしれない。そしてライブはさらに進みいつの間にか持ち込まれていた綱引きの綱でステージとフロアでの綱引きの攻防。なぜかフロアを走り出すケニーG。SAXを吹いていると思ったらお母さんに電話をかける福山たく。メンバーそれぞれの動きについていくのに必死である。息を切らしながら最後の曲”生きてる”へ。クライマックスには少しゆったりした曲を持ってきたと思っていたが、ぼく脳がご飯を食べている。なんでだ。

 

最後にせきが真面目に挨拶をして終わるまで凄まじかった。本当にそれしか出てこないくらいのジェットコースターのようなライブだった。こんな世界があり、ボロフェスタにこんなステージがある事を僕は誇りに思いたい。

水曜日のカンパネラ

最終日2ndステージのトリを務めるのは水曜日のカンパネラだ。リハでコムアイが出てくるなり会場が一気に沸き立つ。今年一気に知名度を上げた水曜日のカンパネラはやはりボロフェスタでも強かった。会場は本番前からすでに満員状態。期待度がぐんぐんと上がる中本番が始まる。

 

SEが鳴り終わり、コムアイの声が聞こえるが、ステージ上に姿がない。ホール内がどよめきながらコムアイの姿を探す。そしてやっと見つかった彼女はなんとオープニングで使用されたデロリアンに乗っていた!デロリアンに乗ったままコール&レスポンスの練習の後に”ディアブロ”が始まり、デロリアンが動き出す。フロア中央までデロリアンとともにコムアイが出てきて「ボロフェスタ―!」と叫ぶなり、さっきまでのあの異常な空気はどこへやら、完全に水曜日のカンパネラの空間にしてしまった。もうすでに一流のアーティストなんだと、なんとなく噛みしめていた。2曲目”桃太郎”ではステージに戻り、満員になったフロアを眺めて楽しそうに歌っていた。

 

コムアイ本人も「こんなにたくさんの人がいてくれると思わなかった。」と嬉しそうにMCで話す。昨年は出られなかったボロフェスタに念願の出演とあって、感無量の様子であった。しかし歌っている最中にもMCでも醸し出されるいい意味での普通感。他のアイドルやシンガーソングライター等とは一線を画した砕け過ぎず、でも気取らない姿。これが彼女の魅力の一つなんだと思う。そこにはお客さんと一緒に楽しもうとするコムアイの精神が垣間見えるのである。

 

MCが終わると”ツィッギー””マリーアントワネット”と続けざまに披露されていく。水曜日のカンパネラは楽曲のクォリティも非常に高く、中毒性がある。しっかりと組み込まれたオケに矢継ぎ早に繰り広げられる言葉の数々。そこに時折見せる高らかなコムアイのシャウト。テンションは上がる一方である。心躍るビートに身を預けて、ステージとフロアが一体になって踊る。そして最早恒例になっているお菓子を投げるパフォーマンス。こんなに広いホールではさすがに届かないが目いっぱい遠くに投げるコムアイに精一杯手を伸ばす。そして続いての”ラー”では銀紙をばらまく演出。たくさんの手作りギミックが仕掛けられている。手作り感のあるこういった演出はフロアとステージを近づけるのに重要なファクターになっている。

 

見れば見るほど確かに世界にどんどん入り込んでいってしまう不思議な力がある。最後の”ミツコ”まで全7曲ボリュームたっぷりの水曜日のカンパネラのステージ。まだまだ伸びしろを感じさせるステージであった。まだまだ大きくなって日本中を席巻して、もう一度ボロフェスタのステージで彼女の笑顔が見れる日を心待ちにしたいと思う。

 

(Text:こにー)
(Photo:大西晴菜(Amia Calva)、岡安いつ美(NATURE DANGER GANG、水曜日のカンパネラ))

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