INTERVIEW

メールインタビュー〜世界は今どうなっているんだろう?〜

新型コロナウィルスの影響が世界を席巻している昨今、みなさんいかがお過ごしですか?徒歩圏内のつながりさえ失われつつある状況の中で、日本語情報だけに触れていても世界の状況がよくわからないなと僕は感じています。そこで今回海外を中心に活動するミュージシャンやライター等のクリエイターの方々にメールでインタビューを行いました。もちろん「その人=その国」ではないですが、クリエイターとして、そして生活者としての生の声に触れることで地球規模で考えるきっかけになれば幸いです。

寺尾ブッダ(日本・東京)

ライブハウス「青山月見ル君想フ」そして2014年に台北に「台北月見ル君想フ」オープン。 以降、台湾と日本をはじめアジア各地でイベントをプロデュースしている。レーベル事業 BIG ROMANTIC RECORDS と、プロモーター事業 BIG ROMANTIC ENTERTAINMENT を展開中。

※ライター注:現在は日本に在住されているため、日本国内に関する内容となっております。

あなたの仕事や生活で、最も影響を受けた事はなんですか?

ライブハウスの営業ができなくなってしまいました。それと同時に、企画していたたくさんのイベントやツアーがキャンセルになりました。

お住まいの国や州、市の政策をどう評価しますか?評価する点としない点を教えてください。

日本の政策は、全てがとても場当たり的に見えて、正直やりきれなさを感じています。日本でも今後は防疫の意識が高まると思うのですが、近隣各国が積み上げた経験値を学び、取り入れていって欲しいと思います。

今回の事態で社会は大きな変化を迫られているように感じます。文化活動を取り巻く社会の在り方はどのように変化すると思いますか?

いろんな議論がありますが、人が集まるタイプの商業や文化的な活動は絶対になくならないと思うので、いずれ復活するとして、それ以外のオンラインでの活動も新たな選択肢として盛り上がりを見せてくると思います。そこに関しては、このタイミングで発信側も受け手側も前に進めるチャンスなのかなと感じています。そしてミュージシャンにとっても、選択肢が増えてより豊かな創作が行われるだろうと信じてます。

今回の経験をした前と後では、あなたの活動にどのような変化が生じると思いますか?

ここ数年かなり忙しくしてきたので、強制的に仕事にゆとりが生じて、今とても健康的です。今後ですが、今までの様に海外ツアーのライブをブッキングしたりするのはすぐには難しいかと思いますが、今までどうしても既存のショービジネスの物差しで取り組んでいたものを、根本から見つめ直す機会にしたいです。大転換が起こるかもしれませんし、表面上は何も変わらないかもしれませんが。

今回の経験で、今後の活動に生かせる学びはありますか?

一つのことに集中するのと、リスクを分散させることを常に同時に考えていかないといけないと再認識しました。恐れず進んでいきたいと思います。あと今も喫緊の問題ですが、特に中小規模のライブハウスは多くのフリーランスの現場スタッフによって支えられていることが多いです。そんなフリーの立場の方たちとどう関わっていくか、どういった部分がシェアできるところなのか等を議論していくべきだと考えています。

ウィリアム・アーシャンボ(アメリカ・ニューオリンズ)

アメリカルイジアナ州、ニューオリンズ市在住の音楽ライターで、2018年から『Japan Times』に寄稿している。同志社大学への留学経験もあり、2017年から1年間、宮城県石巻市で英語教師をした経験を持つ。好きな日本料理は矢場とんの味噌かつ。

あなたの仕事や生活で、最も影響を受けた事はなんですか?

私の住むニューオリンズ市の被害状況は甚大で、感染者数は6,000人を超え、400人を超える方が亡くなり1カ月半以上の隔離生活が続いています。私も仕事の多くがキャンセルになりましたが、現状では仕方のないことだと思っています。そんな中で救いとなったのは、以前から携わっている月刊誌『ANTIGRAVITY』が、4月号の内容を大幅に変更して地域の人々へ有益な情報を発信することを決定したことでした。私も記事を書くことで、困難な状況下で暮す地元の人々を助ける活動ができたことがとてもうれしかったです。現在は、今までとは違う方法でコンテンツを生み出すことを模索しています。それ以外では、音楽を聴いたり、以前から読みたかった本を読んだり、料理の腕を磨いたりしています。髭も伸ばし放題なので、隔離生活から開放される時にはサンタクロースのようになっているかもしれません!

お住まいの国や州、市の政策をどう評価しますか?評価する点としない点を教えてください。

前例のないことですし、ウイルスに対処する最善の方法がわからないため、回答するのが難しい質問です。でも、ウイルスが発生した時点で人々が集まることを早々に規制するなど、ニューオリンズ市、ルイジアナ州共に評価すべき対応をしていると思います。一方で、多くの人々が職を失い家賃を払うこともできない事実を忘れてはなりません。ルイジアナ州の失業者に対する政策は機能しておらず、町の経済活動の中核を担っていた自営業者や日雇い労働者は将来の見通しが立たず不安に晒されています。ニューオリンズはフェスティバルや大規模イベントの収入で繁栄してきた町でもありますが、今年予定していた全てのイベントはキャンセルになりました。誰もが経済的に困難な状況であることは明らかですが、私達が何より最優先すべきことは人々の健康であることも理解しています。

今回の事態で社会は大きな変化を迫られているように感じます。文化活動を取り巻く社会の在り方はどのように変化すると思いますか?

文化活動は相当な影響を受けるでしょう。なかでも、ミュージシャンや彼らのイベントに携わる人に与える影響は甚大だと思います。かつてのように、人々がライブへ足を運ぶようになるには相当な時間がかかると思うので、ライブ収入を断たれたミュージシャン達は厳しい選択をせざるを得ないのではないでしょうか。出版業に与える影響も大きいと思います。小規模出版社の多くは、広告収入に頼って活動をしているため、その広告で宣伝をしていた商品や産業が生産活動を行えない現状では、廃刊も免れない。今後クリエイティブな活動は、経済的な余裕があり、収入を気にする必要がない一部の人々のみが行える限られた活動になってしまうことを危惧しています。

今回の経験をした前と後では、あなたの活動にどのような変化が生じると思いますか?

出版業界の今後の動向にかかわらず、私自身はミュージシャンを追いかけて執筆活動を続けていくでしょう。情報を伝える役割としてのメディアの在り方は変化するかもしれませんが、我々が経験したことのないウイルスにどう立ち向かったのかを後世の人々が振り返ることができるためにも、現在の状況を記録する必要性が求められていると思います。現時点では多くの人達はその気力を持ち合わせていませんが、再び力を取り戻し、共通の目標に向かい記録をまとめる作業を協力して行いたいと願っています。

今回の経験で、今後の活動に生かせる学びはありますか?

物事に臨機応変に対峙することの重要性を、コロナによってもたらされた様々な変化が気づかせてくれたと思います。今後、クリエイティブな作品を発信する媒体は大きく形を変えるでしょう。我々の未来は不確かで不安でもありますが、私達はどんな未来にも適応することができるはずです。

Dino(ドイツ・フランクフルト)

ドイツのヘッセン州フランクフルト在住の Baa Baa Blacksheeps のベーシスト兼ANTENNAのマスコット。ドイツで醸造の勉強をしようと思っていますがまだ何も成し得ていません。バンドも現在目立った活動はしていませんが今のところメンバーみんな元気です。

あなたの仕事や生活で、最も影響を受けた事はなんですか?

現在求職活動中なので、いざ書類審査をパスしても、面接やその後の試用実習等が行えないのが最も大きな影響です。生活では、スーパーやドラッグストアがショッピングカートで人数管理されているので、カートが無ければスーパーに入れなかったり、1人1台ショッピングカートを使用しなければいけないので、家族と一緒に買い物ができなかったり不便さがあります。

お住まいの国や州、市の政策をどう評価しますか?評価する点としない点を教えてください。

飲食店や個人事業主への補償や、企業で働いている人への休業時給与補償などは良いと思います。評価しない点は、個人の生活に関わる範囲では今のところありません。今住んでいるヘッセン州では、4月下旬からの経済活動再開に際して、公共交通機関や銀行、郵便局においてマスクの着用が義務化される(罰金もある模様)ようです。今までスーパーの入店規制だけでも店側と客が揉めている光景を頻繁に見ていたので、マスク着用の義務化が生活にどう影響するかなと考えています。

今回の事態で社会は大きな変化を迫られているように感じます。文化活動を取り巻く社会の在り方はどのように変化すると思いますか?

インターネットでの表現により比重が置かれるようになるのではないかと思います。それに付随して、現在各所で手探りで行われている投げ銭など、アーティストへのコスト還元の効率化とシステム化、インターネット上で作品を発表するアーティストに対する配信代行やディレクション、コンサルティングなどで収益を上げる業者などが増えるのではないかと想像しています。ギャラリー、クラブ、ライブハウス、フェスなどの現場は、インターネット上のビジネススタイルに迎合するところと、今よりももっと局所的な需要を満たす、クローズドな場所に変化するといったような二極化が起きるかもしれません。上記のようなことは起こらなかったとしても、言い過ぎかもしれませんが、今までの典型的な方法論などは見直されるフェーズに入っていると思います。

今回の経験をした前と後では、あなたの活動にどのような変化が生じると思いますか?

ここ数年単位でまともに何か活動してるわけではないので、現役感がないし何とも言えないというのが本音です。ただもしこのままデジタル化が整っていったら、どんな表現にも一枚フィルターがかかったような感じになるような気がしているので、生命エネルギーの発露みたいなものを、どう表現し、なるべく減衰なく受け手に渡せるかの努力が必要かもしれません。それが技術・理論強化で補えるものなのか、全く別のものなのかは実際に何か活動を行う際に見極める必要があると思います。

今回の経験で、今後の活動に生かせる学びはありますか?

ここ数年まともに活動していないため何とも言えませんが、誰かが主導権を明確に握っているバンドではないので、バンド内のインフラ整備や、やり取りの密度、技術レベルの均一化、モチベーション維持なんかをしっかり個々が意識を持ってやらないと、何かを新しく生みだすことは難しいなと思いました(これは今回の事に限らずだけど)。あと3.11の時も思ったことですが、社会的に自粛ムードになっている時に、どこまでの社会の声を「自分たちに向けられているもの」として受け取り、想いを汲んで、活動のスタンスに反映させるのかを決めておかないと、しんどくなるだろうなと思います。

佐々木 明日華(アイルランド・ダブリン)

アイルランドのダブリンに留学中。絵を描いたり写真を撮ったり、たまにデザインの仕事をしたり。社会人になって結構経つのにいまだに青臭さが抜けなくて、よく大学生に間違われます。

あなたの仕事や生活で、最も影響を受けた事はなんですか?

自分自身の心への精神的なダメージが大きかったです。コロナウイルスの影響で目まぐるしい変化が身の回りで起こり、それに合わせて考え始めると、途方もなく出てくる不安と焦りに向き合う時間がしんどかったです。

お住まいの国や州、市の政策をどう評価しますか?評価する点としない点を教えてください。

アイルランドでは、最初の死者が出てから施策を打つまでのスピードがとても早かったと思います。すぐに学校や文化施設が閉鎖され、飲食店の営業が制限されました。ロックダウンが発令された日も、その日の夜から実施されたため戸惑いましたが、感染者数が減っているので正しい判断だったと思います。失業者への給付金の配布の措置も早く、実際に今とても助かっているので高く評価したいです。評価しない点は今のところ特にありません。

今回の事態で社会は大きな変化を迫られているように感じます。文化活動を取り巻く社会の在り方はどのように変化すると思いますか?

今までの行動を見直さざるを得ない状況になり、削ぎ落としていい部分とそうじゃない部分が浮き彫りになってきて、人がいないと成立しないものがより一層大事にされていくのではないかと思いました。文化活動がもっとたくさんの人に意味のあるものとして受け入れられていって欲しいなと思います。

今回の経験をした前と後では、あなたの活動にどのような変化が生じると思いますか?

ロックダウン中、自分が今までやっていた文化活動にとても助けられました。改めて自分にとって文化活動はなくてはならないものだと思いましたし、より一層大切にしていくと思います。今の状況下で、違う場所から日本の現状を一歩引いてみられたことも自分にとって大きかったです。いろんなことを自分ごととして考えないといけなくなり、改めて政治や社会に対して無関心ではいられないと思いました。今まで自分の活動と切り離して考えていたのですが、これからは身近な問題として自分に寄り添っていく気がしています。

今回の経験で、今後の活動に生かせる学びはありますか?

今までだったら「いつかやろう」で終わっていたことをすぐやるようにしなければ……と切実に思うようになりました。場所であったり物であったり人であったり、自分の大事にしたいものは行動で示していきたいです。

マックス・バウアー(ドイツ・ベルリン)

2012年に結成されたベルリンを拠点に活動するプロトポップバンド Isolation Berlin のメンバー。ドイツのレーベル Staatsakt からLP2枚とEP数枚をリリースし、2019年には東京と大阪で初来日ツアーを行った。もっと多くのツアーを周りたいが、現在は “in Isolation”(孤立中)。

あなたの仕事や生活で、最も影響を受けた事はなんですか?

確実に言えるのは、ライブ活動ができなくなったことです。バンド名(Isolation:孤立・隔離・孤独の意)が理由なのか、現在僕らの知名度は上がっているようですが……。生活面では外に飲みに行けなくなりました。もともと僕はあまり出歩かない人間だから、他の人達に比べれば辛くはないけれど、夜に外出しなくなったことは寂しいです。

今回の事態で社会は大きな変化を迫られているように感じます。文化活動を取り巻く社会の在り方はどのように変化すると思いますか?

社会における文化の役割がますます失われていくことを危惧して、既にその動きが加速されているように感じています。多くの人々が自分達の活動の存続のために戦っていますが、未来が見通せない状況は、僕達のようなライブ活動で生計を立てているミュージシャンだけでなく、会場経営者やイベント関係者達の生活も変えてしまうと思います。

今回の経験をした前と後では、あなたの活動にどのような変化が生じると思いますか?

コロナと共存する暮らしを考えた時に、我々はまだその初期段階にいると僕は感じているので、現時点で収束後のことを見通して答えるのは難しいです。他のミュージシャン達と同様に、早くライブを再開したいと願っていますが、いつになるかはわからない。今は可能な限りライブ配信を続けていますが、これが(生のライブではなく配信活動がミュージシャンの活動方法として)当たり前になってしまわないことを強く願っています。

今回の経験で、今後の活動に生かせる学びはありますか?

僕達が現在直面している全ての問題や課題が、いくらかでも芸術にポジティブな成果をもたらしてくれることを願っています。未来がどうなるのか不確かな状況において、自分自身を含めた多くの人々に、己の可能性について再び果敢にもう一度考えて欲しいと思っています。

マルキド(韓国・ソウル)

TENGGER(左からマルキド、ラアイ、イッタ)

韓国ソウルを拠点に活動する旅行家族グループ TENGGER(텐거・天郷)のメンバー。メンバーは韓国人イッタと日本人マルキド、そして7歳の息子ラアイ。ニューエイジ音楽、サイケデリックを中心に自然と共生する表現を追求している。四国遍路を題材にしたフィールドレコーディング作品『MINISHIKO』、オリジナル・カセットプレーヤー『DOCASSETTE』等、アートプロジェクトも行う。

あなたの仕事や生活で、最も影響を受けた事はなんですか?

今回のCOVID-19で、一番影響を受けたのはツアーが全てキャンセルされたことです。TENGGERは、3月(SXSW)、5月、7月と海外ツアーを予定していました。国内(韓国)のライブも延期で、今のところ再開の見通しは立っていません。アメリカ、ヨーロッパは少なくとも1年くらいは難しい状態ではないかと思います。

お住まいの国や州、市の政策をどう評価しますか?評価する点としない点を教えてください。

韓国は、ご存知かもしれませんが、COVID-19に関して非常に先進的な取り組みをやっていて、感染者は少なく抑えられていると高く評価しています。韓国は、セウォル号沈没事故(2014年)の影響で、特に子ども達に対する市民の危機意識が強く、休校措置も早くから行われておりました。ただ、芸術家への補償等に関しては遅いと感じます。韓国は、芸術家への支援は普段から行われていますが、今回の件で支援を求める声が殺到していると聞きました。

今回の事態で社会は大きな変化を迫られているように感じます。文化活動を取り巻く社会の在り方はどのように変化すると思いますか?

この事態が一時のものなのか、それとも長らく続いてしまうのかでも違ってくると思います。未知の領域ではあるし、もう元通りにはならない可能性もあります。しかし、この最大のピンチは同時に最大のチャンスでもあるので、自分たち表現者にとってはとんでもない自由が与えられたようなものです。その自由を楽しんでみるのも良いと思います。どうなるかは分かりません。

今回の経験をした前と後では、あなたの活動にどのような変化が生じると思いますか?

ライブ活動やツアーができないというのはミュージシャンにとって致命的でもありますが、よりコンテンツを強化したり、多様な表現にチャレンジしてみようと思います。

今回の経験で、今後の活動に生かせる学びはありますか?

「ソーシャル・ディスタンス」は興味深いワードです。元々、TENGGERの表現は自然の中に入ることで得られる感受性(スピリチュアル)を重要視しているので、人と人が近づき過ぎないようにする「ソーシャル・ディスタンス」は既に行われていた事になります。今後、「ソーシャル・ディスタンス」が新しいアートや表現のコンセプトとなるのなら、また面白いものが生まれてくるのではないかと思いました。あと、人々の旅行欲のようなものを強く感じているので、それに応えられるようなコンテンツが増えたら良いですね。TENGGERのコンセプトも「旅行」なので、自分たちの世界観を更に発展させていきたいと思いました。

フランシスコ・カブレラ・セリオ(メキシコ・メキシコシティ)

Makoto Kino の別名でメキシコを拠点に活動しているミュージシャン。最新アルバム『Glitter Rose Garden』を2020年にリリースし、デビューから一貫して魅惑的なサウンドを追求し続けている。日本のアイドルなど世界中の多岐に渡るジャンルの音楽から影響を受けている。

あなたの仕事や生活で、最も影響を受けた事はなんですか?

多くの国の状況と同じく、ライブがなくなり、ライブ配信やインターネットラジオ、bandcampからの収入を頼りに活動を続けている状況です。最新アルバムの発売に合わせて予定していたツアーもキャンセルになりました。新しい作品を演奏することを楽しみにしていましたが、延期せざるを得ない状況です。関連商品の制作と販売も中断しています。

お住まいの国や州、市の政策をどう評価しますか?評価する点としない点を教えてください。

一部の国で起きているような感染拡大は防ぐことができていると思いますが、現状下でも働き続けることを余儀なくされている貧困層への経済的な援助がなされていません。私自身のことをお伝えすると、政府からアーティストやライブ会場に対する支援は全くなく、我々は自分の力で活動を維持していかなればならない状況です。以前から政府は芸術的な活動を重視しておらず、現在の状況下でも“Save our space”のようなムーブメントは起きてはいません。我々はこれまでと同様に、自分の力だけを頼り活動を続けています。私自身は、現在の状況下でも貧困層の人達は家族を養うために働き続ける事を余儀なくされているため、政府が最優先に援助すべき人達はアーティストではなく彼らであると考えています。

今回の事態で社会は大きな変化を迫られているように感じます。文化活動を取り巻く社会の在り方はどのように変化すると思いますか?

人々と政府が、芸術やその活動に携わる会場・文化センターが持つ価値を見出して欲しいと願っています。寄付を募って活動を続けるのではなく、アーティスト達も、他の労働者と同等の権利と援助を受ける必要があると思います。

今回の経験をした前と後では、あなたの活動にどのような変化が生じると思いますか?

アルバムを作り終えてからしばらく活動を休んでいたため、以前の生活と今では大きな変化はありません。外出禁止令が出たことで、音楽により真摯に向き合うことができています。

今回の経験で、今後の活動に生かせる学びはありますか?

オンライン上でライブを行い配信する活動には、緊急事態下の限られた選択肢として実施するに至ったイベント以上の価値と多くの可能性があると考えています。以前から、アイドルやゲーマー達はライブ配信を始めており、ファンとふれ合えるコニュニティーを形成していました。私も同様の環境下で活動をすることをこれまで以上に楽しみにしています。

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