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【ボロフェスタ2015 Day2 / Beelow stage】ボギー / 中村佳穂 / ONIGAWARA / 長谷川健一

MUSIC 2015.10.27 Written By アンテナ編集部

ボギー

「皆さん、こんにちはーー!福岡出身!好きなお酒は芋焼酎!ボギーです!」と勢いある自己紹介でボロフェスタ2日目のBeelow stageは幕を開けた。1曲目から思わず笑いを誘うユーモア溢れる歌詞で雰囲気を和ませ、「なんだか良い1日の始まりになりそうだな」と思わずほころんでしまう。

 

「音楽は自由、自由と言いながら捉われすぎ。いつか紅白でトリをとるのが野望です!」と抱く想いを大型発言に変え続けたのは……彼の魅力のひとつとも言えるんじゃないかというカバーで勝負。かの有名な“祭り”をボギー風に見事にアレンジ!最後は“贈る言葉”のイントロが流れ出す。

 

もう音楽は楽しむのが1番!ということを教えてくれるかのように気付けばステージから降りて、観客席の中央移動し歌っているではないか。そしてすかさずオーディエンスもその姿に応えるかのように大合唱。途中からボギーを囲み、円陣を作るという結束力まで。アーティストとオーディエンスという垣根まで超えるこのステージはもう愛で溢れていた。発する言葉、表現方法全てで、皆を楽しませようとするこのキャラクターこそが、彼のステージをいつも、より一層引き立てているのだろうと感じられるあっという間のトップバッターだった。……と惜しんでいたのだが、なんと唯一、1日2ステージ登場するアーティストがボギーだ。

 

彼を見逃しては、きっとボロフェスタは始まらないし、終わらないと感じるオーディエンスも大勢いたのではないかと感じさせてくれた。来年もきっと会えることを信じてます!

中村佳穂

2014年5月に発売された1st Mini Album『口うつしロマンス』を完売。新音源として2015年7月に1st Single『どこまで』をリリース。現在精力的に活動をし、大注目中のシンガーソングライター中村佳穂がボロフェスタに今年初登場を果たした。

 

ピアノ弾き語りのアーティストがこの大型フェスでどんなパフォーマンスを魅せてくれるのだろうと期待に胸を膨らませていた人も多いのではないだろうか。そして初めてこの日彼女に出逢ったという人もきっと思わず、その表現力の深さに見入ってしまったのではないだろうか。この日Gtにループマシーンシンガーソングライターである“アナン”そして、前日に行われた大会で優勝を勝ちとったというヒューマンビートボックスの“RyoTracks”をサポートメンバーに迎え入れ、単なる弾き語りではないショウを用意していた彼女。この気合いの入りようにさらに期待が高まった。

 

「音楽に狂わされた3人です!」とMCの土龍に紹介され、まずは自己紹介代わりに「音楽が狂うほど、好き」と何フレーズかを即興で披露。シンガーソングライターの実力を早々と魅せつけてくれた。こうして出来上がるグルーヴ感にグイグイと引き込まれる。

 

変幻自在に操られるピアノフレーズをテクニカルに弾きこなし、どこまでも伸びていくかのような歌声がなんとも気持ち良いではないか。続けて披露した“夜のダンス”ではさらにグルーブ感を加速させ、ボイスパーカッションもさらに曲に彩りを添える。3人が生み出す音楽の渦に浸って、一瞬たりとも逃したくないと思える心地よさ。音楽で“ウネる”ってこういうことなんだな。

 

中盤では「皆が大概知っている曲をカヴァーします!」と“あんたがったどこさ”を披露。親近感を湧かせる、このカヴァーでも一筋縄でいかないのが彼女なのだろう。まるでジャズの雰囲気を創り出し、良い意味で違う楽曲のように熊本民謡を変化させてしまう。これがホンモノのオリジナリティというものか。感じたそのままの想いを“発する声”即興力抜群の“ピアノテクニック”でその場の空気感をすぐさま味方につける。ライブは一方通行ではなく、来てくれた聴いてくれたひとのためと自然に感じさせてくれた。時には繊細に、時には無邪気な顔を魅せる彼女の歌声で代表曲である“口うつしロマンス”をも披露。

 

「中村佳穂、初出場です!みんなの顔を忘れない!」と満面の笑みを見せて最後の曲を弾き語り始めた。彼女をジャンル分けするなら、シンガーソングライターはもちろんなのだが、芸術家という壮大な存在のように思えた。この日を糧にして、これから生まれてゆくであろう、楽曲やステージにも大いに期待したい。才能に年齢も経歴も関係ないでしょと思える大盛況のライブが確かに生まれていた。その証明はこの日ステージを目の当たりにして、愛あるアンコールま

ONIGAWARA

ex.竹内電気の竹内サティフォと斉藤伸也が結成した、スーパーJ-POPユニット『ONIGAWARA』がBeelow stageを賑わせた。

 

登場前からBeelow stageには多くの観客で埋め尽くされ、ざわつきをみせる。そう、“アノふたり”に会いたくて、多くの人々は心待ちにしていたんです!登場からあのお決まりの曲“ポップミュージックは僕のもの”のイントロが流れ出し、一気にオーディエンスの心を掴んでいく。ふたりが要所要所でバッチリと魅せる、振りはさることながら、“キメ顔”までも完璧で、もう目が離せない。あれ、ふたりは歌手?いや、歌うエンターテイナーなのだ。そしてこれまでの出演者の時とどこか観客の雰囲気も違うような……。振付を一緒にノリノリで踊ったり、手にはサイリウムを構えている。とは言ってもいわゆるヲタクの雰囲気が流れているわけではなく、まるでステージを見る眼差しは、ふたりを見てうっとりとしている……というか本気(マジ)で見とれているではないだろうか……!時には“可愛く(?)”時には“凛々しく(!)”ともとれる、パフォーマンスと振り。これが、ONIGAWARAマジックなのだろう!

 

“SUPER STAR”では、ユーモア溢れる見事なラップを披露し、さらに、ふたりのエンターテイメント性の抜群のふり幅を魅せる。「ロビーだって最高のステージになることを証明しにしました!田原俊彦の“抱きしめてTONIGHT”を本番前に歌っていたらテンションもう少し下げて下さいと警備員さんに言われました(笑)みんなも気を付けるように!」というMCも飛び出し、もう喋っても面白さ満点でこのキャラクターこそが愛される理由のひとつなんだなと実感。

 

ふたりが「最後の曲です!」と言うと、間髪入れずに「えーー!」という惜しむ声が上がるのも分かる。だって、まだまだ、観たいんです。このショウを。と思っていると「また11月1日(のレコ発で)会おうぜ!」と宣伝力も抜群じゃないか。最後には“Eじゃん”を披露し、最後の最後までやっぱりこのふたりは観客とのコミュニケーションを1曲という限られた時間の中で楽しんでいるのが印象的だった。「みんな愛してるよ(はーと)」の愛の告白までも残し、ステージは終了。もう完璧に『ONIGAWARA』の存在をこのボロフェスタに残すようなステージだった。

長谷川健一

長谷川健一は時刻の少し前にBee-lowステージにふらっと現れた。彼は京都の天才シンガソングライターとして多くのファンやアーティストからも評価を得ており、春にLOSTAGEとのスプリットシングルも発売、12月には自身のアルバムを発売を予定している、まさに軌道に乗っている状態での出演である。

 

新アルバムの収録曲である『きらいなあなたと』で始まった長谷川健一のライブ。伸びやかで優しい歌声はざわざわしている空気感をすっと晴れやかにしていく。演奏している時の大きな表情の変化はなく淡々とこなしている印象であるが、感情を隠しているわけでもない。どちらかと言うと感情的にも見えるのだ。冷たく突き放すような、突き放されたような歌声は彼自身を表しているのかもしれない。「呼んでくれへんな~と思っていたら最近呼んで頂いて……以前ボロフェスタのエンドロールで僕の『夜明け前』が使って頂いたことがあって、光栄だなって……でもその時のボロフェスタの時は呼んでくれなかった。東京でライブしてたんですけど」と皮肉交じりに言う長谷川健一は、少し笑みをこぼしていた。念願?でもあるボロフェスタのステージで、彼が歌うと音は消え、彼が演奏をやめるとまわりの音が聞こえている。そう前置きをした最後の『夜明け前』の歌詞は自戒のような意識も見えるが前を向いている、前を向くしかないような致し方無さもかいま見える。彼が歌を歌うと静かになるし、彼がギターを鳴らすと視界が明るくなる。針に糸を通すような繊細な作業を、彼はすごく大胆に行っている。

 

彼の30分のステージはあまりに圧巻であり大きく心を動かされていたのだが、今回より強く実感したのは「力ずくでも笑え 何度となく」という言葉を声を荒げることなく、寄り添って優しく歌えるのは彼の他に誰もいないのだ。

 

(Text:稲本百合香) 
(Photo:大西晴菜(ボギー/ONIGAWARA/長谷川健一)、岡安いつ美(中村佳穂))

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