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ボロフェスタ2014 day2-Underground Stage,Bee-low stage編-

the coopeez

アンダーグラウンドステージ一発目はスタート前から爆発寸前の超満員。ここ京都の遅咲きロックヒーロー、the coopeezの登場を待ちわびた人の群れだ。一曲目”クイズ”から酸欠必至の盛り上がりを見せ、軽快なポップ・ナンバー”途中の人”へと、中毒性高いフレーズが持ち味の楽曲で攻めに攻めまくる。「スーパー二日酔い」だというGt./Vo. 藤本浩史が「ワ○ミでゲロッパ!」のコールアンドレスポンスでフロアをあおると、リズムに合わせてジェイムス・ブラウン顔負けの珍妙なステップを披露。歯切れ良いギターロックにファンクの味付けがたまらない”恐竜人間”で踊らせにかかってくる。後半、”テレパシー”からの3曲はさらにアクセルがかかり最後は藤本がマイクスタンドごとフロアの中央へ。ギターヘッドが天井を突かんばかりの高さにまで持ち上げられ、ボロフェスタ最終日の先鋒にして真打というべき姿を堂々と見せつけた。(text:高石瑞希)

【Bee-low stage】ミライスカート

お昼時、美味しそうなフードを食べる客をよそ目めにbee-low stageには、たくさんの人が詰めかけていた。そのあいだを掻き分け登場したのは、京都を拠点に活動するレトロフューチャーアイドルユニット、ミライスカートだ。

 

1曲目がはじまると、曲に合わせて手拍子が起こる。さすが、地元ともいうべきか、観客とステージとの息はぴったり。MCでは、初々しさが垣間みえるメンバー紹介。それもそのはず。彼女たちは、平均年齢19歳であり、今年の6月に結成したばかりなのだ。2015年のメジャーデビューを目指し研修生として、4ヶ月間頑張ってきたのだろう。前で彼女たちを愛おしそうに見つめるファンたちがそのことを証明している。最後の曲である”ミライノート”では、ここ一番の盛り上がりを見せ、ファンたちの合いの手も完璧だ。あどけなさや初々しさが残りつつも堂々としていて愛らしい彼女たちが、これからどう成長していくのか気になるところである。(text:アンテナ編集部)

Seuss

続いて現れたのは2013年始動の新進気鋭バンドSeuss(スース)。ちょっぴりスレた立ち姿もひっくるめて、早耳インディー洋楽リスナーの心をも一発で仕留める魅力そろい踏みの彼らが鳴らすのは妖しく煙がかった陶酔の音楽。”Not Well”ではGt./Vo. Yumaが挑発的な上目遣いとともに遠鳴りのような歌声を聴かせる。往年の名曲”Do You Believe in Magic?”のカバーも彼らの手にかかればめまいがするような浮遊感、そこから逃げるすべはない。

 

The DIM、THE FULL TEENZでの各々のキャリアを経た彼らの実力は折り紙つき。サイケ・ガレージの豊かな土壌であり自由な音楽があふれる神戸という土地柄、そして新旧さまざまな洋楽インディーの魅力を吸収した刺激的な京都のシーンが生み出した彼らの催眠音楽に、序盤は騒いでいたオーディエンスも心地よさそうに身体をゆらゆらと揺らしはじめる。ラストは楽器を激しくステージに投げつけ轟音を残したまま媚びなく立ち去るSeuss、初めて彼らに触れる人の心にもしっかりと爪痕を残したに違いない。(text:高石瑞希)

TheThisTown

ゆっくりと地下ステージに現れたのはソロ、バンド編成共に今夏から同名義で活動しているThe This Town。ギターとピアノのアンサンブルからだんだんと音が増え響き渡り、Vo.橋本の、芯の強い声が入ったときには地下ステージにいるのに日当たりの良い街で散歩をしている気分になってくる。ポップでキャッチーなのだが、儚さのような切なさのようなものが胸の奥でもごもごしている。初バンドセットとは思えないほど大胆に、しかし繊細に音を重ねていき、前バンドであるdOPPO時代から演奏している”おわかれ”という曲では切なげでありながら牧歌的な雰囲気を醸し出している。

 

告知を挟んで少し間を開け、「(bloodthirsty butchersの)吉村さんのことを考えてて……(ボロフェスタに)出てもないのに二曲も歌われてる」と淡々と語り、最後の曲はbloodthirsty butchersの「ESCAPE」。それまで演奏してきた自分たちの曲で完成した街を静かに壊していくような、かさぶたを剥がす行為をリスナー側も何もできず、固唾を呑んで見守っている。まるで一冊の絵本を読み終えたようなアクトだった。(text:うえこ)

nayuta

熱気を帯びた地下ステージ、始まる前からすでに多くの人たちが集まり、茶々を入れる。その声に応えるかのように「ボロフェスターーー!」と叫んだのは、Gt./Vo.宮本章太郎である。nayutaのはじまりだ。

 

「らぁらららぁらららぁらったぁ、らぁらららぁらららぁ」と”camel walk”。宮本とSyn./Vo.淡路翔子の声が重なり、ステージはさらに熱くなる。視線と視線を合わせ、息がぴったりのふたり。割れんばかりの轟音に観客のボルテージは、一気に上昇。MCを挟み、宮本と淡路のコーラスワークからはじまる4曲目は”quiet sun”だ。曲中にThe Beatlesの”Blackbird”を織り込んでくるなど、遊び心が満載だ。愉快なリズムや予測不能な展開、コーラスワークなど、nayutaの3人でないと作り出せない無国籍な空間が、そこには確かに存在した。自然と笑顔が溢れ、幸福感さえも感じさせる30分間だった。(text:アンテナ編集部)

【Bee-low stage】白波多カミン

アコギ1本抱えて登場した白波多カミンの歌声は、柔らかく温かい空気をまとっていた。一点をじっと見つめる表情は真剣そのものだが、どこか飄々としている。「ただいま帰ってきました。白波多カミンです」と故郷京都に帰ってきたことを改めて報告し、大都会東京への思いを綴った曲を披露した。決して明るい曲ではなかったが、不安の中にも彼女から発せられる声に力強いものを感じそれは昔の自分に決別するかのように聴こえた。

 

続けて最近作ったというラブソングを歌いだした。『あなた』への思いを嘘偽りなく真摯に歌で表現していた。白波多曰く彼女の作る曲は湿気の多いものばかりらしいが、最近はカラッとしているらしい。最初の方に歌われた楽曲たちはジメっとして暗い心の内を歌ったものが多いなと思ったが、このラブソングなどは何色にも染まらない無色透明みたいだった。最後は“くだもの”を凛とした表情で歌い上げた。

 

彼女の歌声を聴いていると心の奥底まで見透かされている気分になる。そして『きみ』や『あなた』は今日この場で彼女を見た人全員に当てはまるのだろう。だってたくさんの『きみ』に向けあの優しい歌声を放っているように思えたから。白波多カミンは私たちに空気のようにぴたっと寄り添うのだ。そんな彼女の姿をまだまだたくさんの人に見てもらいたいと思った。(text:アンテナ編集部)

THE FULL TEENZ

近頃、京都でブイブイ言わせているTHE FULL TEENZがボロフェスタの地下ステージに登場。今年の2月に自主レーベルである生き埋めレコーズを立ち上げ、自主制作盤をリリースした京都のスリーピースロックバンドだ。

 

1曲目は、”(500)日のサマーバケイション”。しょっぱなから疾走感のある曲で一気に観客のボルテージを上げていく。そのまま”Red Shirt”へと続き、早くもダイブとモッシュが起こり始め、フロアは熱気でむんむんしている。「ずっとボロでいたからこうやって出れて、ずっとボロでいてよかった」とVo./Gt.伊藤祐樹の青いMCのあとに演奏したのは”Sea Breeze”だ。「やりきれない夏」が過ぎ去ったボロフェスタのステージで、伊藤は切なく激しいギターをかき鳴らした。最後に、ケツメイシの”夏の思い出”をカヴァーし、小さな四角い空間をモッシュピットへと変化させていく。彼らのライブを見ていたら、暑い暑い気だるい日に、自転車で海に向かうような夏の日を思い出した。だいたいの曲が30秒から2分ほどで終わってしまう曲たちは、気づけばいつの間に終わっている夏のように儚くもキラキラとしていたのだ。そして彼らはあっという間に15分間を疾走し、しっかりと心に余韻を刻み込んでステージを降りた。(text:アンテナ編集部)

Noise and milk

地下に着いた時にはすでにアクトは始まっており、手に汗握るエモーショナルな演奏に会場は熱を帯びていた。その力強いエネルギーを発しているのはNoise and Milkだ。勢いよく打ち鳴らされるドラム、荒々とうねるベースライン、激しくかき鳴らされるギター。それにVo./Gt.塩貝の青々とした歌声が乗った瞬間の爆発力は鳥肌ものだ。それは聴けば聴くほど身体が彼らの音楽を欲していることがわかるくらいに中毒性のあるサウンドであった。

 

今年の4月に新しいギタリスト安代が加入し、新たなエッセンスを加えてひたすら自分たちの道を突き進む彼ら。そんな彼らが鳴らす不器用で傷だらけで、あまつさえは孤独さえ感じられる音に安心感を覚えてしまうのはなぜなのか考えていた。それはきっとこの数十分間で触れられたくない傷を互いに見せ合い、仲間意識のようなものが芽生えたからであろう。そんな彼らがこれから創る音楽でどんな夢を魅せてくれるのか楽しみだ。(text:アンテナ編集部)

Amia Calva

やっぱりみんな、Amia Calvaをボロフェスタで観たかったし、Amia Calvaはそれ以上に演りたかったのだ。イベントの立役者である彼ら、最高の伸びやかさで地下ステージの空間をぐいぐいと押し広げ、主催バンドの意地を見せた。”summer end”の曲中、Ba.北出がライドシンバルをベースのヘッドで激しく打ち鳴らし、衝撃で電池ごと吹っ飛んだチューナーをあたふた探して笑いを誘う一幕もあった。MC土龍も「大好きなギタリスト」と語るGt.ノズエタカヒロの奏でる音の表情の豊かさは、電波か、風か、はたまた地鳴りか。

 

”retro”が終わると、Gt./Vo.サバヲが特別な一日をつくることへの思いを語った。京都でいくつものイベントを仕切ってきた彼の言葉には確かな実感がある。もう二度と会うことはないかもしれない人々が偶然同じ場所で同じ楽しさを共有することの奇跡。ラスト”23度”の最後の音が鳴り止んだあとも、全員がそれを受け止め、しばらくのあいだ噛みしめていた。(text:高石瑞希)

白い汽笛

演奏が始まる前から客席にVo/Gt.小倉が客席に「座ってもいいですよ。休憩って感じで」と言い、ここからもうすでに白い汽笛ワールドが始まっていた。“カステラ”ではオルガンの音色がとてもかわいく、アコギの優しい音に寄り添う。情景が目に浮かび小さい頃のアルバムの写真1枚1枚を繋ぎあわせたようにノスタルジーに染め上げる。Vo/Gt小倉はかっこうつけず、ゆるやかに何ともない日常を呼吸しているみたいに歌いだす。インストの曲も披露し、心の奥の方までほっこりとなる。MCでは物販を忘れたことだとかBa.松原が演奏中にもアーティストパスをつけていることをVo/Gt.小倉に指摘され、会場の笑いを誘った。普段からもこのゆるさ。裏も表もない。肩の力を抜いて自然体の彼らだからこそ生みだせる音楽をまだまだ聞いていたいと思った。(text:アンテナ編集部)

【Bee-low stage】クリトリック・リス

予定時刻の30分まきでBee-lowステージに現れたのは、今年でボロフェスタ6回目の出演となるキング・オブ・ボロフェスタことクリトリック・リスだ。毎年秋はボロフェスタのために予定を空け、連絡が来るのを待っているのにいつもオファーが来るのがギリギリ、何なら今年はオファーされなかったからメシアと人人を通して逆オファーしたというほどボロフェスタに入れこむクリトリック・リス。結局毎年出演していることからも、ボロフェスタと相思相愛関係であることは間違いない。

 

びっしりと人で埋め尽くされた熱気むんむんのBee-lowステージで汗だくのはげたおっさんが力強く叫ぶ姿は圧巻の一言。先日突然の訃報が届いた見放題主宰の潮大輔 a.k.a.Dai-changのために普段はやらないという曲を披露し少ししんみりしたり、鬼殺しを一気飲みして普段以上のテンションでの熱演を繰り広げたりと、少し特別感も感じられるクリトリック・リスワールドを見れた気がする。そして昨日のハイライトと言っても過言ではない締めの“バンドマンの女”からOasisの“Don’t Look Back In Anger”の流れは完璧すぎて、いろんな意味で涙が出そうになるほど胸を打たれた。感動。来年もどこで暴れてくれるのか、果たしてオファーされるのか!?すでに楽しみである。(text:岡安いつ美)

バズマザーズ

予定時刻の10分前からフロアはぎゅうぎゅうに詰まっており、オーディエンスは今か今かと目を輝かせている。期待値充分な地下ステージもトリを飾るのは、全員スーツ姿で登場した場末ポップバンド、バズマザーズだ。うねるようなギターを鳴らし、アップチューンで爆発的にくるのかと思いきや、湿度は高いが暴れる曲でもなく、かといってしっとりしているというほどシリアスな曲でもなく、じわじわと盛り上げられる曲。なんだこれ、カッコイイしもどかしい!と気付いた瞬間、バズマザーズの罠にハマっていたのかもしれない。

 

“スキャンティ・スティーラー”、”ワイセツミー”とヒリヒリする緊張感を保ちながら畳み掛けて演奏していく。「どんな時でもこんな馬鹿みたいなことを言ったことがないんですけど」とVo.山田が前置き、「やっとボロフェスタに出ることができました、感謝してますありがとう」、そういう彼は少し照れくさそうに笑った。メンバー同士が煽り合い、飛び跳ね、向かってきたものすべてを殴り倒すような音が頭に直接入り込むようなロックンロールを見せつけ、汗がしたたるほどに全力で一曲一曲をぶつけてくる。フロアとステージが一体となり、全員が心から彼らを楽しんでいるということがひしひしと感じ取れる、ボロフェスタ地下ステージを体言する、愛情にあふれた暴力的なアクトだった。(text:うえこ)

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