ANTENNA Writer’s Voice #5
ANTENNAライター陣の近頃おもしろかったもの・ことを週替わりでざっくばらんに紹介する、『ANTENNA Writer’s Voice』。音楽、映画、アート、演劇、小説、漫画などなど、それぞれの興味関心は千差万別で、それを語り分け合うことで緩やかな広がりになっていけばいいなと思っています。今回も3人のライターのおもしろかったもの・ことを紹介。編集部でも「みんな何を選ぶんだろう?」とそわそわしていますが、そんな気持ちで気ままにお楽しみあれ!
『Nai-Fi MARKET vol.9』 @excube / EXTRA OVER / COPY HOUSE / PISTOL
先日大阪の難波近辺の4店舗で開催されたサーキット形式の服のフリーマーケット『Nai-Fi MARKET』に足を運んだ。昨年同様シェアハウスの同居人(クラフトビールやファッションに明るい)と店を巡ったわけだが、普段ほぼ服を買わない僕でも奮発して色々買っちゃいたい、毎年恒例の年末イベントとなっているわけだ。ファッションに疎い僕にとって、こうハイセンスな場所に赴くのはこれまで気後れや引け目も感じていたものだが、昨年〈excube〉で買ったコートを気に入ってずっと着ていたのもあり、ここ一年で少しだけ楽しみ方もわかってきた気がする。今回もとてもいい買い物ができて、年末年始のお出かけもワクワクしてくる。バーカウンターやDJブースが常設されたお店もあり、買うだけでなく様々な人とがやがや交流も楽しみつつ。あまりに当たり前過ぎて書くのも恐縮ではあるが、ファッションはカルチャーなのだと改めて肌で感じられた素敵な機会であった。(阿部仁知)
Amazon Music独占配信『ワレワレハワラワレタイ NEXT』
Amazon Musicのポッドキャスト番組「ワレワレハワラワレタイNEXT」
Amazon Musicにて毎週火曜20:00に最新話を独占配信
前回はSpotifyオリジナルポッドキャスト番組『聴漫才』を紹介しましたが、今回も吉本興業制作の音声コンテンツを。Amazon Musicで独占配信されている『ワレワレハワラワレタイ NEXT』です。2012年に制作された映像ドキュメンタリー『ワレワレハワラワレタイ ウケたら、うれしい。それだけや。』の続編的位置づけ。前作は木村祐一をインタビュワーとして吉本芸人106組の素顔を映し出すという内容でしたが、今回はそこから10年の月日が経ち、かまいたち、ニューヨーク、ミキを筆頭に、その期間で新たに頭角を示した若手~中堅24組のインタビューを新録し、音声配信するというものです。絶対的な先輩である木村祐一を目の前にして、本音で話さざるを得ない緊張感が心地いい。また芸人を始めた経緯から、嬉しかったこと、悔しかったこと、そして最後には「生まれ変わってもまた芸人になりますか?その時は同じ相方を選びますか?」と、インタビューフローが定型なんです。『やすとものいたって真剣です』(朝日放送テレビ)、『あちこちオードリー』(テレビ東京)や各種芸人YouTubeを筆頭に、芸人の裏側や素顔を見せる番組は現在のトレンドともいえますが、ここでは過度に笑いには走らないし、インタビューとしてもいい意味で面白過ぎない。エンタメにしていないところがこの番組の最大の魅力です。それぞれのキャリアや考え方をじっくり比較しながら楽しめるところがお気に入り。
また明日12月31日(土)23時から前作ドキュメンタリー映像がBSよしもとで24時間一挙放送されるそうです。さすがに長すぎですが、今いくよ・くるよ、笑福亭松之助、笑福亭仁鶴などすでに鬼籍に入られた方の当時の映像だけでもこの機会に見ておきたいなぁ……。 (峯大貴)
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2022』@インテックス大阪
「一つひとつのライブにはそれぞれストーリーがある」そう私に教えてくれたのは『Talking Rock!』の編集長である吉川尚宏さんだ。まだ音楽ライターとして勉強中だった2013年の『RADIO CRAZY』でライブレポートをする機会をいただいた時に話してくれたこの言葉は今でも私がライブレポートを書くときの指針となっている。
そんな思い出もある『RADIO CRAZY』の初日に行ってきた。お目当ては、勿論くるりである。この日のライブメンバーはくるりの岸田さん(Vo / Gt)、佐藤さん(Ba)に松本くん(Gt)、のっち(Key)、石若くん(Dr)の5人。思い返せば、今年1年でくるりのライブはこの日で10回目。いろいろなセットリストを体験していただけに、石若くんのカウントではじまった‟HOW TO GO”には驚かされた。今やフェスの定番曲ともいえる‟琥珀色の街、上海蟹の朝”なども交えつつ来年リリース予定の新曲、‟愛の太陽”をバンドセットで初披露。そして想像を超える瞬間は、最後にやってきた。
5人がステージの中央に一並びし、石若くんはタンバリンとグロッケン、岸田さんはアコギ、松本くんはマンドリン、佐藤さんが鍵盤ハーモニカ、のっちはアコーディオンというアコースティック編成に。この日はクリスマス。きっとくるりのクリスマスソング‟最後のメリークリスマス”だろうと思っていたら、岸田さんのカウントで佐藤さんが奏ではじめたのは‟言葉はさんかく こころは四角”のイントロ。グロッケンやマンドリンのキラキラとした音色をまといながら、ゆったりとしたテンポで岸田さんはあたたかな声音で歌う。失恋の歌ともとらえられそうなこの楽曲だが、この日、強く感じたのは希望。最後に明るく転調していくマンドリンにも、そんな思いが込められていたように感じた。きっとそれは彼らが、もう未来の方向を見据えているからではないだろうか。クリスマスソング以上に、来年への期待というとっておきのクリスマスプレゼントを届けてもらい、私のくるり納めの一日は幕を閉じた。(乾和代)
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地域に根ざした世界中のインディペンデントな「人・もの・こと・場所」をおもしろがり、文化が持つ可能性を模索するためのメディアANTENNAです。
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